【感想・ネタバレ】地方にこもる若者たちのレビュー

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Posted by ブクログ

僕もイオンよく行くのでわかります。
ただヒットソングとのつながりはよくわからなかったですね。
氷室京介とかB'zとミスチルはわかるのですが他のアーティストが有名でないのでよくわかりませんでしたσ^_^;

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2015年10月03日

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2013.09 とても参考になった。地方の実態、人気ミュージシャンからみた時代の価値観の変化はとても納得。

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2013年09月29日

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BOOWYのアホらしさ、B'zの暑苦しさ、Mr.Childrenの気持ち悪さを見事に解き明かしてくれて痛快。

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2013年09月24日

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岡山県倉敷市を都会過ぎず田舎過ぎない「ほどほどパラダイス」と称してフィールドワークして書かれた前半は、岡山県民は読んどいた方が良い内容。中盤以降は地方都市を若者がどのように見ているかをJポップの変遷から見ていく。これもなかなか面白い。確かにイオン倉敷があればとりあえず困らないんだよな…。昨日も行ったし。

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2013年09月16日

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若者が昔のように都会への憧れをもたなくなった背景について。
三浦展のファスト風土論などを引き合いに出した地方の話、若者論かと思いきや、途中は、J-POPの歌詞の分析による若者在り方論、最後の方は、以前より多様になった人間関係の中で対話を通して合意形成をはかろうとする若者のコミュニケーション論や組織論的な内容。論じ方は多様ですが、全体としてはまとまりのある印象でした。すららと読むことができました。
次は、『居場所の社会学』も読んでみよう。(つちなが)

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2013年09月12日

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現代の地方都市は、かつての田舎にあった煩わしい人間関係はなく、ショッピングセンターで匿名の買い物をし、好きな家族や友人とだけの関係だけで暮らして行くことのできるほどほどパラダイスであるという説。若者は積極的に都会へ出ようとはせず、また経済的に出ることもできない。そういう環境の中で、中途半端な田舎である地方都市は、都会よりもド田舎よりも他者への想像力の欠けた場所になる。
著者の研究対象は岡山県であるが、自分の知る静岡や茨城の都市も似ている。描写される郊外の国道沿いにチェーン店が立ち並ぶ風景は、映画の『悪人』の舞台とも重なる。地方に住む若者たちの(今は見えないが予感されている)孤独は、深刻なものがある。どうつながるべきか、地方に住む者の一人として考えていきたい。

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2013年08月13日

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ちゃんとしたアンケート、インタビュー、観察に基づく考察。。
現在、歴史、未来編の3部構成。歴史編が80年代から始まっているのは著者が76年生まれだから。もう少し前からの状況も知りたかった。親の世代の話になるのだろうが。
実際、地元に残った連中のほうが、収入は少なくて楽しそうに見える。親と一緒のケースが多いのは、この本で紹介されているのと同じ。
今さら地元には帰れない。

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2013年06月26日

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1.若者と余暇
ショッピングモールなどにより、余暇の満足度を高めている
ちょうど良い感じになっている
2.若者と人間関係
地元の人間関係中心
3.若者と仕事
やりがいは低いが親との同居により金銭面は満足だが、永続するものではない

4.地元が若者に愛されるまで
自分らしさを獲得できる場所
不安定な世の中を生き抜くため、地元の仲間の存在

5.ポスト地元の時代のアーティスト
新しい公共の構築にはポスト地元の地元のアーティスト
自分らしさは関係性にあり

6.新しい公共のゆくえ
ギャル的マネジメント
身近な人間関係の多様性に意識的で、同質的な仲間集団に対する愛着心は強いながらも異質な他者とのコミュニケーションを厭わず、謙虚に集団をまとめる仕切り方のこと
うちにこもる若者を外に引き出すコツを導く鍵
同化から統合へ

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2021年06月12日

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再読。以前読んだときには実際に地方に住むことになるとは想像していなかったけれど、現在の地方在住の身としては、地方の若者に焦点を当てた「現在編」の内容をもっとたくさん読みたかった。「おわりに」で『ジャイアント・キリング』を例に挙げて、キャプテンが監督を兼任しない新時代のマネジメントについて書かれているけれど、最近観たばかりの『メジャーセカンド』はキャプテン・監督兼任であり、『ジャイキリ』のさらに先で、どちらもありという多様化の時代になっているのかもしれない。

