あらすじ
なぜ米国人はトランプを支持するのか、なぜロシアはウクライナにこだわるのか、なぜイスラエルはイスラーム諸国と対立するのか――。世界の「なぜ」は宗教で読み解ける。トランプを支える福音派・MAGAカトリック、謎が多いロシア正教、伸張する大イスラエル主義、台頭するインドのヒンドゥー至上主義。宗教が国際政治に与えるダイナミズムについて、各分野の第一人者が論じる。 〈目次〉(講義内容)1限目:なぜいま「宗教」を知る必要があるのか ●宗教は復興しているか、衰退しているか 池内 恵&松本佐保 ●祖先・偶像・自然、日本の「神」は何か 佐伯啓思&森本あんり ●宗教と経営は互いに学び合える 入山章栄 2限目:なぜ米国人はトランプを支持するのか ●米国を変えるカトリック知識人 会田弘継&藤本龍児 ●米大統領選で注目すべき宗教票 松本佐保 ●トランプを支える福音派とキリスト教シオニズム 加藤喜之 3限目:なぜイスラエルとイスラーム諸国は対立するのか ●ガザ戦争とイスラーム主義の今後 保坂修司 ●宗教シオニズムと大イスラエル主義 立山良司 ●「イスラームとジェンダー」はなぜ問題になるか 辻上奈美江 4限目:なぜ欧州のキリスト教が揺らいでいるのか ●ウクライナ侵攻と正教会の地政学 高橋沙奈美 ●バチカンとローマ教皇の外交力 松本佐保 ●フランスライシテから考える政教分離 伊達聖伸 5限目:なぜアジアの宗教はわかりにくいのか ●中国人の宗教は儒教か 川口幸大 ●ダライ・ラマは「転生」する 石濱裕美子 ●ヒンドゥー至上主義とは何か 中溝和弥 ●日本社会を支配する「見えない宗教」 岡本亮輔
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Posted by ブクログ
日本人として生まれるとどうしても疎くなりがちな
宗教の話。
簡単に読める、とまでは言わないけれど、
それぞれの専門家が、
時には対談形式を挟んだりして、
簡潔に要点をまとめてくれている。
イラン戦争にまで発展してしまった
アメリカとイスラエルの関係について。
あとは日本ではあまり報道されない、
中国が対日、対米以外のところでどういう活動をしているか。
街を歩いていて、存在感を放つ建物といえば、やっぱり官公庁か宗教関係。
人間の活動と政治・宗教というものを完全に分けて考えようとするほうが不健全なのかもしれない。
Posted by ブクログ
世の中で起きていることを調べていくとなにかと背景に宗教が絡んでいるようなことが多いなぁと思っていたのですが、詳しくないので知りたくて本を探していた時に見つけたこちら。
三宅香帆が毎日新聞だかで書評を書いたと聞き購入
まえがきが私には難しくて、教養としての宗教入門という別の新書を読んでからこちらを読んだ。
スイスイ読めた、面白かった。
特に、アメリカ、中国、ヨーロッパの宗教と今の世の中の話が面白かった。
シオニズムって言葉も恥ずかしながら初めてちゃんと知った。
宗教を守るために人生や命をかけるような暮らしをしていないので、生まれ育った土地や環境をもってヒトはこんなにも違う人生となるのかと改めて驚いた。
所詮ヒトが作った世界なんだけど、これをヒトが作ったのかと思うと恐ろしいなぁと思った。
Posted by ブクログ
知らなかった事いっぱい。
勉強になった。
宗教と政治がこんなに密接してるとは、って感じでした。
それでも、あまり知らない国の事は、論じられてもわからない事たくさんで、もっと勉強せねばな、と。
日本人にとって宗教は「権利」だけど、他国の人にとって「義務」だ。考え方として、ストンと落ちた。なるほど。
Posted by ブクログ
いくつかの章からなる宗教についての講義。その中でも特に自分が気に入ったのは、「宗教と経営は互いに学び合える」というタイトルの章でした。経営と宗教の類似点の説明に始まり、経営者が創業書の理念について末端の従業員まで浸透させる手法はまさに宗教のそれと類似している事について共感しました。そして一見不可解な政治判断や軍事行動が実は宗教観に基づいているものだと気付かされた一冊。宗教が政治に影響を与えている事例を西洋、東洋問わず解説してくれている良書。書評者によって内容の分かりづらさ、読みやすさに差はあるが、それがかえって偏らずに読めたのも良かった。
Posted by ブクログ
日本人はというか少なくとも私は「政治と宗教は別物」と考えていたが、アメリカ(特にトランプ支持層)では、宗教的な信念がそのまま選挙の投票行動に直結している。トランプ人気は単なる一時的なブームではなく、根深い宗教の世界観とつながっており、ロシアやインドなどでも、宗教は昔の古い習慣などではない。いま現在の「国を強くするための国家戦略」として、リアルタイムで激しく利用されている。
一番ハッとさせられたのは、私たち日本人の話である。日本人はよく「私は無宗教だ」と言うが、実際には「先祖を大事にする」「世間の空気を読む」といった、独自の「見えない宗教」にどっぷり浸かって生きている。
本書の内容を分かりやすく例えるなら、世界と日本では「ゲームの遊び方」が全く異なる。
全くの別物だ。これを頭の中で理解できた途端に現世界情勢の解像度は一気に上がった。
世界の宗教(アメリカや中東など)は「ルールブック型」。
反対に、日本の宗教は「暗黙の了解型」。
明確なルールブックはない。しかし、「みんなで長年なんとなく共有している空気」があり、その空気を乱すことは絶対に許されないという強力な縛りがある。これまで私たちが「文化やマナー」だと思っていたものの正体は、この日本人特有の「空気という宗教」だったと捉えた。
宗教を学ぶことは、特定の神を信じるためではない。「世界でいま何が起きているのか」「なぜあの国はあんな行動をとるのか」という、国際社会の裏事情を読み解くための必須の教養だった。