【感想・ネタバレ】生首に聞いてみろのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

終盤まで事件の全容が見えて来ない展開で、面白かった。

美術ネタだった。
末期ガンの著名な彫刻家・川島伊作がアトリエで息を引き取る。遺作は、娘・江知佳をモデルにじかに石膏取りするインサイド・キャスティングの技法で制作した石膏像。元妻をモデルにしたかつての代表作《母子像》を引き継ぐ作品と目されたが、気がつけば彫刻の頭部が何者かに切断され、盗まれていた。
殺害予告だと受け取った彫刻家の弟川島敦志は、綸太郎に事件を未然に防ぐよう依頼する。
しかし綸太郎の奮闘?も虚しく、江知佳は殺害され、切断された江知佳の頭部が川島の個展会場となる名古屋市立美術館に郵送される。

各章の冒頭に引用された、石像の目の表現についての歴史的変遷と解釈は興味深く読んだ。
川島伊作の恋人レイカ、弟の敦志、川島の個展のキュレーター宇佐見、綸太郎の後輩のカメラマン田代、江知佳の元ストーカー堂本、情報屋飯田、江知佳の母親の再婚相手各務。
綸太郎が推論を巡らせるたびに誰かが代わるがわる怪しく見えてきて、気が抜けない。
頭部=ドライアイス代用説はさすがに無理があったけど、頭部はもともと無かったとする宇佐見の作品解釈は読ませたし、やっぱり存在していた石膏頭部の目は実は見開かれていた、という事実が明かされた時には衝撃が走った。
そこから事件は江知佳殺し以上の広がりを見せてゆく。

綸太郎相変わらず探偵気取って懲りないよなぁとか、警視といえど民間人の身内を現場や本部や捜査に同行させるのは駄目だろうとか、自殺者の身元確認ってこんなに杜撰なのかなとか、人間の入れ替わりって可能なのかなとか、浮気の復讐で計画殺人に加担するかなぁとか、細かい箇所はいろいろ気になったけど、総じて面白かった。


こんなショッキングな事件じゃあ個展は中止かなぁ…

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2020年09月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

首切りものの中では一番良く出来ていたと思う。すごい。石像の首を切った理由がとても鳥肌たったし、そこを解くことですべてがすらすら解けていってほんとにすごかった。

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2018年04月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

法月氏はミステリー作家の中で新本格派と言われる人の一人です。彼の作品を読むのは初めてでした。あっと驚かせるタイプではなく、じっくりと読み進めて、錯綜する謎から真相に迫るという、まさに本格的ミステリー。
彼はエラリー・クイーンの大ファンらしく、クイーンの作品でそうあるように、法月綸太郎という作家本人が探偵として物語の中に出てきます。面白い設定ですね。
ここでの書評に書こうとしていたキーワードがまさに巻末インタビューで出ていました。やはり読者は同じことを考えるものかしら。本書を通じたキーワードは、「誤解」です。精巧に組み立てられた、全く隙のない構成、後半パチンパチンとパズルのピースがはめられていくところは、見事としかいいようがありませんね。たくさんの伏線があり、それらが複雑に絡み合っていて、いかにも不審な人物も何人も最初から出てきます。次々と仮説を立ててはそれを論理的に否定していく。真犯人も、本当にそれと書かれるまで分かりませんでした。
ミステリーを数多く読んできて、まだ本書を読んでいない人には是非読んでいただきたい本です。

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2014年09月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2018年7冊目。
法月綸太郎シリーズを続けて読んでいるんだけれど、個人的に法月警視と綸太郎の掛け合いが好きなので、前半法月警視との絡みがなくてちょっと残念。
なぜそうなるのか、誰が何のために・・と全然分からずに、途中途中で自分なりの推理も悉く覆され、最終的なオチにはこれまた嫌な気分に・・。
「頼子のために」とはまた違った嫌な気分・・。
あとは好みの問題だけど、カバーのイラストがちょっと好みでない・・。

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2018年01月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

美術館にアレが届くところ、石膏像の首の真相の変容、あちらの首切断の事情が面白かったなぁ。失敗はするもくよくよし過ぎない綸太郎は犯罪ホロスコープに近い読み味。インタホンに裏声で話しかけるところ可愛くない?

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2016年09月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 「玄人が好きそうな本格ミステリ」というべきか「非常に地味で堅実な作品」というべきか…。派手さは全くないが,ち密に伏線が張り巡らされた,よくできた作品。
石膏像の首が何者かに切断され,持ち去られる。モデルとなった女性の身に危険があるのか?法月綸太郎が捜査を進めると,モデルとなった女性の生首が宅配便で送付されてくる…というあらすじ。
 ふた昔前くらいの本格ミステリでありそうな設定だが,怪奇的なムードなどは全くなく,彫刻についての雑学的分野を描きつつ,法月綸太郎と警察の捜査が丹念に描かれている。特に,法月綸太郎の考えや推理,勘違いなどが詳細に書かれている。この部分をフェアととらえるか,冗長ととらえるかで,この作品の評価は大きく変わりそう。
 解説や書評でも書いてあるが,全体の話の流れで,無駄な部分はほとんど存在しない。全て,何らかの意図や伏線を意識して書かれている。
 とはいえ,キャラクターの魅力はそれほどでもない。推理についても,探偵役が最後の最後で一気に真相を語るのではなく,真相を小出しにしていくので,驚愕のラストというものはなく,インパクトは弱い。
 真犯人の各務順一とその妻の結子は,過去の犯罪はともかく,川島江知佳殺しは完全な行き当たりばったり。綿密な犯罪というより,偶然と勘違いで完全犯罪になりかけたという雰囲気。
 再読したら,「この伏線は見事」とか思って評価が上がる可能性はあるかもしれないが,現時点での評価はそこまで高くない。★3かな。

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2022年11月12日

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