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2021年01月30日

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社会学者の著者が、岡山での社会調査をもとに、リアルな地方社会における若者の姿を描き出す。
現在篇では、1990年代以降のモータライゼ―ションが、現在の地方の若者の生活と満足度に大きな影響を与えていると指摘。1つは、余暇面で、大型ショッピングモールが立ち並ぶ郊外が、地方の若者にとって「ほどほどの楽しみ」を与えているという点。もう1つは、人間関係の面で、家族と同世代の仲間だけで構成される、地域社会における煩わしい人間関係を排除したノイズレスな人間関係が、若者にとっての地方都市の魅力を高めているという点である。一方、地方の若者たちの仕事に対する満足度は著しく低く、若者の多くが仕事に対する満足度の低さを仕事のやりがい(精神面)と親との同居(金銭面)によってカバーしていることを指摘している。
過去篇・未来篇では、1980年代~2010年代を代表する(と著者が考える)Jポップアーティストの楽曲を分析することで、若者の自分らしさを巡る心性の変化を分析している。1980年代、若者の自分らしさは、社会への「反発」により担保されており、若者にとって地元とは、退屈な日常を象徴するもので、魅力的なものではなかった。1990年代、「大人の世界」の安定性が崩れ、若者の自分らしさは、夢を叶えようと努力することにより獲得されるものとなったが、努力の称揚は競争による「勝ち組」と「負け組」を生み出し、若者たちは「人と人との関係性」によって自分のアイデンティティを確保する方向へと向かった。2000年代、モータライゼーションの完遂は「世界から自分たちを守ってくれる楽しい地元」を出現させた。
2010年代、「ポスト地元の時代」のアーティストは、「他人のことは分からない」という前提を持ちながらも、「他人とぶつかり合いながら自分たちを高めていく」という新しい世界観を提示し、「他者との出会いのなかで試行錯誤する自分らしさ」という自分らしさの新しいモードを生み出した。社会の安定性の崩壊は、画一的な生き方の押しつけから若者を解放したが、同時に、必要不可欠な公共性さえをも喪失させてしまった。この状況を打破するための「新しい公共」の構築には、「ポスト地元の時代」のアーティストに見られる姿勢が求められていると指摘。また、「新しい公共」の構築への鍵として、「ギャル的マネジメント」(身近な人間関係の多様性に意識的で、同質的な仲間集団に対する愛着心は強いながらも異質な他者とのコミュニケーションを厭わず、謙虚に集団をまとめあげていくような仕切り方)を挙げている。そして、現在「こもっている」若者は、「分離」の段階にあり、既に「統合」に向けた準備ができているのではないかと指摘し、「こもってないで外に出ろ」と声高に叫ぶような、社会の他旺盛に鈍感で未だ「同化」の段階にある大人たちより若者のほうが「新しい公共」に近い場所にいると言えるだろうと述べている。
いかにも社会学という感じの本。インタビュー調査に基づく現在篇は、自分と同世代でありながらも、自分自身はあまりその文化になじんでいない「地方の若者」のリアルな姿を知るのに有益であった。一方、過去篇・未来篇は、もっともらしいことを書いているが、著者の恣意的な分析・主張になっており、客観性に乏しいのではないかという印象を抱かざるを得なかった。取り上げられているJポップアーティストが、それぞれの時代を代表するものといえるのかというところから疑問がある。

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2019年05月11日

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若者の職業意識について知る
仕事と余暇
日常プラスアルファが 快適に過ごしやすい
マイナスリスクを避けたい
ショッピングモールが地方にも出来若者をターゲットにしている
十分満足しているようだ
音楽(ロック)に見る 今に至るまでの背景の検証

まとめ方は上手である本文で2回

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2016年07月26日

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新聞の書評に惹かれて読んでみた。著者が地方の若者を取材してまとめてあり説得力はあった。地方の若者は横のつながりはあるが縦とのつながりは希薄で強く地元を愛している訳でもなく、自動車圏内で買い物に困らない施設があることが、若者に地方での生活に満足を与えている。確かに最もな話で地方都市に住んでいる自分にもしっくりくる。ただ、Jポップに絡めた話は最後のほうがわかりづらかった。。。

