【感想・ネタバレ】掌の小説のレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2024年03月25日

『十六歳の日記』(当時の筆記を、数年後編集したもの)に始まって、生涯生み出された掌編は、今昔物語の伝統を継ぎ川端文学の本流である。
 時には残酷な、一瞬に人生を縮約した琥珀のような芳香感。決断に迷った男は、夢で「来世の妻を見せてあげましょう」と雀を見せられ

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Posted by ブクログ 2021年12月01日

 アホの僕にはこれで終わり?となってしまうお話がちょいちょいありました。現代の刺激物みたいな物語に慣れてしまっているんですかね...?

 ただそれでも不思議だったり、ドロドロしていたり、柔らかい感じだったり、凄く色々なお話があって楽しかったです。

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Posted by ブクログ 2021年10月03日

人生のあっけなさ、運命の非情さを感じる作品群。
繊細で美しくも、ときに空恐ろしく感じる文章や、読む者に判断を委ねる定点観測のような視点が、なぜだか心地良く思える。

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Posted by ブクログ 2017年08月11日

川端康成は、人間を奇妙な生き物を観察するように見ている。
彼は愛に憧れていたが、愛というものを信じられなかった。もしも愛を手に入れたとしても、それが失われることが恐ろしかったのだろう。

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Posted by ブクログ 2017年04月19日

いろんなタイプの掌編122編。若かりし川端康成の技術の粋、という感じ。この半分くらいは20代に書いたっていうの信じられない……。解説でちょっとだけ簡単にタイプ別に分類(いくつか例を挙げているだけ)されているので、読みたいものを探す際にも参照しやすいかもしれない。また何度も読み返すと思う。

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Posted by ブクログ 2016年02月27日

中学生の頃に読んだけど、ずっと忘れられない。
誰でも、この短編集の中に絶対心に残り続ける話が見つかると思う。

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Posted by ブクログ 2014年07月01日

以下、2014年4月時点の感想。

「夏だった。朝毎に上野の不忍池では、蓮華の蕾が可憐な爆音を立てて花を開いた」

この一文に天啓を受けたように立ち尽くした高校生のわたし@小汚いフジの書店、を思い出す。
それから手を出しては忘れたりを繰り返したこの本を、ようやく通読した。
結果、男(酷薄な)と女、心...続きを読む霊、夢と悪夢、不気味、のラインが好きなことに気づく。
そして、曖昧さ。余韻。ぎょっとする一文。これは文章の妙味。
丸をつけたのは、

日向 指環 金糸雀 白い花 落日 人間の足音 滑り岩 心中 竜宮の乙姫 霊柩車 合唱 屋上の金魚 恐しい愛 百合 処女作の祟り 門松を焚く 母国語の祈祷 家庭 笑わぬ男 黒牡丹 望遠鏡と電話 化粧の天使達 舞踏靴 雨傘 化粧 手紙 不死 地 白馬 雪

「奥さん。この金糸雀は殺して妻の墓に埋めてもようございましょうね」



以下、2014年当時に通読していたことを忘れていた、2022年11月時点の感想。

高校の頃に初読。
そのときは「帽子事件」の〔夏だった。朝毎に上野の不忍池では、蓮華の蕾が可憐な爆音を立てて花を開いた〕という冒頭に陶酔していたものだ。
二十年を経て再読してみたら、おそらくだいたい書かれた順なのだろう、前半のモダニズム視点や文体が、やはり好き。
びっくりするくらい視覚的なシーンもあって、こりゃ映画との相性いいわ、と。
後半、第二次世界大戦中に書かれたと思しき「優等生っぽい作品」が続くが、これもまた一時期「女学生の友」などに書いていた経験が生かされているのだろうな、と。
雑誌に書き続けた職業作家としての川端という視点を獲得できたのが、二十年前との読む側の違いか。
相対として捉えると川端はますます面白くなるぞ、と二十年前の自分に声を届けたい。

