あらすじ
これまで数多出版されてきたロッキード本と本書が決定的に異なる点は、捜査に従事した主任検事・吉永祐介と四十七人の特捜検事たちの、一人一人の「人間像」が描き出されている点だ。あの時、吉永を筆頭とする特捜検事たちは何を考え、どう動いたのか。厚いベールに覆われてきた「最強の捜査機関」の内幕がいま、明らかになる。
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Posted by ブクログ
米国上院外交委員会多国籍企業小委員会で、ロッキード社の違法な政治献金があきらかになった。
ここから時の総理大臣が逮捕されるという、ロッキード事件が幕を開けます。
東京地検特捜部が中心となり捜査が進められます。検察側は東京地検だけにとどまらず、法務省・地方の地検からも応援を集めて精鋭集団を組織し、徐々に田中包囲網を狭めていきます。
ただ、どんな世界にも手柄争いというものはあるようで、地検・高検・警察の間での逮捕・取調べを巡る争いは見苦しいそれでも、東京地検特捜部は、その調整を取りつつも、真実を逃すまいと方針をぶらすことはありませんでした。
田中角栄も鬼籍に入り、ロッキード事件も風化してしまった感がありますが、これだけの大きな疑獄事件を、お蔵入りさせずに解決に導いた検察官の苦労と執念がビシビシと感じられました。
後半に名前が挙がってくる灰色高官の中には、私の記憶に残っている政治家の名もあり、こんな灰色の人も、その後も政治家を続けていられたのか?と改めて選挙権を持つ者として“選ぶ目”をしっかり持たなければならないと思いなおしました。