あらすじ
嫉妬、喪失・・・「親友」とは何か?
酒井順子氏推薦!「二人の物語が映像となって脳内に結ばれた」
「米で邦人が滑落 山岳カメラマン、平賀淳さんの遺体収容」
(日本経済新聞2022年5月22日)
NHK番組などで活躍し、世界50か国を駆け巡った山岳カメラマン・平賀淳。2022年5月、アラスカ・デナリの氷河で撮影中に滑落死したことをきっかけに、中学時代からの親友であった著者が、自身の視点からありのままの平賀さんの人生を描いた作品。登山経験の乏しい小林さんは、親友との“最後の別れ”を果たすため、アラスカの深淵へと向かう。
なぜ親友は山に消えたのか――。
平賀と著者の30年と、その真相を辿る物語。
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Posted by ブクログ
親友に対する感情をこれでもかと素直に吐露されている文章に心を打たれました。自分にはこんなに自分のことを信じてくれる友はいないなと羨ましく思います。最後に著者が思いっきり泣けた場面は、本当の意味でようやく彼を弔うことが出来たのだなと安心しました。
Posted by ブクログ
本書『親友は山に消えた』は、登山中の滑落事故で突然の死を迎えた親友・平賀淳の足跡をたどる弔いの旅であると同時に、著者自身の醜くも極めて人間らしい内面を容赦なくえぐり出す、内省の記録である。
客観的に見れば、著者は石原慎太郎元知事の公式サイト運営や、登山家野口健のマネージャーを務めるなど、十分に輝かしい人生を歩んできたように映る。
しかし、著者自身にとって、その比較対象は常に平賀淳という存在であった。「これでもダメだ」「まだ足りない」と常に自分を追い込み、貪欲に「何者かになりたい」「平賀と競い合いたい」と歩みを止めない。そして時には心を病み塞ぎ込み、それでもまた前に歩み出そうするその姿には、自らにかけた呪いのような執念が感じられる。
かたや、破竹の勢いで自らの道を切り開き、映像制作やランニングカメラマンのパイオニアとして、「何者か」へと近づいていく平賀淳に対して抱く、著者の嫉妬と羨望。人間が隠そうとする泥臭く醜い部分に、これでもかと鋭く切り込んでいく。その赤裸々な告白は、ページをめくる手を止めることができないほどの力を放っている。
この物語の大きな醍醐味は、周囲の人々への丹念なインタビューを重ねることで、平賀淳という人物の輪郭が少しずつ浮かび上がっていく過程にある。しかし、著者が心のどこかで期待していたような、自分と同じ「弱さ」や「陰鬱さ」が、平賀からはまったく見えてこない。それどころか、浮かび上がってきたのは、憎たらしいほどに「いいヤツ」という、どこまでも真っ直ぐで誠実な友の姿であった。この対比が、著者の内なる葛藤をさらに深く、切実なものへと変えていく。
そして物語の終わりに綴られる、親友への深い弔いと、著者自身の内省の旅は、本書最大のクライマックスである。嫉妬や羨望に苦しみながらも、向き合い続けた日々の果てにたどり着いた景色は、涙なしでは読み進めることができない。
また、物語の中ではいくつもの重い問いが投げかけられているのも興味深い。
・「何者かになりたい」という強い欲望と、友人への羨望や嫉妬を掻き立てるものの正体とは何か。
・「親友」とは一体どのような存在なのか。
・そのうえで、著者にとって平賀淳は親友なのか。
これらの問いは、そのまま読者自身にも降りかかってくる。
他者と自分を比べ続ける苦しみ、そして徐々に現実味を帯びてくる親友を喪失した悲しみ。本書は単なる山岳ノンフィクションの枠を超えて、他者を深く知ろうとすることを通じて自分自身を再発見してしまう人間の業と美しさを教えてくれる一冊である。
Posted by ブクログ
この本は、筆者の半身である存在の弔いの儀式だ。
筆者の今後の人生が抜け殻になってしまわないか心配なくらいの熱量だった。
人間2人分の人生の質量でぶん殴られた気分だ。
涙無しには読めない。
Posted by ブクログ
僕はとても感動した。
積読チャンネルで紹介されており、興味を持ち購入。
平賀淳という、私にとってはまったく縁のなかった人物。一部の界隈では有名だったようだが、一般人にとっては無名と言ってもいいだろう。
しかし、著者も書いていたとおり、殆どの人は無名なのだ。多くの無名な人たちにも人生があり、親友がいる。
僕は平賀さんのように、人を大切にできているか、チャレンジしているか、友達を信じ続けていられるだろうか。
読みながら自問自答するしかない。
そして著者の小林さん。とても繊細でプライドが高く、所謂生きづらい人なのだろう。
でも、それが人間臭く親近感も覚える。
赤裸々な感情がこの本への親しみにつながる。
最後の書き起こしは心に響く。
Posted by ブクログ
積読チャンネルで紹介されていたので手に取った。著者小林元喜が親友で山岳カメラマンの平賀淳の生涯を描くノンフィクション作品。
紹介動画を見てからの読書のためハードル高くなっていたのに、その評価に偽りなかった。クライマックスをスタバでむかえ感泣。(今思うと少し恥ずかしい)
2章「フリーになれ」「保険」で著者自信の胸の内に深く切り込む描写が、それまでのどこか俯瞰でドキュメントしてきた書き振りとは一転し、本心が直接的に描かれており、急に引き込まれていく。私が年齢的に同じ時代を並走していることも大きいかもしれない。
4章のラストプレイスでの文字起こし。人は景色に感動するんじゃない、人間模様に涙するんだ。2人の関係性がここから新たなステージに。今後もウォッチしていきたい。
運命なんて結局は信じたものだけに認められる権利なんだと思う。
Posted by ブクログ
親友に対する黒い感情も書かれていて小説のようで一気に読んでしまった。
多くの方に慕われてた方だったのに。
ご子息がいつか許せる日がくるといいなと思った
Posted by ブクログ
一気に読み終わった。
わかりやすい友情物語に泣けた。
人生で読み返すことはないだろうけど、こういう心が熱くなる本は定期的に読みたい。
余談だが、こういう強いノンフィクションを読んでしまうと、小説は嘘だしなぁ〜って読む気力なくなる時期来るのつらい
Posted by ブクログ
著者の「さよなら、野口健」を、新聞の書評で知り興味を持っていたがそちらはらまだ未読だった。
同じく書評で本作を知りました。
中学で出会った、著者と43歳でアラスカの地で亡くなった山岳カメラマン平賀淳さんとの30年に渡る軌跡。
著者の小林元喜さんと平賀淳さんの2人の関係性に、息苦しさ、生きづらさを感じる前半は、お互いを意識し合うそのベクトルの強さに、こちらも苦しくなってしまいましたが、小林さんが覚悟を持ち、自分のマイナスな感情も曝け出して書いている文章に引き込まれました。
平賀さんが命を落としたその地に向かい、ラストプレイスに辿り着く行程は、その精神状態では成し遂げることは難しかったのではないかと感じられ、小林さんが言う、「こうなることになっていた」、命を運ぶ運命のように感じました。平賀さんの命と共に、ラストプレイスに辿り着いたと。
親友という言葉では語れない、強烈に惹かれ合い、強烈に反発し合って生まれた、類稀な関係性が胸に残りました。