感情タグBEST3
Posted by ブクログ
目次
・油屋の若女将
・お人よしの頓馬
・大野山本遠寺の出入
・伊勢古市からの便り
・情けは人の為ならず
・安五郎の大名行列
・春のそよ風
・神明前のお助け医者
啓順シリーズの最終巻。
のはずなのに、最後の最後まで啓順がどうなるかが見えてこなかった。
の割には、急転直下で納得の大団円。
上手いなあ。
今作は連作短編というよりも、長編のように各話がそのまま続いている。
啓順も医者というよりは、流れ者のごろつきの親分のような役割を求められている。
今までの作品とは少し毛色が変わった感じ。
だけど相変わらず厄介ごとに巻き込まれ、断ることが出来ずに流されていく。
それが啓順の命を救うこともあり、幸せとすれ違うこともある。
啓順の人の好さにもどかしさを感じながら、親分が板についてくるのには「ちょっと待って。啓順はそんな人生でいいの?」とたじろいでしまう。
時々実在の人物がストーリーにかかわってくるので、もしかしたら啓順も実在の破天荒な人物なのか?と思ったり。
最後がちょっとあっけなかったけれど、江戸末期という時代、啓順という人物、伊豆や甲府、伊勢に京都などの地方の様子も興味深く、あっという間に読み終わってしまった。