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2015年11月09日

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2015.08.購入。
2013年発行だから、2年遅れで読みました。前半は、というか現代編まではタイトル通りでした。
けど、後半はJPOP評論に感じられました。
タイトルに惹かれた人には、現代編だけが意味あるのでしょうけど、自分は後半のJPOP評論が面白かったです。
このあと出てきた、セカオワとか、かまってちゃん、とかは、どういう解釈にされるのか?続きが読みたい所です。
特に気持ちが悪いクリープハイプは、どういうふうな解釈になるのか?
ちょっとオビの煽りがオーバーに感じられました。
前半の内容でもっと突っ込んで書いたものの方、オビの通りかな。

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2015年08月22日

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まとまってて、なるほどなーと思うけれども、boowy、B'z、ミスチル、キックときてラドウィンプスだかなんだかの分析に入ってくると、「この音楽がほんとに世代の意見を代表してるの?」という疑問が。

せめて、世代別のセールスデータとかがあればよかったんだろうけど(本ではyoutubeの再生回数が示されるが)。

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2014年05月02日

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何となく納得することも多い。音楽で辿る部分とか、匿名で可能な生活とか。でも、最後の音楽史はジャンルが偏ってるんじゃないかとも思ってしまった。

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2014年02月15日

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ネタバレ

休日イオンで過ごすしか選択肢がないなんて嫌だ。
この前読んだ震える牛じゃないけど、地方もSCの餌食となっている。お仕着せの娯楽にお金を吸い取られているだけ。

自分も家族・友人とはまあまあ接点があるが、大人になってから地域の活動は殆ど参加したことない。災害の時に困るかな。。その時のためだけに仲良くする、っていうのも下心満載な気がする。

一若者として、家族や気の合う友人とだけつるんでいては人間性が凝り固まっていってしまうという危機感がある。もっと外に出て、多様な価値観の人にもまれるべきだと。けど外に出るお金も勇気もないのよ。

やりがいがあると思い込むことによって低賃金の仕事を耐える、か。。

★紹介された曲
・Avril Lavigne - Complicated…昔のままの素直な自分でいられる巨大なショッピングモールが懐かしい。
・Green Day - Jesus Of Suburbia…アヴリルと違い、郊外の影を描く。暴力・薬物・アルコール・親の放任。
1988日本映画「So What」では主人公は親のしがらみから逃げようと都会へ出ていくが、この外国の少年は逃げるものなど何もない。

・BOOWY/氷室京介(80s)
SCHOOL OUT/WATCH YOUR BOY/GUERRILLA/RATS/ELITE…自分を抑圧するものから頭の中だけで逃げて、反発することが自分らしさ。
・B'z(90s)
Stay Green~未熟な旅はとまらない~/ねがい/BREAK THROUGH/F・E・A・R/ギリギリchop/Boys in Town…自分らしさは努力の過程で得られる。夢は叶えるもの。
・Mr.Children(90s)
名も無き詩/everybody goesー秩序のない現代にドロップキックー/東京/しるし…周りとの関係性によって自分らしさを再定義。感謝せよ。
・KICK THE CAN CREW(00s)
イツナロウバ/アンバランス…郊外の地元最高。モラトリアムの中で仲間と夢をかなえる。
・ONE OF ROCK(10s)
未完成交響曲/完全感覚dreamer/アンサイズニア/夜にしか咲かない満月…自分たちが強くなるためには居心地のいい場所は出ていかなくてはならない。違う他者とぶつかり、試行錯誤する中で見えてくる自分らしさ。
・RADWIMPS(00s)
おしゃかしゃま…社会システムの構築の重要性。

