あらすじ
明治の開国以来、日本は二度の敗戦を喫した。一度目はアジア・太平洋戦争。
そして二度目は、冷戦終焉から現在に至る「戦後敗戦」である。かつて経済超大国を目前にした日本は、今や「衰退途上国」とまで称される凋落の淵にある。
本書は、元朝日新聞主筆の船橋洋一氏が、この「戦後敗戦」の正体を、石油危機から福島原発事故に至る7つの具体的挫折を通じて冷徹に検証した衝撃の書である。
かつて中曽根康弘元首相が「偉大な金字塔」と誇った戦後日本の成功物語は、もはや過去の遺物となった。
国際競争力は1位から38位へ、一人当たりのGDPもOECD内で急降下を続けている。なぜ日本はここまで「ジリ貧」に陥ったのか。
著者はその本質を、かつての日本軍が陥った組織的欠陥――「過剰な適応」と「戦略的統合の欠如」という『失敗の本質』の再来であると喝破する。
いま、日本を支えてきた米国主導の国際秩序は崩壊し、世界は再び「危機の20年」を彷彿とさせる地政学的リスクの坩堝(るつぼ)にある。
この荒波を生き抜くため、著者は「国民安全保障国家」と「起業家国家」という二つの処方箋を提示する。
単なる懐古主義や悲観論に浸るのではなく、戦後の失敗から組織的・体系的な教訓を導き出すこと。
それこそが、日本が「彗星のように消えてゆく運命」を回避するための唯一の道であると本書は説く。
私たちは今、戦後の呪縛から自らを解き放ち、新たな日本の針路を描き直す時を迎えている。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
船橋洋一氏は朝日新聞が創った「知の巨人」&「Global」
これだけ国際ネットワークを持っている人はいない
読み進めるほどに元気がなくなるが、日本の足元は米国の中国戦略の転換に乗って流れは良い
1.バブル敗戦は必然
①プラザ合意②半導体協定③BIS規制の三位一体で攻められたが、日本は局地戦の対応に追われて終始狼狽
「国家戦略」としてまとめ上げる組織・人材は居なかった
2.デジタル敗戦
①失敗の許容vs官僚無謬のフィクション
②原則自由vs業法による官の縛り(1940年体制)
③制度改正のスピードvs時間音痴・先送り・調整優先
戦時体制の韓国・台湾に劣後した
3.尖閣ショック
日本と中国の立場は逆転した→認識するリアリズム
「台湾有事」日本は国運を賭ける覚悟があるのか?
→Eccentricなナショナリズムの暴走が恐い
Posted by ブクログ
p16 中曽根 1973年石油危機 日本はちょうど古代地中海世界において、貿易国家として栄えたというフェニキアのように、20世紀後半、世界史にいっときの光芒を放って消えてゆく彗星のような運命にならぬとも限らぬであろう
p32 日本は石油資源の99%を輸入、その80%を中東から輸入している。日米同盟は不変であるが、もし輸入がストップしたとらそれを米国が肩代わりしてくれますか 田中
p55 2024/7 日本の席指9地区は、国家備蓄142日分、民間備蓄89日分、産油国共同備蓄8日分の合計239日
p57 一次エネルギーの中東依存度も1970年ころに比べると61%から48%(2024)へと大幅に下がっている
p226 第一に、日本の指導者たちが湾岸戦争における日本の役割について正確なビジョンと同盟論を持たず、日本が何をすべきか理解できなかったこと、第二に、重要官僚がことなかれ主義や、国益より自分の省の利益を優先させたこと、第3に国会での野党の反対を恐れる政府が日本の貢献策を広報しなかったこと、である
(90歳) クェート政府の全面広告に日本がないこと
p306 兼原信克 今のままでは、サイバー空間は日本のマジノ線にあんる
第2次世界大戦で、400kmに及んだフランスの対独要塞戦(マジノ線)がその一番弱いところをドイツに見破られ、突破された
p349 こうした場合、中国共産党政府はあらゆる手段を用い、最も弱い、関節を狙って圧力を欠けてくる(垂)
p450 女川原発 元東北電力副社長平井弥之助
平井は、貞観津波や明治三陸津波の調査を行い、当時の想定津波高3mの5倍、15メートルの高さに建設するべきだと強く主張し、実現させた。部下の稲松敏夫は平井について、「生涯を通じて常に地に足をついた信頼度の高い技術を追求した技術者だった」と評している
「法律は尊重する。だが、技術者は法令に定める基準や指針を超えて、結果責任が問われる」
p451 戦争では降伏という選択がある。しかし、フクシマではそんな贅沢はできない