20代から40年余り書き続けただけあって、幅が広い。
文庫解説で、吉村貞司が分類している。
・自伝的な作品(初代含む)(骨拾ひ、二十年、母、日向、月、弱き器、火に行く彼女、鋸と出産、写真、雨傘、処女作の祟り)
・伊豆を舞台とした作品(有難う、髪、指輪、お信地蔵、冬近し、胡頽子盗人、処女の祈り、神います、母の眼、馬美人、踊子旅風俗、玉台、夏の靴、海、滑り岩、海、駿河の令嬢)
・浅草を舞台とした作品(日本人アンナ、鶏と踊子、白粉とガソリン、縛られた夫)
・リラダン風作品(※よくわからんがシニカルで、たぶんシュール、新感覚派みたいなニュアンス?)(化粧、質屋にて、貧者の恋人、硝子、金糸雀、時計、月、雀の媒酌、神います、朝の爪、神の骨、金銭の道)
・写生風作品(笑わぬ男、愛犬安産、黒牡丹、男と女と荷車、夜店の微笑、さざん花、笹舟、紅梅、卵、家庭、化粧)
・夢想・幻想的な作品((弱き器、火に行く彼女、鋸と出産、)不死、心中、霊柩車、屋上の金魚、竜宮の乙姫、女、盲目と少女、蛇(、地、白馬、雪、秋の雨))
吉村分類は、wikipediaの記述、全収録作品目録も参照して割り振ったが、ほぼ半数。
1971年に新潮文庫より刊行(111編)、のち1989年改版(122編収録。全集に倣い追加されたのは、敵、屋根の下の貞操、恐しい愛、門松を焚く、化粧の天使達、舞踊靴、楽屋の乳房、喧嘩、眉から、藤の花と苺、めずらしい人)、という事情もあるのかしらん。
なお川端の掌編小説の全総数は128編らしい。

そこで自分でも穴埋めするようにやってみた。
結果、リラダン風に組み入れることが多かった。
皮肉というかシニカルな作品が多かったということでもあるが、写生風に入れたほうがよかったかなと思うものも多かった。
まあ分類ってそんなもんか。
さらに自分のお気に入りには★をつけてみた。

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Posted by ブクログ 2014年06月05日

川端康成はどんなに短くても詩ではなく小説、物語だと、どこかで目にしたことがあるが至言である。(逆に誰だかはどんなに長くても物語ではなく詩である、と続いたはずだか、誰だったか...)

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Posted by ブクログ 2014年02月15日

私は短編小説集は1,2編読むと慣れてきて飽きてしまうので苦手なのですが、これは例外でした(私が川端康成作品が好きだからかもしれませんが)。
ページを繰らせるのは、作品ごとに雰囲気が変わるとかそういう驚きではないです。1篇1篇が人間や人生の破片みたいな感じがして、次はどんなふうに切り出された破片なんだ...続きを読むろうという期待です。

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Posted by ブクログ 2012年12月15日

通勤やちょっとした移動時間にサラッと読み終える掌サイズの物語集。見開き2ページで終わる超短編も少なくないから読みやすい。中身も切ないもの、心温まるもの、余韻が残るもの、よく分からないもの、心に突き刺さるものなどなど味わい深い。ずーっとこんな本を探し求めてた。

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Posted by ブクログ 2012年03月20日

川端康成の短編集。

川端康成の初期の作品から40年間に渡って綴られた、122作の短編小説。
1作は平均3〜4ページ程で休み休みと読みやすい。
そして作品を読むことによって川端康成が人生で感じてきた経験とその流れがわかる。

若き青臭い夢見心地な作品から、人生の浮き沈みを感じる作品。そして老いたから...続きを読むこそ感じる心の解放など。
川端康成が生きた人生そのものを読んでいるようだった。

だが、全体的に通して人間として憂いを感じる文章は変わりない。
そして時に人間の行き様を崇高に、また滑稽に、というエッセンスを加え描いている印象を受けた。

様々な視点を川端康成は持っている。
その視点から浮かび上がる人間の本質を描く、川端康成の切り口は斬新だと感じた。
こういう見方もあるのだと、こういう人間の映し方があるのだと、驚きと尊敬を感じてしまう。

122作の短編のうち印象深かったのは「落日」「死顔の出来事」「一人の幸福」「百合」「喧嘩」「妹の着物」「さざん花」
滑稽さと憂いさの対比が鮮明で分かりやすく印象深い。
すべての短編に様々な彩りと感性が隠れている。
読んでいると色々な気付きを読み手は受けて飽きない。
題名の「掌の小説」という名に相応しい重厚な個々の彩りと、読む手軽さを感じられた短編集。

