あらすじ
日本を襲う「想定外」の国家的危機は、大津波や原発事故だけではない。各分野の第一線の専門家が結集し、「尖閣衝突」「国債暴落」「首都直下地震」「パンデミック」「サイバーテロ」「核テロ」「エネルギー危機」「北朝鮮崩壊」「人口衰弱」──起こりうる9つの「最悪の事態」を徹底シミュレート。この国の危機管理の盲点と脆弱さをあぶり出す。
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Posted by ブクログ
尖閣を巡る日中対立から、人口衰弱による若者のテロリスト化までの9つの物語を描き、リスクへの備えができていないことを示してみせるのは、具体的で面白かったが、もしこれがわが身に起きたらと思うとちょっと怖い。
原発の事故もそうだけど、日本って、将来起こりうるリスクを想定して、それに対処するという思考ができない国だとつくづく思い知らされた。
実際、ここに書いてあるシナリオで、起きそうだなと思うのは、経常収支赤字→国際暴落・ハイパーインフレというのと、首都直下型地震→東京湾が火の海ってシナリオ。東京湾岸にはLNGタンクがたくさんあり、地盤は弱いとなると、LNGへの引火、ビル街は1000度を超す火災旋風というのも冗談ではないと思えてくる。
後半の核テロの章で、美浜原発の対テロ訓練に参加したアメリカ大使館員が式典化した訓練を見て、「訓練は、台本通りでテロ攻撃を受けた場合の保安対応のテストになっていない」と報告したことはまさにそのとおりで、「想定外」が起こってはならない=考えてはならないという思考が、最大のリスクなのではないかと感じた。