「掏摸」という言葉は、「獏」の文字に似ているからか、まるで動物の名前のように見える。この小説は、生活のための掏摸ではなく、掏摸という行為そのものに生きる男の話だ。無意識に取り、変装資金のために取り、愛する人が死んだ悲しさで手当り次第に取る。これはいわば「掏摸」という動物ではないか。
まず興味を惹かれるのは、華麗なる掏摸の技術の数々。標的探しから証拠隠滅まで、ルポルタージュのように闇の世界が描かれる。一般市民は身近に潜む危険にぞっとし、思わず財布の所在を確認してしまうだろう。
また、感情を排除した淡々とした描写が、読者を物語の深みへ引きずり込んでいく。財布を抜き取る手先の微細な緊張まで伝わってきて、その手を相手につかまれた瞬間は本当に身の毛がよだった。主人公の行いは、善か悪かで言えば間違いなく悪である。それでも読み進めるうち、彼のミッションの成功を我がことのように手に汗握って祈るようになってしまう。もちろん、自分の財布は鞄の底へ押し込みながらだけれど。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ 2024年04月08日
光が目に入って仕方ないなら、それとは反対へ降りていけばいい。
眩しすぎるものに直面した時に思わず目を背けてしまう反射を意図的に行う強さを痛いほど感じた。
Posted by ブクログ 2024年02月17日
「悪に染まりたいなら、善を絶対に忘れないこと」
演技の世界では悪役を(いかにも悪いやつ)として演じることで、そいつの「悪さ」が矮小化されちゃうという現象がままあります。
「俺は悪いんだぞ」と露骨に見せてくる人ほど「悪」としての深みはない。結果としての悪はあっても、「悪であろう」と演技すると、それ...続きを読むは所詮「悪でありたい人」の演技であって、本当の「悪」ではないということ。
本当の怖さ、恐ろしさは善悪や理解の彼岸にある。
他者や世界は、二元論で簡単に片付かないはずなのに、人1人の理解や想像におさまらないからこそこの世は「戦う価値がある」はずなのに、ともすれば私たちは世界を、他者を「わかった」と思って生きることができてしまう。
それは、世界に対して目を閉じている状態のように思う。
目を開けば塔がある。
もしもそこに塔が見えたなら。それは本当の意味で世界をあるがままにとらえている証左なんじゃないかと感じた。
それは世界の与えるすべてを「刺激」として味わうことしかしない木崎には決して見えないものなのではないだろうか。
だからあの500円は、その望み通りに誤差を生んだと信じます。
Posted by ブクログ 2024年01月26日
最初から最後まで面白かった
最後はどんな着地するのか全く予想できなかった
ちょっと最後だけ期待はずれだったけど姉妹作品で、その後のキャラクター達が描かれてるみたいなので納得
台詞もオシャレでセンスがある。
Posted by ブクログ 2023年09月10日
フィクション基準で読むことが前提。
とてつもなく暗いし、救いようなんて0。
いやマイナスがいくらあっても足りないやつだからね。
悲しいけれども。
主人公に特定名が存在しない稀有な作品。
凄腕のスリはその腕が故に関わっちゃいけないものに
関わってしまい、やがて必然的な破滅(?)を迎えます。
?なな...続きを読むのはその人次第だから。
どちらにしても地獄ではあるけれどもね。
Posted by ブクログ 2023年08月11日
何度でも言うけど、中村文則さんは狂った人間を魅力的に描写するのがうますぎる。
狂った雰囲気が漂っているページは、捲る手がほんとに早くなるし止まらなくなる。
Posted by ブクログ 2023年07月24日
めちゃめちゃ好きだった。なにが良かったのかと聞かれるとうまく言語化できないのだけど。作中のテンションと私のテンションがシンクロするくらい合ってたのかなぁ。スーッと世界に入り込み、また作品がスーッと私の中に入ってくるようだった。
終始アンニュイであり、終始スリリング。生を諦めてるのか執着してるのか。不...続きを読む思議な世界観。不穏な沈黙の時間を書くのが本当に上手だった。
押し付けがましくない性格の主人公が(人のもの奪うことを生業にして、なにがというかんじだけど)がすごく好きだった。