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2014年02月19日

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メルクマール イオン的なところ 倉敷市 鳥取県米子市 宮崎あおいアース 倉敷チボリ公園の跡地にアリオ倉敷
モータリゼーション (motorization) とは英語で「動力化」「自動車化」を意味する言葉で、すなわち自動車が社会と大衆に広く普及し、生活必需品化する現象である。狭義では、自家用乗用車の普及という意味で言われることが多い。国立国語研究所では、その「外来語」言い換え提案の中で「車社会化」という代替表現を提示している。
つまらない地方と刺激的な大都市という二項対立 程々に楽しい地方都市という選択肢 カナダ人アヴリルラヴィーン ファスト風土 ショッピングモール グリーンデイ 1988ソーホワット 群馬県高崎市 ボウイ 社会への反発+母性による承認 稲葉は反発ではなく努力をキーワードに、自分らしさを再定義した 様々なレトリックを駆使してリスナーをキミとボクの世界に引きずり込んでいく巧みな歌詞は関係性の魔術師たる桜井の面目躍如である。 キックザカンクルー レペゼン 江戸川のロックオン マクドナルドよりドムドム チャリで舞浜駆け巡りますか? サンチェーン アンサイズニア 完全感覚ドリーマー 夜にしか咲かない満月 野田洋次郎 おしゃかさま
第1象現は右上、第2象現は左上、
第3象現は左下、第4象現は右下。
90°180°270°360°は、
どこの象現にも含まれません。
変化するバイト先の風景 KY 蔑称
蔑称(べっしょう)とは、ある特定の性質を持つ者に対し、軽蔑や卑下を込めて使用する 呼称である。 イルボン チョッパリ ヤンキー的マネジメントとギャル的マネジメント スクールカースト 謙虚な俺様 統合 ワンオク 開かれている ジャイアントキリングに見る新時代のマネジメント

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2014年01月10日

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「私生活主義」として、 「他者」を「ノイズ」として排することを目的として、同質的な人びとが集まってかたちづくられてきた郊外。両親はその典型。「うるさい他者」から逃げて自分の「家族」だけの世界をつくってきた。でも子供も他者なわけだから子供が大きくなると他者として出て行くことになる。そこまでも呑み込んでいこうとしても無理で結局そこで他者とのルールが必要になる。そういう家族たちの集まりが新興住宅地だ。そこにないのは、文化ではないか。自分勝手は居心地はいいが、自分だけの薄っぺらい我が儘なルールは文化にはなり得ない。所詮自分勝手でしかない。文化はどこへ行ってしまうのか。

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2013年11月04日

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大学時代の社会調査実習を思い出した。
はい、はい。対面インタビュー形式のアンケート。
事前に選挙人名簿からハガキを出し、回答のあった人のところに直接出向く。磐田市の田んぼの中をグルグル回ったっけなー。。。

あれ、その時のテーマって何だったけ??
Jリーグとなんちゃらの関係性…だったっけ??

さて、本書はそのようなフィールドワークの結果を元に考察を行っているのだが、モータライゼーションがもたらした「ほどほどパラダイス」は確かにその通り。東京まで新幹線で2時間半という地方に住んでいる身としては、わざわざリスク(家賃を含む物価の高さ・コミュニティの一からの構築など)を冒してまで「都会」に出ていく理由が見つからない。もちろん、叶えたい夢などがある場合は別だけど。
今どきの高校生も「親元から通えるところ」に就職または進学希望するもんねー。ワタシは「進学を機会に東京に行きたい」と思った人間(でそれを叶えた)なので、本書を読んで今日日の若者の志向をなるほど~と理解した。
後半の「J-POP(というかロック)」から見る若者の変容は、歌詞を元にそれに共感熱狂する若者の姿を分析しているが、地方で音楽を糧にしていたものからもう一言足すとすれば、モータライゼーションに加えインターネットの普及は音楽を発信する者にとって、「わざわざ東京に行かなくてもヒーローになれるかも」と思わせてくれちゃった。実際に地方在住のミュージシャンは80年代などに比べると格段と増えたし。
インターネット通販の充実も確実に若者を地方の「ほどほどパラダイス」に引きこもらせる理由となっているよね。

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2013年09月16日

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多様性を前提とし「分離」状態にある男性「統合」状態にある女性の若者。単一な共同性を前提とした上世代より、新時代への可能性を秘める。

読み解かれていたたくさんのJポップ。ほとんど名前も知りません。これも、家族を含む身の回りの社会が小さくなった影響か。

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2013年12月15日

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「地方都市はほどほどパラダイス」と
書かれた帯に目を惹かれ、手にした一冊。