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Posted by ブクログ 2012年09月28日

ひとつひとつがとても美しく、妖しく、切ない。
お気に入り→霊柩車 屋上の金魚 盲目と少女 母国語の祈祷 貧者の恋人 笑わぬ男 離婚の子 眠り癖 喧嘩 顔 化粧 妹の着物 死面 眉から ざくろ 小切 夏と冬 卵 滝 秋の雨 不死 めずらしい人

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年12月18日

掌編122編収録。読み終わって意味が取れない物語もありすべては覚えていません。振り返るといくつか自分にとって印象的な物語があったな…という感じです。

最後のほうは戦争を感じさせる話がいくつか。

月(P69)
童貞ーどうにもこいつがいけない厄介物なんだ。(P69)

この始まり方は(笑)。しかし
...続きを読む
「私は生活を一つにしようと思う女の方からでなければ感情をいただかないことにしています。」(P71)

とても潔い。

心中(P148)
遠隔精神DVかホラーか。

帽子事件(P178)
さらりと始まって終わる日常ファンタジーコメディー。面白かった。

歴史(P210)
親の代で仕込んでおいたもの。現実でもありがち。

百合(P217)
好きな人に入れ込みすぎた結果。

駿河の令嬢(P226)
物語のその後を読みたい。

妹の着物(P441)
姉が選んだ男性と結婚するのは嫌だなぁ。

他の印象に残った作品
屋上の金魚(P190)
金銭の道(P194)
恐しい愛(P208)
馬美人(P213)
神の骨(P230)
舞踏会の夜(P453)
子切れ(P498)

20年ぶり外で働き始めたら長編が読めなくなり、それなら、とこちらを電子(スマホ)+文庫で読んでみました。読むには読めたけど読み込めなかったですね。毎日仕事をして読書するのはなかなか難しい(汗)また落ち着いて読みたいです。

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Posted by ブクログ 2022年10月02日

本書は、職場近くの、チェーン店ではない、古くからやっていそうなある書店で見かけて購入した。
本書には約120篇の短編が含まれている。見開きの2ページで完結してしまうものから、10ページ弱程度続いた話もあった。巻末の解説にもあるように、著者の自伝的内容と思われるもの、著者の見た夢の内容ではないかと思わ...続きを読むれるもの、悲しかったり残酷さも垣間見られるような話もあれば、どこかほっとさせる雰囲気の掌編もあった。
予備知識がないので間違っているかもしれないが、おそらく収録は時系列順であると思われ、そうすると、初期の方が比較的短い作品が多いように感じた。また、短さもあって、どう解釈したら良いのか難しいと感じるものが多かった。
中盤の方の作品は、やや分量が多くなったが、その分、初期の作品にあったキレのようなものが少し鈍ってしまったのではないかと、個人的には感じた。情報が与えられすぎると、かえってどこか物足りなさを感じるのが不思議だった。終盤の方の作品になって、再び少し作品の長さが短くなったように感じた。
私が個人的に好みだったのは、描写の中に目に浮かぶようなきれいな視覚的イメージを扱っている作品だった。例えば、「秋の雨」など。またあるいは、厳しいなりにもほっとするような心の動きが感じられるような作品。例えば、「盲目と少女」。
それにしても、全体を通して、女性を扱った作品が多いように思う。著者は、女性というものに関心があったに違いないとは思う。ただ、この本における「踊り子」は、おそらく現代でいうと相当する職業はないのではないだろうか、イメージがつけにくかったというのが正直なところだった。
また全体を通して、散文詩的なもの、筋書きや人物像などが完全には分からなくても、どこか詩的な着想を感じさせるような作品も多く、とても良い読書体験だった。

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Posted by ブクログ 2021年12月29日

川端さんといえば…その、あれです、少女というか、私は女性なのでちょっと生理的に受け付けないなって(素晴らしい作品なので残念なのですが)いうところがあるんですがこれはそんな彼らしいエロティシズムみたいなところ(言っちゃった)を感じずにプレーンな状態で読める作品が多くおすすめです。
だって雪国とかもろ勝...続きを読む手な男って感じしません?
とはいえこのなかで一番好きなのは指輪だったりする、矛盾あるレビュー。
ホントは☆5つつけたいけどやっぱり生理的にごめんなさいなのでマイナス1.

