【感想・ネタバレ】パンツァークラウン フェイセズIIIのレビュー

『マルドゥック・スクランブル』が愛読書の私が、読み始めたら止まらない新人作家の作品に巡り会えました。
舞台は西暦2045年。大震災により崩壊した東京は層現都市「イーヘブン」になっており、AIの<co-HAL>によって人間の行動・職業などが制御されています。
主人公の「広江 乗」は、一度は<co-HAL>よりイーヘブンを追放され、漆黒の強化外骨格<黒花>をまとい世界を巡っていた。その後、<co-HAL>に「hero」の役割を与えられイーヘブンに迎えられることに。追放された際の記憶が欠けた乗は、なぜイーヘブンを追放されたのか、今なぜ呼び戻されたのかさえわからない。そこに白き強化外骨格<白奏>をまとう「ピーター」が現れて…。乗の過去とは?ピーターの目的とは?そして<co-HAL>とは?
多くの謎が仕掛けられ、SFとしてだけでなく、ミステリーとしても楽しめる作品。伊藤計劃や冲方 丁が好きな方には特にオススメです!

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Posted by ブクログ 2013年10月20日

―――西暦2045年、大震災で崩壊した東京は、行動履歴解析(パーソナライズ)と
現実への情報層(レイヤー)付与を組み合わせた制御技術〈Un Face〉により、
完璧な安全(セキュリティ)を実現した層現都市イーヘヴンに生まれ変わっていた。
そこへ漆黒の強化外骨格を身にまとう青年・広江乗(ひろえじょう)...続きを読むが、民間保安企業の契約者として派遣される。
だが彼には、この故郷を離れざるを得なかった過去があった。
そんな乗を試すかのように、白き男ピーターがイーヘブンに降り立つ。

平積みされてるのを見て衝動買い
強化外骨格とか拡張現実とか、心くすぐられるよね!!!

新人作家のデビュー作とは思えないほどのボリュームと構想
随所に伊藤計劃と似た感じが見受けられるので、彼の作品を楽しめる人は結構好きだと思う。

デビュー作だからなのか、この作家の癖なのか場面転換が分かりづらいところがあるけど次回作以降に期待したい。

物語が進むにつれて、過去の事実や事件が持つ意味がガラッと変わる瞬間がいいね。



われらいずこより来たり、われらは何者か、われらいずこへ去るのか。

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Posted by ブクログ 2022年04月05日

――

 なんだかどこか醒めている。


 ばっちり面白かったし、作り込まれてもいるんだけれど。PSYCHO-PASSと楽園追放からの流れで読んだので内容的には期待通り、期待以上。けれどなんだか所々にある無理筋というか力技というか…子供が人形遊びでヒーローごっこやってるみたいなところが(すげぇ悪口じ...続きを読むゃん)、なんだか。作りが良いだけに残念。

 それでもやはり、この年代の代表作というか、指標的な作品ではあるのでしょう。この手の世界観を、皆が共有できるくらいには誰でも思い付けそうになっている、っていうのはジャンルが成熟してる証だよなぁ。
  かと云ってこれを皆が書けるかというとそんなことはないのだ。真似する輩は増えるんだろうけど。そのへん、丁度一昨日くらいにダウンタウンのフリートーク漫才が話題になったけれどそれと似ている。誰にでも出来そうで、けれど本当は、特定のひとしか成立させることのできない凄みみたいのがある。それを可能にさせるのは何か、じっと考えてみよう。

 ☆3.4


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Posted by ブクログ 2017年04月01日

ぶつかり合う「黒」と「白」。己に与えた役割を、破壊という形でしか表せない愚かしさ。しかし、演じ続ける姿の裏側にある、理想の形を造り上げようとする姿は、理解される事無く自己欺瞞のまま消えていく。死にゆく運命に導かれる理不尽さを、抗う事でゼロに戻す。理想の世界を閉じ込めた箱庭は、歪みに気付かぬまま繁栄を...続きを読む謳歌する。生と死。勝利を追い求めた後に残る物がどちらだけだと言うなら、空虚さだけがこの世界を満たしており、それを否定出来るのも人間である。戦いの後に、新たに構築されるものが何であるのかを知りたいと思った

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Posted by ブクログ 2017年03月15日

この話のテーマは世代交代ということだろうか。
偶然繁栄した都市というのは印象的。
EPILOGUE FACESで乗や多くの登場人物が幸せに暮らしているのがわかったが、少し蛇足感がある気がする。いらなかった。
それにしても人柱を建てなければ維持できないシステムというのは分かるが、わざわざ一人殺すのが意...続きを読む味わかんない。
それなら、やはり私はシビュラシステムの方が好きだ。
そういえばこの世界は、ディストピア小説で形容するのなら、ハーモニーと素晴らしい新世界を足して二で割ったような世界だった。
ダニエルの想いはきちんと妹に伝わったのだろうか。
伝わっているといいのだが…。

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Posted by ブクログ 2013年08月13日

東浩紀が帯に大団円って書いてたけど、まあその通りだと思う。
この小説全体を通して言うと、痛みがないなーと思った。
腕切られても何されても3Dプリンターでプリントしたら終いだし、だから登場人物がいくら痛みに苦しもうがそれが全く伝わってはこなかった。
まあでもこの3Dプリントでこういうことが出来たら凄い...続きを読む良いだろうし、そういう未来を否定するつもりはないんだけど、あまりにも万能すぎて興ざめした。
今後これが世紀の名作とかになることはないだろうけど、まあまあ面白い部類の小説ではあると思う。

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