【感想・ネタバレ】日本はなぜ敗れるのか 敗因21ヵ条のレビュー

あらすじ

マネー、外交、政治……このままでは日本は再び敗れる! 戦時中フィリピンで生死を彷徨い捕虜となった評論家・山本七平。戦後三十年、かつての敗因と同じ行動パターンが社会の隅々まで覆っていることを危惧した筆者が、戦争体験を踏まえ冷徹な眼差しで書き綴った日本人への処方箋。北朝鮮の核保有など、国際的緊張の中に放り込まれた日本が生き残るために知らなければならないこと。執筆三十年後にして初めて書籍化された、日本人論の決定版。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

日本が第二次世界大戦でなぜ負けたのか?
戦前・戦中・戦後を生きた著者山本氏(戦時中軍人→捕虜→帰国)が、戦後からの視点・思い出で語られた分析・批評ではない、一国民・一文官(陸軍付き)として戦争を体験した小松真一氏(戦時中軍属文官→捕虜→帰国)の記した「虜人日記」(山本氏曰く現地性・同時性をもった目撃者の記録)を元に、日本の敗因について記述。

小松氏の挙げた敗因21ヶ条や山本氏の解説分析する出来事(バシー海峡の悲惨であまりに知られていない出来事、員数と実数、ルソンでの日本軍・軍属の出来事、山での出来事、pw・収容所での出来事、現実と虚構等々)は、現在の日本でも当てはまることが多いと痛感。

・・・戦争を経ても真の意味の反省ができておらず、あまり変わっていないかも。。。

あとがきより・・・
 兵士であるのに戦場にも着けず、海の中に消え、餓死し、住民に虐殺され、人肉を喰らうところまで追いつめられ、また食われた人々。
 彼らに「安らかに眠れ」とは言えない。・・略・・
敗戦の、原因と責任者の究明は、いまだ終わっていない。しかしそれをしなければ、また地獄を見る日が来るのではないか。・・・平成16年イラク報道に接しながら・・横山氏

明るい希望もある。「無一物中無尽蔵」

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2014年11月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

故小松真一氏の『虜人日記』を現地性と同時性がある目撃者の記録としてとらえて太平洋戦争の敗因21ヶ条について解説している。

太平洋戦争の敗因分析は、野中郁次郎氏らの『失敗の本質』が有名であるが、それとはまた違った生々しい記録に基づいているのが本書の特徴である。

冒頭の「バシー海峡」の例からガツンと頭を叩かれた感じがする。
米軍はあの手がだめならこれ、この手がだめならあれと、常に方法を変えて来た。
一方日本軍は、50万を送ってだめなら100万を送り、100万を送ってだめなら200万を送る。そして極限まで来て自滅する。「やるだけのことはやった、思い残すことはない」と言う。

何が恐ろしいかと言うと、日本軍の話ではなく現代社会の会社においても同じ事が行われていると感じるときがあることだ。

この本の帯には、『奥田碩前会長が「せひ読むように」とトヨタ幹部に薦めた本!』と書いてある。まさにこれは、マネジメントの本である。『失敗の本質』同様太平洋戦争の敗戦という多大な犠牲から何も学ばないでは、太平洋戦争の英霊に申し訳が無い。

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2013年10月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

1.精兵主義の軍隊に精兵がいなかったこと、2.物量・物資・資源、3.日本の不合理性・米国の合理性、4.将兵の素質低下、5.精神的に弱かった、6.日本の学問は実用化せず、7.基礎科学の研究をしなかった、8.電波兵器の劣等、9.克己心の欠如、10.反省力なきこと、11.個人としての修養をしていない、12.陸海軍の不協力、13.一人よがりで同情心がない、14.兵器の劣悪を自覚し、負け癖がついた、15.バアーシー海峡の損害と、戦意喪失、16.思想的に徹底したものがなかった、17.厭戦気分、18.日本文化の確立なきこと、19.日本は人命を粗末にしたこと、20.日本文化に普遍性なきこと、21.指導者に生物学的常識がなかったこと
以上が敗因21箇条であり、一見すると戦争の敗因を示しているようであるが、現代にも共通する貴重な教訓を含んでいる。とりわけ反省力がないこと、文化の確立がない、不合理性、思想的に徹底したものがない、といった点は現在の政治の混迷を見ていて納得できる。日本人としてどこへ向かい、何をすべきなのか、考えさせられる一冊です。

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2012年05月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

トヨタ自動車元会長が「ぜひ読むように」とトヨタ幹部に薦めた本。マネー、外交、政治・・・このままでは日本は再び敗れる。キャッチコピーに惹きつけられて。
2004年初版、ちょっと古い気もしたがキャッチコピー補足をみて共感をもった。
~山本七平氏は戦時中フィリピンで生死を彷徨い捕虜となった。戦後三十年、かつての敗因と同じ行動パターンが社会の隅々まで覆っていることを危惧した山本七平が、戦争体験を踏まえ冷徹な眼差しで書き綴った日本人への処方箋が本書である。現在、長期の不況に喘ぐ中、イラクへの自衛隊を派遣し、国際的緊張の中に放り込まれた日本は生き残れるのだろうか・・・?執筆三十年にして初めて書籍化される、日本人論の決定版。~
本書は最初に敗因を簡潔に述べている。なぜ負けたか。「それははじめから無理な戦いをしたから」とそれにつきるとしている。そして、日本人には大東亜を治める力も文化もなかった。敗因21か条をもとに日本人の本質を分析している。
なにも変わらない日本人の思考的本質。今も昔も変わりない。
失われた30年からさらに20年も前の出版物である。
日本人の生まれながらの“気質”は変わらない。あとがきの短い文に再思三考する。歴史を通して現在位置を知り、この先の羅針盤となるヒント、アイディアがちりばめられている。

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2022年07月14日

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