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Posted by ブクログ 2021年02月06日


不安になったり、ドキドキしたり、ちょっと笑ったり。
そんな、長くても10ページ足らずのお話が122編。
短編以上に短編ではあるが、川端康成の文章の美しさがしっかりと堪能出来る。

川端康成と言えば、雪国とか、片腕とか、眠れる美女とか名作が沢山あるが…それにも劣らぬ名作揃いだと思う。
1日の終わり、...続きを読む眠る前に読むのにいいなと思った。

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Posted by ブクログ 2013年02月08日

文章そのものを楽しむという意味では、
短いストーリーがたくさん詰まったこの形式がいい味出してます。
数ページで話が終わり、ころころ舞台が変わるので、
そのたびにほうそう来たかと唸らされます。
(導入の文章がまた上手くて2つ3つの文章でぐいと引き込まれます)

日本語が綺麗という声も聞きますが、
比喩...続きを読むや情景の描写も含め美しいイメージのみを連ねる美意識の高さと、
いらないものをそぎ落とした簡潔さに持ち味があるので、
英訳してもきっと凄いだろうなと思いました。

また、思いのほかに綺麗さの押し売り感はなく、
短いながらもどの物語もしっかりストーリーが立っていて、
様々な視点からものを見る作家としての多面性が味わえます。

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Posted by ブクログ 2012年10月15日

ずっと大切にしたい超短編小説集。
小さな宝石の粒の集合体のようだ。
ひとつひとつは確かに短くて小さな話だけれど、だからといって長編大作に劣るとは限らない、ということを証明してくれる作品だ。
読む人によって気に入る作品が違うはずであるので、それを誰かと話してみたい気持ちになる。

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Posted by ブクログ 2012年09月04日

1編3~10頁の掌編。「時計」の男の心意気がすごく好きだ。あと、「屋上の金魚」「貧者の恋人」「夏の靴」「門松を焚く」「母国語の祈祷」「三等待合室」「縛られた夫」。川端康成は文体の魔術師だなあ。「古都」の文体があまりにも他の作品と違うような気がして、あとがきに「睡眠薬でらりってたからちょっとよく覚えて...続きを読むない頃に書いた」というようなことを書いてあったのをふと思い出した。

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Posted by ブクログ 2012年06月05日

「時雨の駅」は雨の日に雨傘を持って駅で夫の帰りを待つ妻たちの姿を
――家庭的な余りに家庭的な愛を一本の雨傘にふりかざして人妻の大軍がひしひしと攻め上がって来るのである。
と表している。
語り手が誰なのかわかりにくくて読みにくかったが
面白いことが書いてあるなと思った。

つい人の顔色をうかがってしま...続きを読むう「日向」はすっと心に落ちる。

死んだ妻を想って日々を生きる「手紙」も素敵だ。

全体を通してとにかく鮮やかだ。
短編であるからこそ、ひとつひとつの文章を強く感じた。
漢字をわざとひらがなにしたり、ひらがなが自然なところを漢字にしたり、言葉の意味がより入るようになっているのだと思う。

短いので、なにやら意図が分からない話もいくつかある。

それでも川端康成がどんなことを考えていたのか
頭の中の断片を覗いているようで楽しい。

若干肉に対する欲が多い気もするが、読み手側の欲も影響されているのかもしれない。

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Posted by ブクログ 2012年04月06日

本屋さんに平積みしてあるのを見かけ、つい購入。

多分、中高生の頃に、一度は読んでいるであろう短篇集ですが、明確に記憶に残っている作品はありませんでした。
・・が、何れの作品も当然のことながら、「あぁ、川端康成だ」と感じるのがなんとなく不思議だったりもしました。

短い文章の中に、美(見)事に物語が...続きを読む収まっていれば・・
 「あぁ、さすがノーベル賞作家の川端先生だ」と、思います。
短い文章が、詩のようであり、抽象的であり、何を読み取ればいいのか分からなくても・・
 「あぁ、さすがノーベル賞作家の川端先生だ、難しいょ・・」と、思えます。

その一篇一篇を理解できてもできなくても、安心して読み進められる短篇集でした。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年09月04日

