感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
タイトルがまずすごくいいよね。
ひらたくいうと、
2人の男が旅をして失恋へといきつくまでの
奇妙な道中を描いた物語。
柴崎さんの話は、心理描写というのがはっきりしない
印象があるのですが、
その代わりに、人物の動きとか言葉そのものが心理描写といってもいいくらいに登場人物の心情が伝わってくる時がある。
言葉がとてもたおやか。
言葉が冷たくなく、かといって熱すぎることもなくひんやりしている。
言葉がやわらかでありながら、このすごく細い糸がぴんとはっているような芯がある。
私の憧れの作家さんですね。
Posted by ブクログ
大学生とアルバイターのテキトーで楽天的な旅。
胸に一物隠して、とか、暗い過去が、とかではなく、ただこういう来歴の人物が4人、深夜の高速の車中にいればこういう会話があるよね、という程度の話。
中高は非モテ、大学で多少なりともゼミのリア充友人と交流をして、かすみ程度にその匂いを感じたこともある身として、
ああこの人は池○くんだな、とか、ああこれは兼○くんっぽいな、とか、コロ助の妙な理屈っぽさはまぎれもなく自分か平○くんか斎○くんかというところだなー、とか、連想も楽しかった。
この日々は、きらきら輝いているわけではないが、深夜に遠くのほうでぎらっと光る遠雷がある。
それは忘れがたいのだ。
まったく、記憶の底に澱のように、その後数十年残るのだろう。
そこまで仰々しく書き立てなくとも。
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後半に少し日付の揺れ、一人称の揺れがあるが、ちょっとやってみましたー、という程度。
ひたすら眠いというギミックひとつを引き延ばして。
悪い意味でのJブンガク的な気取りやお洒落志向があり、若い女性の感性だから許されるっしょーという甘えがあるのでは。
オフビートな筆のすさびのように見せかけた堅牢な作風、が持ち味の作者のはずなのに、本当にすさびしてしまった。