あらすじ
地球温暖化問題に対し、国際機関をはじめ国・民間レベルでさまざまな取り組みがなされている。REDD(レッド)もその一つ。REDDとは、「Reducing Emissions from Deforestation and forest Degradation in developing countries」の略語で、途上国における森林減少・劣化の抑制によるCO2排出抑制を意味する。本書の内容の中心となるREDD+(レッドプラス)は、このREDDから発展した言葉で、森林保全、持続可能な管理、炭素貯蔵量拡大という炭素ストックを積極的に増加させる概念を含んでいる。 本書はREDD+の動向や、実施する際のフローなどを紹介。また、温暖化、森林の現状についても解説している。
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Posted by ブクログ
森林を保護し、森林削減を抑制することで、温室効果ガスを排出抑制する。そして、その抑制した分をクレジット化し、マーケットで売買する。キャップ&トレードによる脱炭素化社会における新たなモデル提示に感動した。もちろん、参照点をどこに設定するか。追加性という概念で説明されているように、クレジットを評価するときに、森林保護をした場合としなかった場合の差分をどのように設定するのか、さらには、焼き畑にはされないまでも、森林を資本主義に組み込むことにより、原生林がクレジット評価の高い単性林に置き換えられる等の生態系への影響等、問題は山積している。しかしながら、森林に価値を見出すことで、南北のバーティカルな経済格差に一石を投じる、ゲームチェンジャーになるポテンシャルは十分にある。宇沢弘文は排出権取引に反対であったが、森林価値が逆に限定されてしまうという副作用は将来的にあるものの、本PJTは人的資本経営とともに、価値を過小評価されている社会の流れをひっくり返すカンフル剤としては有効であると感じる。