メモ

ざくろは人肉をあらわす果実。
赤子を捕らえて食べていた女に、赤子の代わりにとお釈迦様が差し出したのがざくろとのこと。

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Posted by ブクログ 2017年12月29日

川端康成の詩というか短歌というか俳句というか、まあ小説なんだけれども、110個の短編小説を集めたもので、それぞれが不気味というか不可解というか霊妙たる内容で凡人たる私には全く解釈出来ずに何度か読み返す話も多数有りで、こういう自分の閾値を超えた小説は、実は最後の『解説』が1番面白く、解説を読んでこそそ...続きを読むの面白さが分かるのではないかと、私レベルではこんなもんです。未熟ですみません。

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Posted by ブクログ 2015年09月30日

とある物書きの方から薦められて読んだ小説集。
最初の方は、ちょっと読みにくい文章。読み進めるうちにどんどん読みやすくなる。
自分が慣れたのか、川端の文章が良くなっていったのか。
(随分若い頃のものから、40代で書かれたものまで収められているため)
ただ、読み終わると、自分の文章力も上がったような気が...続きを読むする。

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Posted by ブクログ 2015年03月30日

122編の小説を読むのにいい疲れを感じた。生涯にわたって書かれた小説は川端の美意識・まごころのたまものである。特に気に入ったのは『有難う』、『喧嘩』、『白馬』である。

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Posted by ブクログ 2015年01月25日

トイレ本として。2年以上かかったかも。途中で別のトイレ本に替わったりしたからな。
短い分量だから色の表現や物語には直接関係しない情報の表現が脳内での映像化を効果的にすることを発見した。

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Posted by ブクログ 2014年10月01日

本屋の平積みから無作為に1冊選ぶランダム読書1冊目。
新刊ばかり読んでいて、こういった数十年前の作品を全然読んでなかったので良い出会いだった。

短編というせいもあるだろうけれど、恋愛・結婚に関する意識が現代と異なっていて、新鮮。

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Posted by ブクログ 2014年03月02日

読んだときに、まず夏目漱石の『夢十夜』を思い起こしたのだけれども、読んでゆくうちに、ああ、全然違う作品なんだ、と気づいた。さらにいえば、『夢十夜』のほうが名作だと思う。『掌の小説』は残念ながら全然肌に合わなかった。とくに幻想的な世界を描いたものなど、一篇一篇に漂うなんともいえない雰囲気は大好きだし、...続きを読む中にはものすごくよいものもあるのだけれど、あくまでもひとつの作品としてみた場合、どうも満ち足りない感じがするものが多い。長篇に発展させてもよかったのではと思う作品も多かった。川端は、個人的には長篇作家である。事実、長篇のほうがすらすら読めるのである。ただ、『眠れる美女』などは大傑作なので、長篇でなければダメというより、ただ単に『掌の小説』がよくないだけかもしれない。過去に清水宏監督が一篇を映画化しているようだが、世界観を下敷きにして、より内容を拡げたほうが、個人的にはよい作品になると思う。

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Posted by ブクログ 2013年09月29日

経験上、ここまで短い小説を集めると3割から4割は駄作があるもんだけど、本書にはただの一つもないってのはすごい。さすが川端。
とは言え、こういうのって毎日ちょっとずつ読むのがいいんだろうね。僕は一気に読んじゃったから、後半はちょっとうんざり感があった。

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Posted by ブクログ 2012年02月25日

川端康成の描く、
美しい夢と悪夢が入り乱れた短編集。

「次回読む時は、もうこの作品は読みたくないな。」
と思うグロテスクなものもあれば、
心がほっと温かくなるようなものもあるし、
人間の愚かさを描いた滑稽なものもあれば、
目の前に美しい光景が広がっていくようなものもある。
収録されている作品は、ま...続きを読むったく統一感がなく
それぞれが怪しい個性を放っている。
それを面白いととるか、気持ち悪いと取るか、
読む人それぞれかと思う。

踊り子達を描いた作品群を読んでいたら、
自分の頭の中では、ドガの踊り子の絵がなぜだか結びついた。

川端康成もドガも、
どうしてあんなに踊り子のことが解り、
その一瞬を精密に切り取る事が出来るのだろうか。

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