かつての地方都市には商店街があり、若者の生活の一部として存在したが、現在の若者が地元のことを語る時には、「商店街」という言葉は無いという。

「つまり、商店街とは、若者にとって、地域社会における人間関係を学ぶ場所であるとともに、『よく分からない人』に出会わないと生活必需品を手に入れることができない『ノイズ』だらけの場所でもあった。(中略)モータライゼーションとは、そうしたノイズに満ち溢れた人間関係からの解放でもあったのである。」(p.52)

モータライゼーションとは、簡単に言うと、自動車の移動を前提とした街の作り方である。
地域社会との関係が無くても、今は良いのかもしれないが、今後はわからない。
自動車と街作り、そして地域社会との関係について、今後考えて行く必要があると思う。

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2013年08月01日

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サバービアの若者、その心象風景をJ-POPの歌詞から読み解く!という着想にびっくりしました。ファスト風土が原風景である若者は、いったいどんな世界を夢見ているのか?なーんて。著者はさらにこの方向で調査考察を進めていって欲しいと思います。

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2013年07月17日

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若者による"地方観"の変遷を、若者にウケているJ-POPの変遷から見ていくという着想自体はたいへん面白い。
だが、BOØWY('80s)→B'z('90s前半)→Mr.Children('90s後半)といった、それぞれの時代を彩ったロックバンドの歌詞を分析していったのちに、00年代を紐解く題材にヒップホップグループであるKICK THE CAN CREWが登場する唐突なチョイス(この時代にヒップホップが一世を風靡していれば話は別だが)には、やや疑問を呈さざるをえない。
また、10年代の分析として『おしゃかしゃま』が挙げられているRADWIMPSについても、「試行錯誤する自分らしさ」というよりは、90年代後半のミスチル的な「関係性によって作られる自分らしさ」を標榜した曲が多いイメージがあるのだが…。
このように、J-POPの歌詞分析にあたっては、多少の作為的な意図が透いて見える点は否めない。

とはいえ、岡山県でのフィールドワーク調査からの丁寧な分析は見事であり、地方都市の"ほどほど"さに魅力を感じている若者像を的確に捉えている。岡山市出身である私にとっても頷ける内容の多い、圧巻の鮮やかさであった。
過剰にも見えるイオンモールの位置づけだが、岡山県のイオンモール依存は本当に根深く、大型ショッピングモールという"ほどほどパラダイス"は、モーターライゼーションの進んだ地方にこもる人々にとっては、絶好の「樹液のなる幹」なのである。

各章で新鮮な知見の提供が為されている一方で、その繋がりをやや薄く感じてしまわざるを得ない点が、やや残念に思う部分。
しかしながら、各章の内容を繋ぐ明瞭な共通項を見出すことができれば、より興味深さを増した、ポップで新鮮な若者論となるであろうことは間違いない。
筆者には、引き続きの細やかな分析を期待したい。

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2013年07月13日

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ネタバレ

日本でもっとも幸福なのは、郊外に住む若者なのかもしれない。刺激は強いがストレスも多い大都市、自然は豊かだけどしがらみもキツい田舎、そんな二項対立の構図のちょうど間にスポット的に登場したのが郊外なのである。

仕事は低賃金だけれどもそこそこに、夜や週末は気の合う仲間とモールやファミレスで過ごし、家族とも仲良く同居しているのだけど車で移動するので地域コミュニティとの関係性は薄い。そんな郊外の若者像を切り取り、ほどほどにパラダイスな状況を解説している。

新書なので軽く読める感じであり、またアンケート自体を個人的に馴染みのある岡山県内で行なっているせいか、いろいろ具体的な人たちの顔を思い浮かべながら頷ける部分も多々あった内容だった。一方で面白おかしくするためにJPOPなどの時代背景を引っ張り出してくるのは良いアイディアだと思う。

■80年代 BOØWY(反発の時代)
氷室京介、布袋寅泰たちは地元を中心に、管理したがる大人社会への反発がテーマとなっていた。若者たちはいつも何かから逃げて解放されていた。漫画で言えば『シティーハンター』『北斗の拳』のように絶対的な悪と戦うことでカタルシスを感じさせるものが多い。

