あらすじ
変身後もブルース・バナーの知性を手に入れたハルク。
その天才的頭脳と無双の怪力は、人類に恩恵をもたらすはずだった。
しかし、ガンマ爆弾の爆発を引き金とした暴走事件が起こり、改めてハルクという存在の危険性を痛感した秘密結社イルミナティは、人類全体の利益のためにハルクの地球外追放を決定する。
国際テロ組織ハイドラの宇宙兵器の始末を任されたハルクは宇宙に出たが、それはイルミナティの罠だった。
彼らはハルクの乗ったシャトルを急発進させ、知的生物のいない平和な星へとその進路を取った。
こうしてハルクの脅威は永遠に去った……はずだった。
航法装置に異常が発生するまでは……。
ハルクが流れ着いたのは惑星サカー。
だがそこは暴力が支配する弱肉強食の世界だった!
剣闘士に身をやつしたハルクは、連戦連勝を重ねていくが……。
【収録】Incredible Hulk #92-97, Giant-Size Hulk #1
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
すでに刊行されていた『ワールド・ウォー・ハルク』の前日譚として、解説だけが載っていたこの『プラネット・ハルク』がついに邦訳された。この経緯から見るに、元々は邦訳の予定なんかなかったはずだ。『マイティ・ソー バトルロイヤル』の映画におけるハルクの元ネタである、という宣伝がなされている以上、おそらく邦訳の決めてもそこだろう。とてもありがたい話である。長文の解説書を読んでも、アート面で見る面白さは伝わってこない、ということが改めてわかった。それほど絵の力の強い一冊に仕上がっている。
ストーリーとしては、地球を追放されたハルクがたどり着いた異星で圧政を敷く皇帝に、数人の仲間とともに立ち向かうという展開を追う。ただ、そこはハルク。正義に目覚めて主体的に戦う、とまではなかなか行かず、剣闘士として戦う…などの紆余曲折が挟み込まれる。だが、そこが面白い。
ハルク以外のヒーローはほぼ出ないし、なじみのない異星の異種族たちばかり登場する作品なので、少々合わない人も出てくることだろう。だが、一つの話としてのまとまりが良いので、ミニシリーズと同じような感覚で読むことができる。ハルクの力強さに触れたいならばぜひ。