【感想・ネタバレ】アフリカ―「経済大陸」の行動原理と地政学のレビュー

あらすじ

人口増、鉱物資源など潜在力への注目から、各国が関与を強めるアフリカ。覇権が揺らぐ米国、歴史問題を抱える旧宗主国、進出する中露、地政学的な緊張関係にある中東など、複雑に絡む利害を繙く。アフリカは独立から現在まで、食料難、環境問題、強権化などを抱えつつも、国際情勢の変動にしたたかに対処してきた。その独自の行動原理を読み解く。地域大国エジプトvs.エチオピア、崩壊国家ソマリア、「優等生」ボツワナなどを一望。
第1章 希望と絶望の交錯する経済大陸
1 人口増加と経済市場の拡大
2 人の移動と食料問題

第2章 国家と政治体制の変容をとらえる視座
1 脱植民地化から冷戦崩壊後まで
2 「外向」という分析概念
3 アフリカにおける民主主義体制?


第3章 旧宗主国からの再離脱――サヘル地域、西アフリカをめぐる国際関係
1 「アフリカ+1サミット」開催の動き
2 アフリカへの関与を深める中国
3 サヘル・アフリカとロシア
4 旧宗主国の「撤退」と第二の「脱植民地化」
5 揺らぐアメリカの関与

第4章 「アフリカの角」をめぐる地政学―― 中東諸国と米中の思惑
1 エリトリア独立とソマリア問題
2 中東諸国の関与
3 不安定化するアフリカの角

第5章 南部アフリカの政治変容――「優等生」ボツワナの変化を読み解く
1 南部アフリカの地域的特徴
2 民主主義と権威主義の間で揺れるボツワナ
3 二つの選挙と民主主義

第6章 日本とアフリカ――TICADは何をめざしてきたか
1 トップドナーの地位から「ODA冬の時代」へ
2 平和構築と自衛隊派遣
3 New TICADへの転換

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

アフリカ―「経済大陸」の行動原理と地政学
著:遠藤貢
出版社:中央公論新社
中公新書 2899

ちょっと軸がわからず、読みづらかった
現代におけるアフリカ大陸の現状と問題点ということでいいのでしょうか。自分は、そうとらえました。

■アフリカ大陸の総括

・若い 日本の平均年齢が、49.9歳であるに対し、アフリカ大陸全体では19.3歳である(2025年)
・人口増加地区である。中独日露については、人口減へ。アフリカは、2050年までに38%増加し、推定24億6千万人に達し、世界の25%がアフリカ人で占められる。
・人口増の影響もあって、アフリカ大陸は、「最後の巨大市場」と呼ばれている

・鉱物資源の宝庫である。EV、再生可能エネルギー、脱炭素といった分野に必要な資源がアフリカに集中している。そのため、米中をはじめ、超大国が権益の確保、拡大に動いている。

・度重なる内戦で、難民が流出して、不法移民問題が未解決である。2023年現在で、114万人が移民として認識されている。そして、国内移民、隣国へ、さらに欧州へという連鎖が生じている

・食糧危機、食糧生産は、線形で増加するが、人口はべきで増加するので、人口増に対して、食糧増が追い付かない。これを、「マルサスの罠」という。食糧の生産性向上を図るとともに、充足が図られるまで、食糧の輸入確保をするための手段を確保しなければならない。

・旧宗主国からの影響を受けているが、その傘の中から脱し切れていない
・なかなか進まない民主主義の定着と、市民社会の形成

・アフリカ+1 サミット アフリカと先進国個別の経済協力、日中のみではない
 日本 TICAD
中国 FOCAC
EU AU-EU Summit
韓国 KOAFEC
他にも、南米、インド、トルコ、アメリカ、インドネシア、ロシア、サウジ、イタリア等

