【感想・ネタバレ】背表紙は歌うのレビュー

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Posted by ブクログ 2016年05月26日

出版社営業井辻君の奮闘が楽しい小説。今回も作家の書店回りや賞レースにまつわる話などなかなか一般人の知りえないエピソードが多くて面白かった。最終章には「成風堂書店シリーズ」との絡みも少し。影山先生は成風の3作目に登場していたし、佐伯の真柴さんは親しいお店のようですが、真柴さんあちらのシリーズには出てい...続きを読むたかな?真柴さんラテン系の調子のいい営業マンと言われつつ、井辻君をいつも助けてくれて好きなキャラです。

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Posted by ブクログ 2017年08月12日

【あらすじ】
作り手と売り場、そのふたつを結ぶために。出版社の新人営業マン・井辻智紀は今日も注文書を小脇に抱え、書店から書店へと飛び回っている。しかし取次会社の社員には辛辣な言葉を投げかけられ、作家が直々に足を運ぶ「書店まわり」直前にはトラブルを予感させる出来事が…。井辻くんの奮闘をあたたかな筆致で...続きを読む描いた、本と書店を愛する全ての人に捧げるミステリ短編集第二弾!

【感想】

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Posted by ブクログ 2016年01月24日

 本好きにはたまらない設定で,本はなるべく古本屋で買わず,本好きとして本を買って,業界を盛り上げていこうという気分にさせる作品。そういうパワーがある。プロモーション・クイズこそ「あれっ」と思うデキだったが,全体的んいレベルは高い。ミステリ・ミステリした雰囲気の作品ではないが,軽く読めてほっこりできる...続きを読む作品ぞろい。好みの作風ではないが,十分楽しめた。★3で。

 個々の作品の所感は以下のとおり

○ ビターな挑戦者
 ゼンパンと呼ばれる出版社と小売業を結ぶ取次業者の名物社員である「デビル大越」にスポットを当てた作品。用意された謎は,デビル大越は,なぜ,出版社を憎み,書店を憎まないのか。主人公,井辻が,編集の吉野から与えられたヒントは「蒼の月」という文庫本。どこかの書店が取り上げて,火をつけた本だという。「蒼の月」と大越の関係は?
→「蒼の月」をヒットに結び付けた書店である「モリト書店」で,大越は昔働いていた。しかし,その書店は,本の洪水にのまれ,溺れ死んだのだという。そのことを思い,ゼンパンで,自分なりの方法で書店を盛り上げているのだと。吉野がこのことを知ったのは,偶然訪れたとんかつ屋で,当時,大越が勤めていた書店の写真を見たことがあったため。ちょっとほっこりするタイプの作品。良作
○ 新刊ナイト
 自伝的要素が強いという高校が舞台としたダーティな新作を書いた白瀬みずきという作家に焦点を当てた作品。白瀬はサイン会はNGだが,書店を回ってサイン本作りをすることになった。白瀬は,自分の過去を知っている人間に会いたくないからという理由でサイン会をしていない。しかし,サイン本作りで回る予定のナガマツ書店に,白瀬みずきと高校時代の同級生だという男がいた。書店周りの後に,トークショーがあるので,白瀬を動揺させることはできない。男と白瀬を会わせるわけにはいかないのだが,井辻が見る限り,男は悪い人には思えない。井辻がそれとなく探ってみると「人間失格とか,こころとか,蜘蛛の糸,山椒大夫,走れメロスや風立ちぬ。どれも彼女を思い出します。会ってみたいと思う。会えるのが楽しみです」という謎のメッセージを伝えられる。井辻は,白瀬と男を会わせるのか?
→井辻は白瀬との会話などから,白瀬と男が高校一年生時代の友人であり,白瀬の本に出てくる小学校時代の恩師役の人物のモデルが高校一年生の時の同級生だった男であると見抜き,二人を会わせる。フロアでは感動の再開がされるというほっこりする話

○ 背表紙は歌う
 井辻の先輩の営業ウーマンである久保田。久保田は昔,書店の店長と結婚して新潟で4年生活していたという。夫の浮気が原因で別れたが,夫の連れ子だったマリとは非常に相性がよく,今でもマリのブログを見ている。マリのブログを見て,書店で何かが起こっていることに気付く。真柴を通じて,書店で何が起こっているかを探ると,店長と地元の名士が仲たがいをしているという。仲たがいの原因は何か?久保田と井辻は,何かをすることができるのか。
→店長が,店のレイアウトを変えた際に,地元の本を扱うスペースを減らしてしまったことから,地元の名士が腹を立てたというのが真相。そのことを真柴を通じて伝えた。久保田と店長が寄りを戻す可能性を示唆しつつ,物語は終わる。悪いデキではないが…。ふつうのデキか。

○ 君とぼくの待機会
 東々賞の候補作となった6つの作品。賞をめぐる背景が描かれるが,途中,井辻は,この賞は出来レースで受賞作が決まっているという噂を書店で聞く。いくつかの書店で々噂を聞き,噂は候補作の作者の耳にまで入る。井辻達は,噂の出所を調査するが…。
→真相は勘違い。受賞者の言葉として紙面に掲載される前撮りのインタビューの話を聞いた書店の店員が,受賞をしたと勘違いをし,噂を広めたというもの。これは,ミステリとしてなかなか楽しめる習作。受賞作を明かさないで終わる終わり方も好み。

○ プロモーションクイズ
 宝力宝賞を受賞し,受賞後第一作を出版する塩原健夫。ゲラを渡し,書店員に推薦文を書いてもらおうとするが,その月は話題作が多く,なかなか書いてもらえない。しかし,塩原の新作にはなぞなぞが掲載されていた。そのなぞなぞのお返しとして,成風堂の書店員からなぞなぞが届く。いろいろな本屋でなぞなぞに取り組むためにゲラが読まれることになる。なぞなぞは暗号のようなもの。暗号解読に焦点を当てた作品。
→なぞなぞは,「晴れた日には解けない」というヒントから「たいよう」の4文字を除いて読むというものと,「蛍が答えを照らす」というヒントから一番最後の文字を読むというもの。ミステリとしても,小説のデキとしても,及第点以下のデキ。軽く読める作品ではあるが…。

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