【感想・ネタバレ】呪いのウサギのレビュー

あらすじ

美しい破滅に導いてくれるもの

呪いのウサギはかじってくれる。
排泄物は話しかけてくれる。
キツネは黄金の血を流してくれる。

ライバル会社の策略によって自殺に追い込まれた親友。呪物を作る一族の男が復讐のために作ったウサギは、ライバル会社のすべてをかじり尽くしていく。
哀しき復讐譚の表題作をはじめ、排泄物が意志を持ち話しかけてくる「頭」、避妊薬を飲み続けた副作用で妊娠した女性が父親候補を探す「月のもの」、パートナー・ロボットとの奇妙な関係性を描く「さようなら、【愛/いと】しい人」、黄金の血を流すキツネによって大儲けした男の生涯「【罠/わな】」、ビルを購入した若い夫婦が次々とトラブルに襲われる「楽しい我が家」など。
孤独に寄りそってくれる“恐怖”と、その先に待つ美しく甘美な破滅を描いた、韓国の奇才による異色短篇集。国際ブッカー賞最終候補作。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

ネタバレ

おもしろかった!!ホラー?ファンタジー?
あとがきに「この物語が、よそよそしく荒々しい世界において、寂しく孤独な方法で、それぞれに孤軍奮闘している読者の慰めになればと思う」とあるとおり、不条理で残酷で悲しい物語の中に、作者の労りを感じるような。
短編集という手軽さもあって、さくさく読んでしまった。最後の方の物語は希望もある終わり方だったので救われました…

最後は舞台がポーランドで、ポーランドと朝鮮の歴史を重ねている物語だった。韓国の作家の物語の中に朝鮮戦争や過去の大戦の記憶が刻まれていると日本人としてはドキッとする…

0
2026年03月03日

Posted by ブクログ

孤独、破滅、恐怖を感じる異色短編集。印象に残ったのは凶悪な呪いと破滅を淡々と描く「呪いのウサギ」、トイレに現れたおぞましい分身「頭」、相手不在のはずが急遽妊娠した恐怖「月のもの」の3編。不条理なホラーや幻想が好きな方にはぜひ読んで欲しい一冊です。

0
2026年02月05日

Posted by ブクログ

最初の一編が表題作「呪いのウサギ」なのですが、淡々とした語り口でどんどんと凄惨で容赦のない破滅を描き切っていて、なかなかのインパクトでちょっとばかりぎょっとしました。ただただ静かにひそやかに、いっそ詩を諳んじるかのような静々とした手つきで、グロテスクな残酷を描いていたのです。

その手管はどの短編にも発揮されていて、だからどのお話もアンハッピーに近いものばかりです。けれど、さほど後味の重さは感じないのです。なぜかと考えてみると、話それぞれの悲劇や苦痛のどれにもまったく寄り添わず、あくまで傍観者として、悲劇を遠巻きで描いているからかなと思えました。感情を描くのでなく、事象を描くことに尽くしている。だから下手に踏み入ってむごさに共鳴することなく、物語の顛末を読む方も静かに受け止められるのかな、と感じました。

ひたすらに運命に翻弄される青年の生きざまを描いた「傷痕」なんて、いちばん酷い話なはずなのに、その無残の痛々しさよりも辿った半生の運命の奇妙さをしっくりと受け止められる。下手に人物に共感させないけれど、その分、運命や物語そのものの不可思議さにしっかりと取り込まれる。そんな感覚で読めた、物騒だけれどしんみりとした物語たちでした。

0
2026年03月04日

Posted by ブクログ

韓国版の世にも奇妙な物語、はたまた千夜一夜物語という感じ。

ただ、物語の要素が陰湿・不安・生理的嫌悪といったような負の方向で構成されているので、そちらの話が好きか嫌いかで評価が真逆となりそう。

0
2025年12月21日

「SF・ファンタジー」ランキング