■90年代 B'z(努力の時代)
稲葉浩志、松本孝弘たちはとにかく自分が高みに登っていくことで自由になることを説く。若者は何もない地元を捨て、マゾヒスティックに戦い続けることで自分らしさを獲得する。漫画で言えば『ドラゴンボール』『スラムダンク』のように、自分を高めることでより強い相手と戦うことになる。

■00年代 Mr.Children(関係性の時代)
桜井和寿の詩はギラギラした反発や努力とは決別し、周囲に感謝することを説く。男女同権となって母性は弱くなり、女性は癒すものでも守るものでもなくなり、不安定な時代に対してともに歩いていくパートナーとなっていく。漫画で言えば『るろうに剣心』『ワンピース』のように、仲間を守り協力していくことで強敵に立ち向かっていく。

■10年代 KICK THE CAN CREW(地元の時代)
KREVAは仲間へのリスペクト、地元への愛情を恥ずかしげもなく歌う。都会に出ていくことはほとんどなくなり、むしろ地元を守りながら仲間と夢を叶えていくことで、自らのアイデンティティを獲得していく。漫画で言えば『NARUTO』『進撃の巨人』のように、自分たちのテリトリーを脅かす相手を仲間と協働しながら守っていく。


80~90年代に地元から逃げ、故郷を捨てていった若者たちは、再び地元に戻り始めている。しかしそれは必ずしも旧来の地域コミュニティと密接に関わっているということではなく、むしろ自分と同年代の気の置けない仲間たちのみで集まり、ちょっと離れたショッピングモールに出かけるといったライフスタイルが主流となっている。

そんな郊外で外の世界と隔絶した暮らしを送る地元志向の若者たちが、ホントの意味での地元振興に目覚める日は来るのであろうか。そのタイミングとなるのが子育てであり、スクールカーストのようにギャルが最上位になっている時代において、女性から地域コミュニティと繋がりはじめるのではないかという予測は至言である。

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2013年06月29日

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ネタバレ

【内容】 都会と田舎の間に出現した、魅力的な地方都市。若者が地方での生活に感じる幸せと不安とは―?気鋭の社会学者が岡山での社会調査を元に描き出す、リアルな地方社会の現実と新しい日本の姿。 (「BOOK」データベースより)

【感想】 地方にこもる若者の傾向を、調査から読み解く「現在編」。①地方都市の「ちょうどよい感じ」はが理想的な生活の場である。②家族と同世代の仲間で構成され、地域社会における煩わしい人間関係を排除したノイズレスな関係がある。③仕事への満足度を、やりがい(精神面)と親の支援(金銭面)によってカバーしている。といった地方都市に生きるものとして共感できるものがある。

 Jポップの歌詞から若者の変容読み解く「歴史編」。80年代のBOOWY(反発の時代)→90年代のB'z(努力の時代)→90年代 のMr. Children(関係性の時代)→キック・ザ・カン・クルー(地元の時代)→ワンオクロック(ポスト地元の時代)という整理(P170)は、うまくまとまりすぎているが、何だか納得してしまう。人気の歌は、その時代の若者の思想・様相をうまく語っているのであろう。特に、Mr. Childrenの「関係性」の中に自分らしさを見出してきたというのは、そのとおりなのかもしれない。

 これらの若者の傾向・変容の流れのなかで、これから地方都市でこもりながら「新しい公共」が育っていく可能性を筆者は提示する。このあたりは、さらなる調査・研究により深まればと思う。かつての安定した社会・公共性が崩れていくなかで、これからどのように私たちは、社会を生きるべきかを考える必要がある。そのきっかけは地方にあるのだろう。

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2013年06月28日

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朝日新書らしいかるーい新書。
地方都市の変容とそこにおける若者について。イオンモール的なものにより、地方都市の魅力は増し、商店街は壊滅して地域の人間関係は薄らぎ、、、
部分部分は納得できるのだが、全体像で見るとちょっとこれ200ページ程度の新書でやっていいの?という粗さ。ギャルについてちょっと分析して、今の若者は多様性に対して柔軟に対応しているなどといって良いものか?
あと、突っ込みどころは多いものの、JPOPからその時代時代の若者像を分析するのも面白かった。ここでも正しいものは面白く無いが成り立つような。

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2013年06月22日

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