【感想・ネタバレ】地方にこもる若者たちのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

休日イオンで過ごすしか選択肢がないなんて嫌だ。
この前読んだ震える牛じゃないけど、地方もSCの餌食となっている。お仕着せの娯楽にお金を吸い取られているだけ。

自分も家族・友人とはまあまあ接点があるが、大人になってから地域の活動は殆ど参加したことない。災害の時に困るかな。。その時のためだけに仲良くする、っていうのも下心満載な気がする。

一若者として、家族や気の合う友人とだけつるんでいては人間性が凝り固まっていってしまうという危機感がある。もっと外に出て、多様な価値観の人にもまれるべきだと。けど外に出るお金も勇気もないのよ。

やりがいがあると思い込むことによって低賃金の仕事を耐える、か。。

★紹介された曲
・Avril Lavigne - Complicated…昔のままの素直な自分でいられる巨大なショッピングモールが懐かしい。
・Green Day - Jesus Of Suburbia…アヴリルと違い、郊外の影を描く。暴力・薬物・アルコール・親の放任。
1988日本映画「So What」では主人公は親のしがらみから逃げようと都会へ出ていくが、この外国の少年は逃げるものなど何もない。

・BOOWY/氷室京介(80s)
SCHOOL OUT/WATCH YOUR BOY/GUERRILLA/RATS/ELITE…自分を抑圧するものから頭の中だけで逃げて、反発することが自分らしさ。
・B'z(90s)
Stay Green~未熟な旅はとまらない~/ねがい/BREAK THROUGH/F・E・A・R/ギリギリchop/Boys in Town…自分らしさは努力の過程で得られる。夢は叶えるもの。
・Mr.Children(90s)
名も無き詩/everybody goesー秩序のない現代にドロップキックー/東京/しるし…周りとの関係性によって自分らしさを再定義。感謝せよ。
・KICK THE CAN CREW(00s)
イツナロウバ/アンバランス…郊外の地元最高。モラトリアムの中で仲間と夢をかなえる。
・ONE OF ROCK(10s)
未完成交響曲/完全感覚dreamer/アンサイズニア/夜にしか咲かない満月…自分たちが強くなるためには居心地のいい場所は出ていかなくてはならない。違う他者とぶつかり、試行錯誤する中で見えてくる自分らしさ。
・RADWIMPS(00s)
おしゃかしゃま…社会システムの構築の重要性。

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2014年02月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

日本でもっとも幸福なのは、郊外に住む若者なのかもしれない。刺激は強いがストレスも多い大都市、自然は豊かだけどしがらみもキツい田舎、そんな二項対立の構図のちょうど間にスポット的に登場したのが郊外なのである。

仕事は低賃金だけれどもそこそこに、夜や週末は気の合う仲間とモールやファミレスで過ごし、家族とも仲良く同居しているのだけど車で移動するので地域コミュニティとの関係性は薄い。そんな郊外の若者像を切り取り、ほどほどにパラダイスな状況を解説している。

新書なので軽く読める感じであり、またアンケート自体を個人的に馴染みのある岡山県内で行なっているせいか、いろいろ具体的な人たちの顔を思い浮かべながら頷ける部分も多々あった内容だった。一方で面白おかしくするためにJPOPなどの時代背景を引っ張り出してくるのは良いアイディアだと思う。

■80年代 BOØWY(反発の時代)
氷室京介、布袋寅泰たちは地元を中心に、管理したがる大人社会への反発がテーマとなっていた。若者たちはいつも何かから逃げて解放されていた。漫画で言えば『シティーハンター』『北斗の拳』のように絶対的な悪と戦うことでカタルシスを感じさせるものが多い。

■90年代 B'z(努力の時代)
稲葉浩志、松本孝弘たちはとにかく自分が高みに登っていくことで自由になることを説く。若者は何もない地元を捨て、マゾヒスティックに戦い続けることで自分らしさを獲得する。漫画で言えば『ドラゴンボール』『スラムダンク』のように、自分を高めることでより強い相手と戦うことになる。

■00年代 Mr.Children(関係性の時代)
桜井和寿の詩はギラギラした反発や努力とは決別し、周囲に感謝することを説く。男女同権となって母性は弱くなり、女性は癒すものでも守るものでもなくなり、不安定な時代に対してともに歩いていくパートナーとなっていく。漫画で言えば『るろうに剣心』『ワンピース』のように、仲間を守り協力していくことで強敵に立ち向かっていく。

■10年代 KICK THE CAN CREW(地元の時代)
KREVAは仲間へのリスペクト、地元への愛情を恥ずかしげもなく歌う。都会に出ていくことはほとんどなくなり、むしろ地元を守りながら仲間と夢を叶えていくことで、自らのアイデンティティを獲得していく。漫画で言えば『NARUTO』『進撃の巨人』のように、自分たちのテリトリーを脅かす相手を仲間と協働しながら守っていく。


80~90年代に地元から逃げ、故郷を捨てていった若者たちは、再び地元に戻り始めている。しかしそれは必ずしも旧来の地域コミュニティと密接に関わっているということではなく、むしろ自分と同年代の気の置けない仲間たちのみで集まり、ちょっと離れたショッピングモールに出かけるといったライフスタイルが主流となっている。

そんな郊外で外の世界と隔絶した暮らしを送る地元志向の若者たちが、ホントの意味での地元振興に目覚める日は来るのであろうか。そのタイミングとなるのが子育てであり、スクールカーストのようにギャルが最上位になっている時代において、女性から地域コミュニティと繋がりはじめるのではないかという予測は至言である。

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2013年06月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

【内容】 都会と田舎の間に出現した、魅力的な地方都市。若者が地方での生活に感じる幸せと不安とは―?気鋭の社会学者が岡山での社会調査を元に描き出す、リアルな地方社会の現実と新しい日本の姿。 (「BOOK」データベースより)

【感想】 地方にこもる若者の傾向を、調査から読み解く「現在編」。①地方都市の「ちょうどよい感じ」はが理想的な生活の場である。②家族と同世代の仲間で構成され、地域社会における煩わしい人間関係を排除したノイズレスな関係がある。③仕事への満足度を、やりがい(精神面)と親の支援(金銭面)によってカバーしている。といった地方都市に生きるものとして共感できるものがある。

 Jポップの歌詞から若者の変容読み解く「歴史編」。80年代のBOOWY(反発の時代)→90年代のB'z(努力の時代)→90年代 のMr. Children(関係性の時代)→キック・ザ・カン・クルー(地元の時代)→ワンオクロック(ポスト地元の時代)という整理(P170)は、うまくまとまりすぎているが、何だか納得してしまう。人気の歌は、その時代の若者の思想・様相をうまく語っているのであろう。特に、Mr. Childrenの「関係性」の中に自分らしさを見出してきたというのは、そのとおりなのかもしれない。

 これらの若者の傾向・変容の流れのなかで、これから地方都市でこもりながら「新しい公共」が育っていく可能性を筆者は提示する。このあたりは、さらなる調査・研究により深まればと思う。かつての安定した社会・公共性が崩れていくなかで、これからどのように私たちは、社会を生きるべきかを考える必要がある。そのきっかけは地方にあるのだろう。

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2013年06月28日

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