ストーリーの雰囲気や話の結末に好き嫌いが分かれるとは思うけど、私は本当に好きな一冊になりました。
教団Xはガツンと来て好きだったし、こちらはスーッと入り込んできて好きだった。
◆内容(BOOK データベースより)
東京を仕事場にする天才スリ師。ある日、彼は「最悪」の男と再会する。男の名は木崎―かつて仕事をともにした闇社会に生きる男。木崎は彼に、こう囁いた。「これから三つの仕事をこなせ。失敗すれば、お前を殺す。逃げれば、あの女と子供を殺す」運命とはなにか、他人の人生を支配するとはどういうことなのか。そして、社会から外れた人々の切なる祈りとは…。大江健三郎賞を受賞し、各国で翻訳されたベストセラーが文庫化。
Posted by ブクログ 2023年07月06日
「運命」について考えさせられる。巨悪(権力)によって描かれたシナリオ通りに物事が進んでいるとしたら。この喜びも悲しみも計画されたものだったら…。主人公をいつも見ている「塔」は何者なのか。
※異なる本の評価を書き込んでいました。
Posted by ブクログ 2024年02月11日
「何もかも憂鬱な夜に」と書き方は似ているなと思った。
佐江子の夢の件と、塔の件がこの小説の核にある。
その上で、掏摸のかっこよさを描いている。最後なんかはあまりにもかっこいい。
Posted by ブクログ 2023年06月10日
全編を通して、緊張感が続く、スリリングな作品です。
職業「掏摸」。その技術は、芸術的でさえあるのに、彼が所属できる社会はない。闇社会にも彼の居場所はない。
集団を拒否して、人生の暗がりを生きてきた報いか。それでも仲間を想う瞬間はあり、知り合った子供の行く末を憂う。
圧倒的な威圧感を持つ闇社会の住人、...続きを読む木崎。彼の孤独である人への限りない冷酷さ。苦痛に苦しむ人の心を見据えつつ、さらなる苦痛を与える享楽。自分の人生を掌握される恐怖。
リスキーでシンプルでドライ。冷ややかな文章とストーリーがとてもあっていて、次作の王国も読みたいと思いました。
Posted by ブクログ 2023年05月24日
見返すとか、抗うとか、這いだすとか、そんな立派な志しなんてなくてもいいから、「死なずにいよう」とだけ、若い人たちには思っていてほしい。諦念や絶望の先にも、全うするだけの人生の意味はちゃんと残されているから!
Posted by ブクログ 2023年04月18日
1.著者;中村氏は小説家。大学卒業後、フリーターを経て、「銃」で新潮新人賞を受賞し、作家デビュー。作風は、ドフトエフスキーやカミュ等の影響を受けて、重厚で陰鬱と言われています。幼い頃は、ほとんど読書せず、高校生になってから孤独に陥り、小説と出会ったそうです。「遮光」で野間文芸新人賞、「土の中の子供」...続きを読むで芥川賞などを受賞。作品は海外でも評価が高く、翻訳出版。デイビッド・グーディス賞(米文学賞)を受賞。
2.本書;西村(主人公)は、東京でスリを生業にしている。登場人物も裏社会の人ばかり。西村は、木崎という闇社会の男と出会う。木崎は他人を支配する事に喜びを感ずる悪人。木崎の指示に翻弄されながら、破滅へと向かう主人公を通じて、不条理な世界を描いている。本書は大江健三郎賞受賞。ウォール・ストリート・ジャーナル誌で、2012年ベスト10小説に選ばれた。18章の構成。
3.個別感想(印象に残った記述を3点に絞り込み、感想を付記);
(1)『第12章』より、「この人生において最も正しい生き方は、苦痛と歓びを使い分ける事だ。・・・悶え苦しむ女を見ながら、笑うのではつまらない。悶え苦しむ女を見ながら、気の毒に思い、可哀そうに思い、彼女の苦しみや彼女を育てた親などにまで想像力を働かせ、同情の涙を流しながら、もっと苦痛を与えるんだ。たまらないぞ、その時の瞬間は!世界の全てを味わえ。お前がもし今回の仕事に失敗したとしても、その失敗から来る感情を味わえ。死の恐怖を意識的に味わえ」