・アフリカ全体の調整機関
  国連以外にも、アフリカの紛争を自身で解決するために、アフリカ連合(AU:旧OAU)が設立されている
  全アフリカ議会(RAP)を主催し、アフリカ連合平和維持部隊(AMISOM)を展開する
  全アフリカを統合する、アフリカ合衆国構想を提唱する。
 他 サヘル国家同盟(AES) 、西アフリカ経済共同体(ECOWAS)等、国を超えた地域経済協力が存在する

■地政学的要地:アフリカの角、複雑な利権が交錯する紛争地域

・アラビア半島と、アフリカ大陸とに挟まれた紅海、アデン湾から、インド洋に抜ける出口にあるのが、アフリカの角と言われている重要な地域である。そのために、紛争が頻発していて、アフリカの未承認国の一つであるソマリランドや、ソマリア、ジブチ、エチオピア、エリトリア、スーダンなどが関係している。

・エチオピアは貿易港を確保したい
・対岸の紛争:イエメン内戦、南北イエメン統一
・イスラム:スンニ派とシーア派との対立、ジブチ、UAE、サウジ・イラン関係
・トルコの関与:スーダン、ソマリア支援
・ジブチにおける先進国の、北アフリカにおける、軍事的、経済的補給拠点の確保
  アメリカ:海軍キャンプ
  中国:保障基地、ジブチ・エチオピア鉄道
  日本:海上自衛隊海賊掃討拠点の設立

■アフリカの優等生、ボツワナの考察

ボツワナは、独立後、一度も内乱が起きていない、珍しい国である

・アフリカで卓抜した政治的安定性
・制度としての大統領の強大な権限
・市民社会の形成
・大酋長の座をすてて、独立に貢献した、セレツェが初代大統領へ
・幼児死亡率などの貧困パラメタが独立後に急速に改善
・公務員の癒着を防ぐ、3,4年ごとに人事異動するなどの実務重視の官僚制

■日本のアフリカへの関与

・TICAD と ODA
・アフリカの変化
 ①対テロ戦争という、安全保障上の配慮が必要となった
 ②貧しいアフリカから、急速な経済成長へ
 ③援助面での関与の強化
・日本のアフリカ援助へのプレゼンスの低下
・PKOの背後にあった、石油利権
・TICAD9 のテーマ 援助から投資へ
 ①民間セクターの持続的な成長
 ②若者・女性の連結性
 ③地域統合および域内外の連結性
・日本政府の提案は厚いが、日本企業の動きは鈍い

目次

はじめに

第1章 希望と絶望の交錯する経済大陸

1 人口増加と経済市場の拡大
2 人の移動と食料問題

第2章 国家と政治体制の変容をとらえる視座

1 脱植民地化から冷戦崩壊後まで
2 「外向」という分析概念
3 アフリカにおける民主主義体制?

第3章 旧宗主国からの再離脱――サヘル地域、西アフリカをめぐる国際関係

1 「アフリカ+1サミット」開催の動き
2 アフリカへの関与を深める中国
3 サヘル・アフリカとロシア
4 旧宗主国の「撤退」と第二の「脱植民地化」
5 揺らぐアメリカの関与

第4章 「アフリカの角」をめぐる地政学―― 中東諸国と米中の思惑

1 エリトリア独立とソマリア問題
2 中東諸国の関与
3 不安定化するアフリカの角

第5章 南部アフリカの政治変容――「優等生」ボツワナの変化を読み解く

1 南部アフリカの地域的特徴
2 民主主義と権威主義の間で揺れるボツワナ
3 二つの選挙と民主主義

第6章 日本とアフリカ――TICADは何をめざしてきたか

1 トップドナーの地位から「ODA冬の時代」へ
2 平和構築と自衛隊派遣
3 New TICADへの転換

おわりに
参考文献

ISBN:9784121028990
出版社:中央公論新社
判型:新書
ページ数:264ページ
定価:1050円(本体)
2026年03月25日 発行

0
2026年04月18日

「社会・政治」ランキング