あらすじ
喪失体験による悲しみを抱える人を、語りの営みをとおして支援する。悲嘆を出発点にした人生の再構築・人間的成熟のためのアプローチ
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Posted by ブクログ
グリーフケアという領域であるが、(領域特化ではない)基本的なナラティブセラピーの理論と実践が具体的に示されている。とくにグリーフケアでの適用ではナラティブセラピーの特徴が際立っており、読者の理解が助けられているように思う。
ナラティブセラピーと、従来的なカウンセリングとの最大の違いは、他者の存在の位置づけなんだとおもう。
たとえば、ロジャース理論は、傾聴や共感などでナラティブセラピーと近い考えや手法を多く持つが、最終的には個人(の内の治癒力)に頼る。もちろん、傾聴するカウンセラーの人間性などが強調され、さらにはエンカウンターという考え方などで、他者の重要性は十分強調されるが、他者の働きかけによって、あくまで個人の治癒力が最大化されるという理論と理解している。
一方、ナラティブセラピーは、語るということを通した他人の影響、協同、共有が治癒の中心であり最大のキーなのではと思う。
ここから、さらに多人数のポリフォニーを重視するオープンダイアローグなどへの発展も非常に理解できる。
私自身、人間の心は身体性(さらに言うなら環境も含めた世界全体)と一体であるということを深く感じるため、心の問題解決に他者との共同が重要であることは、非常に納得感がある。
全体に、ナラティブセラピーの理論や手法がとても分かりやすく示されおり、理解が進んだ。ただ、本の内容よく理解できるのだが、最後に教育/ワークショップの解説があり、そのシナリオにそってセルフで挑戦してみると、大変難しく感じ、その実践は、容易ではないと感じた。