【感想・ネタバレ】木曜日のフルット(9)のレビュー

主人公のフルットは、人間に餌付けされつつ自称「野良」の半端な猫である。エサをくれる一応の飼い主は鯨井先輩。安アパートに居を構え、ギャンブルに興じるちょっぴり残念な大人の女性だ。
フルットの自由気ままで時々シビアな野良猫生活と、鯨井先輩のやっぱりちょっぴり残念な人間生活が、独特の画風と視点で描かれる。

私のおすすめは、1巻で野良仲間と釣りをする話。川底に釣り針が引っかかり、「おれは地球を釣ってしまったということか!?」と妄想。釣り上げると地球が太陽に飲み込まれるし、離すと下に落っこちるし…と、恐怖に震える姿が愛らしい。
釣りの最中に針が川底に引っかかるなんてよくある話だが、それがフルットの視点を通すとこんな物語が広がっていくのかと驚かされる。さらにわずが2ページでオチをつける構成力にも脱帽。読み終わる頃には誰もが、普段の日常の中に潜む想像力の種を、探したくなってくるはず。

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Posted by ブクログ

一昨年10月に続く9巻目。前回のレビューではこんなことを書いていた。

> AI、カメ止め、令和など時事ネタも面白かった。
> 次の巻では何が話題になってることだろう。

まさか今のような状況になるとは…。というわけで、コロナ禍への風刺的作品が目立つけれど、それとも全く無関係なゆるゆる話もたっぷり。この塩梅が心地よく、面白い。

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2021年07月01日

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