●感想⇒木崎(極悪人)の言葉です。「同情の涙を流しながら、もっと苦痛を与えるんだ。たまらないぞ」を読むと、常識人とは思えません。❝同情したら、優しい言葉の一つでもをかけたい❞と思うのが人間です。西村は木崎に目を付けられ、無理難題を押し付けられて、悲運の最期となります。悪人と言われる輩は何処にもいます。聞いた話です。ある会社で、某悪人が、徒党を組んで社員に強請りたかりを繰返していたそうです。被害者は、報復を恐れて泣寝入り。しかし、その中の一人が勇気を出し、会社に助けを求め、一緒になって当局に訴え、悪人を退治したそうです。善人は何処にもいるので、一人で悩まずに、相談する事が重要ですね。もっと悪い奴。オリンピックを利用し、大企業の役員を経験した人が、不正を働き、私腹を肥やした事件がありました。善良な国民への裏切りに言葉がありません。
(2)『第15章』より、「僕は、自分が死ぬ事について思い、これまでの自分が何だったかを、考えた。僕は指を伸ばしながら、あらゆるものに背を向け、集団を拒否し、健全さと明るさを拒否した自分の周囲を壁で囲いながら、人生に生じる暗がりの隙間に、入り込むように生きた」
●感想⇒西村(主人公)の言葉です。彼は、不遇なの生い立ちだったと思います。「あらゆるものに背を向け、集団を拒否して生きてきた」とあるように、誰からも疎外されて生きてきたのです。なんとなく主人公の思いが理解出来ます。私も、❝裕福な家庭を嫌悪❞し、自暴自棄になった時期があります。そんな時、幸いにも支援してくれる人に出会いました。有形無形の援助を頂き、今でも感謝の気持ちで一杯です。ある本の一節です。「人には、苦しい、辛い時が必ずあります。そこから逃げずに歩き続けなさい。苦しい、辛い時間は後に君に何かを与えてくれる」と。身に染みる一節です。
(3)『第8&17章』より、「気だるく歩く通行人の中に、母親の脇で万引きをしていた、あの子がいた。・・・生まれた場所で彼の生活は規定され、その押されていくような重い流れの中で、彼は動き続けているように思えた」「母親がお前を手元に置こうとして、お前がそれでもやっぱり家が嫌だったらここに電話しろ。・・・お前はまだやり直せる。何でもできる。万引きや盗みは忘れろ。・・・つまらん人間になるな。もし惨めになっても、いつか見返せ」
●感想⇒西村(主人公)が、“シングルマザー(売春婦)の母親に万引きを強要される少年に、自分の境遇を重ね合わせ、救い手を差し伸べる”くだりです。「生まれた場所で彼の生活は規定され、その押されていくような重い流れ」。人は、生まれた時から、自分とは関係なく、有形無形の差が出来ます。しかし、幸福な家庭に育った人を羨んでも仕方がありません。但し、このケース(母親に万引きを強要)は最悪です。西村は悪の世界で生きているのですが、「もし惨めになっても、いつか見返せ」には、人間性を感じます。私も、シングルマザーに育てられました。自由奔放に生きた母でしたが、筆舌に尽くし難い苦労があったと思います。感情移入もあり、少年に幸あれと願います。
4.まとめ;本書を読んでの感想は、❝難しい本だった❞です。中村氏は、「第16章の部分が、この小説全体の核になっている」と言います。「小さい頃、いつも遠くに、塔があった・・・」と、❝塔❞につて、書いています。❝塔❞は、何かを超越した精神的なものでしょうか。この捉え方は十人十色かも知れません。最後に著者は言います。「この小説は反社会的な内容だけど、残酷な運命の中で生きる個人の抵抗を書いた物語という事になる」に、納得です。作家の伊集院さんが、ご自身の本に書いていました。「小説は何かの答え、結論を見つける為にあるものではない。むしろ逆で、答えがない、もしくは答えが見えない点が、何度も同じ作品を読む行為につながる」と。分かり易く、受けそうな小説は売れるのでしょうが、娯楽本と割切って読んでも、人生の指針にはならないと思います。(以上)
Posted by ブクログ 2023年03月28日
中村文則を読んだのは2作目。引き込まれて一日で読んでしまった。木崎のことや石川のラストなどその詳細を記さないのは敢えてなのか書けないからはぐらかしているだこなのかは気になった。しかし、自分が知らないすりのテクニックや貴族の話は面白くて、作者の博識さを感じた。主人公と子供の関係性が印象的
Posted by ブクログ 2023年03月31日
作品の世界にどっぷり浸かれた!掏摸の描写はもちろん、終始ドキドキして読んだ。面白かった。
どうやっても抗えない存在を前にした主人公の報われなさがつらい。ラストは希望が見えたと思いたいけど、どうなったんでしょう?
