あらすじ
「火星に関するあらゆる書籍の金字塔」――ミチオ・カク絶賛!
イーロン・マスクに影響を与えた火星移住の第一人者が描く、人類の新たなフロンティア。
もはやSFではない。火星移住は「いつか」ではなく「いつ」の問題だ。イーロン・マスクのスペースX、ジェフ・ベゾスのブルーオリジン、リチャード・ブランソンのヴァージン・ギャラクティックという「民間」とNASAが連携するアメリカ。CNSA(中国国家航天局)が国家プロジェクトとして新たな覇権を狙う中国。宇宙開発に各国がしのぎを削る中、惑星間旅行は誰もが手の届く現実となろうとしている。ズブリン博士は、NASAや宇宙起業家たちから最も信頼される宇宙工学の権威であり、火星協会の創設者でもある。四半世紀前から火星有人探査の青写真を示し、多くの宇宙開発者たちにインスピレーションを与えてきた。そして技術的な準備が整った今、火星植民地化の具体的なビジョンが明かされる。
●火星で何を創るのか?
まずは移住コスト、火星の環境整備などの技術的課題を科学的エビデンスをもとに提示。さらに本書が描く火星都市は、単なる生存のための基地ではない。空気、水、食料、電力を自給自足で生産する活気あふれる都市国家だ。宇宙放射線から守られた気密住宅のドーム型天井には魚の養殖場を配置し、巨大温室で農業を行い、太陽光を取り入れながら放射線を遮断し、景観からして「住み心地の良い家」を現実にする。不動産ビジネスから知的財産の輸出まで、多様な産業が花開く。
●火星経済の限りなくリアルな構想
地球への主要な輸出品は鉱物資源のみならず、技術革新によって生み出される知的製品も含まれる。遺伝子組み換え技術、ロボット工学、AI、新エネルギー技術――フロンティア環境で鍛えられた技術者たちが、地球では想像もつかないイノベーションを次々と生み出していく。
●地球の閉塞感を打破する新天地
「自由な文化だけが真にイノベーティブでありえる」そう主張する博士は、火星が単なる植民地ではなく、人類文明の進化を加速させる「圧力釜」となると述べる。女性移住を促すための少子化対策。個人の権利が保障され、伝統的な抑圧から解放された新しい政治システム。才能ある移民を引き寄せる開かれた社会。地球上で限られた資源を巡って争うよりも、共に新しい惑星を創造する方がはるかに建設的だという明確なメッセージがここにある。
21世紀の今、人人類には壮大な未来を選択する「自由」がある。火星移住は夢物語ではなく、実現可能であり実現すべき人類史上最大のプロジェクトだ。あなたの子供たちが火星で暮らす日は、もうすぐそこまで来ている。
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Posted by ブクログ
著者は、火星協会の創設者にして会長、長いキャリアを持つ宇宙工学者であり、原子力工学の博士号や熱核融合研究の分野の経験もあるエンジニア。
本書は、火星移住を実現させるためのあらゆることについて科学的に検討され、またどのような社会になるか考察された一冊である。
火星のどこに入植すべきか、移動手段、都市の設計、電力その他資源をどのように生み出すか、どうやって収益を上げるか、など様々な課題について、数式や化学式も使って科学的に実現可能であることを示している。
この科学的な検討の部分については、自分も含めて一般的な読者にはその妥当性の判断は難しいが、叙述の科学的・論理的な進め方から納得できるものである。
一方で後半に書かれている火星の社会構造の検討については、残念ながら質が低いものとなっており、著者の熱意とは逆に、科学的には可能だが、実際に行うべきではないのではないかという疑念まで持ってしまった。
著者は、火星の社会では、労働力が不足することから、様々な技術開発、発明が必要であり、そのためには火星の都市が自由でなければならず、そのような人々が移住するので、自由な社会が出来るという。
社会構造の議論がこうした考えをベースとしているため、この部分はアメリカ人である著者が理想としている社会を描いているように思える(アメリカの西部開拓などが理想のよう)。
著者の前提とは異なり、中国でもトップクラスの技術開発や発明は行われている。また著者の議論では人口を増やす(=多くの子供を産む)ための社会構造が検討されているが、同性愛者は火星には住んではいけないのか。都市国家のような火星都市間でなぜまったく争いが起こらないと言えるのか。
前半の科学技術の議論は信用でき、火星移住計画が現実化する可能性はあると思える一方、火星の社会でも国家間の争いや独裁的な人物の出現など地球と同様の社会が作られる可能性が高いはずで、ディストピア的な社会となることも十分あり得ると感じた。
【原題】
THE NEW WORLD ON MARS : What We Can Create on the Red Planet
【目次】
第1章 火星で何を創造できるのか?
第2章 火星の概略史
第3章 火星へ到達するには
第4章 火星で資源を生み出す
第5章 火星でリッチになる
第6章 火星の移動手段
第7章 火星の都市
第8章 火星の社会習慣
第9章 火星における自由(Liberty)
第10章 発明の原動力
第11章 火星を変える
第12章 すべての国家の大義