あらすじ
「哲学史上の〈異物〉」とも称されるスピノザ――その異例の思考を、シュトラウス、アドルノ、バーリン、ネグリ、シュミット、三木清らと対峙させ、思想史の読み替えとオルタナティヴな政治哲学の可能性を探ろうとする試み。
スピノザの思想は、そこに姿を映した者が、自らの歪みや偏り、あるいは秘してきたものを大写しで見させられる、精巧に磨き上げられた水晶玉のようなものなのかもしれない……。思想史を反転させ、「もう一つのあり得る思考」の水脈を明るみに出す。良心、徳、暴力、民主主義、自由、権力、国家――政治的思想の中心概念を揺るがす、「異物」が照射する未聞の思想史。
◆書評掲載
2020年01日26日読売新聞朝刊評者:山内志朗 氏
2020年02月22日図書新聞No.3436評者:平尾昌宏 氏
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Posted by ブクログ
ニーチェ、シュトラウス、アドルノ、ネグリ、バーリン、シュミット、三木清らの思想と対峙させながら、スピノザ哲学の核心を浮かび上がらせる好著。
精神と身体、理性と情念、国家と個人、自然と人間、これらの対立を、神の変状としての様態が孕む「コナトゥス」=自己を保存しようとする力がさまざまな出会いの中で触発し合う効果とみなすことで多様性を保持しつつ一元論的に解明するという驚くべきスピノザの洞察。
良心の起源をめぐるニーチェの記述は印象深い。
「スピノザにとって世界は、良心の疚しさが、創案される以前のあの無垢=負い目のなさの状態へと立ち戻った」
現代を生きる私たちにとって、今まさに読まれるべき哲学である。