Posted by ブクログ 2023年01月31日
自分のことを他人のように扱っているような違和感のある文章が多々あり、社会からはみ出した人間の異様さを感じた。中村文則作品は静かな狂気とか不気味さがあって、ずっと心臓を撫でられてるような気持ち悪さが癖になる。希望ではない気がするけどその先があるような終わり方がすごく好きでした。
Posted by ブクログ 2023年01月21日
日本というよりは、まさに海外に受けるであろう作品だと思った。
プロのスリの技術、新庄、生い立ち、生活様式、など学ぶことがたくさんあった。
主人公が幼き頃によく見ていた「塔」は作者も幼少期に見ていたものだそうだ。実体験と同時にそこから同友比喩に導かれているのか、パットは思いつかなかったが、あの象徴的な...続きを読む光景のおかげで、作品の世界観が鮮明になっていき、作中に没入することができた。
運命について、作中では語られていたが、個人的に「運命」とは、「神」を人が考えることに似ていると思う。結局人間がその都度都合よく考えたこじつけに過ぎないと思っている。人間はしょせん動物であり、この世界の成り立ちや、存在意義、心理などを悟ることなんてできないと思う。悟ったという人がいたとしても、それは結局自分の意志が選んだことであり、神秘的な何かではなく、人工的で薄っぺらく、だれにも理解することはできない代物だと思う。人の数だけ、世界があり、運命があり、心理があり、神がいる。それでいいと思う。
Posted by ブクログ 2022年12月04日
弟に借りた本。中村文則は『遮光』に続いて二作目。自分の中から抽出したらしい『遮光』とは異なり「悪人」をエンタメ的なストーリーに放り込みながらの構成なのでだいぶ印象は違うがなかなか面白くて一気に読んでしまった。この方まだ幅がありそう。他も気になる本あるので読んでみたい
Posted by ブクログ 2022年11月03日
なんとも言えない悲しさと儚さを感じた。主人公の人生はなんだったのだろうと思ったけど、普通のサラリーマンも次元は違うかもしれないけど、よく似たものかとも思わされた。
Posted by ブクログ 2022年07月10日
読み始めたらあっという間に読んでしまった。
掏摸師だったんじゃないかというほどの、リアルを感じる描写。今まで読んだ「銃」「遮光」の主人公はヤバかったが、今回の主人公はまともに感じた。最後まで明確には描かないが、「王国」を読んでみようと思う。
Posted by ブクログ 2022年07月03日
その後が気になる...
あの子の母親はどうにでもなれって感じだが、子供と主人公の未来があればいいのになと期待を持ちつつ勝手な想像を膨らませてみた。
Posted by ブクログ 2022年06月06日
自分が初めて触れた中村文則作品。掏摸の犯行描写が克明に描かれていて、こんなにも心情や精神ではなく、肉体的に緻密な想像をさせられる文章は初めてかもしれないと思ったことを覚えています。
Posted by ブクログ 2024年03月26日
一番、最初に思ったのは
「なかなか木崎と再会しないなー」でした笑
木崎は魅力的な悪のキャラクター性があって
木崎との再会からは、のめり込んでました。
まだ中村文則の作品は2作品しか読んでませんが、
「銃」と同様の暗くどこか現状に
自己陶酔してるような主人公が良き。
Posted by ブクログ 2024年02月12日
運命に支配されている人生が怖いと感じた。この資本主義社会には圧倒的な強者と上下関係が存在し、庶民はある程度決まった道を歩んでいる。どれだけ自分のスキルを磨き、超人的な何かを手に入れたとしてもその道から抗うことは難しい。この小説から、そこに恐怖を感じた。
今まで生きて来た中で考えたことのなかった部分に...続きを読む対して恐怖を抱いた。しかし、主人公は最後の最後まで自分のスキルを用いて抗った。美しさを感じるラストであった。
Posted by ブクログ 2023年12月03日
作中のスリ行為の描写に息を呑む。
極限まで研鑽された技術、高度な状況判断、人間心理の操作は一瞬の芸術にまで到達している(不謹慎だが)。
主人公のスリ師はこの世界で自分の座標を見失い、彷徨うだけの存在。
つながりを拒否しながら求め、望みはないが生の猶予を欲する。
...続きを読む 圧倒的な不条理に、否応なく巻き込まれる彼は果たして。。
評判に違わないノワール。
Posted by ブクログ 2023年06月12日
煙草ばかり吸ってる掏摸師のお話です。
煙草に火をつけた。煙草を吸った。喫煙所へ、、、
煙草を吸う情報が多すぎて、話が入ってこない
それと自分のことを僕なのか俺なのか統一してほしい。本屋さんでオススメになってたから期待しすぎた!本当に店員さん読んでるのかな?
結局最後、三つの仕事。
携帯、髪の毛とラ...続きを読むイター、書類を盗んで、んでどうなったん?刺されてうやむやな感じで、仕事の意味は?よう分からん。
Posted by ブクログ 2023年05月07日
掏摸が主役なのはよいのだけど、悪の組織に追い詰められるのは読んでいて辛い。そして主人公の名前も姓だけ、少年?の名前も、その母親の名前も出てこなかったような...そしてラストもどうなったん??と、引っ張る...
Posted by ブクログ 2023年03月04日
ヒリヒリ、ドキドキ。
ちょっと重いから読む時を選ぶ。
読後感はあまりよろしくない。
木崎の圧倒的な力・圧倒的な悪に寒気すら覚えた。
人間を超越したような、人間ではないような存在。絶対的なソレ。
こんな世界が現実にもあるのかなー。
Posted by ブクログ 2022年09月23日
中村文則作品は3つ目。
中村作品の中では、物全体のトーンが暗すぎず、読みやすい方だと思います。
闇社会を舞台に、圧倒的な大きな力の掌の上で、しかし懸命に生きようとする主人公。
その姿は、闇社会でない社会に生きる僕達の姿に重ならなくもない。
理不尽な力に追い詰められ、選択権を奪われ、誰かの失敗のツケ...続きを読むを払わされるようなことは、一般の社会人でも身に覚えがあるのでは。
そう考えると、最後の仕事での大逆転劇の奮闘ぶりは感動的だし、ラストの五百円玉のシーンは、祈るような気持ちで読みました。
子供の母親の話ぶりや態度の表現が、まともな教育をうけてこなかった感じがすごい出てて、恐いほどのリアリティ感じました。
Posted by ブクログ 2022年08月01日
犯罪小説、ある意味社会派な小説。
陶摸(スリ)として生きる青年が、ある人物に出合い、協力することで、
翻弄され行く物語。
読み手によって印象が変わるとは思いますが、
そんなに暗い文章とか内容って感じには思わず、
ってのも、この作品の前に、ホラーサスペンスの超大作を読んでた
ってのもあって、スリとし...続きを読むて生きることに関しては、あまりマイナスな
感じで生きてる風には感じなかった。
暗い部分は、生業としているスリをすることではなく、
人間関係のほうかな。