【感想・ネタバレ】チャコズガーデンのレビュー

あらすじ

吉祥寺の瀟洒なマンション、チャコズガーデンに住む渚は、離婚を隠したまま孤独な数ヶ月を過ごしていた。だが不審者の侵入や奇妙な騒音が頻発、住人同士で協力することに。そこで見えてきたのは各家族の秘密、最上階の謎のレディの正体……渚は住人達と危機を乗り越え、新しい一歩を踏み出せるのか。サスペンスの名手が描く人間ドラマ!

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

 女性の持つ、女性特有のどくどくしい面を描くのが得意な作者、という印象だったので、この作品もあらすじを見て、ご近所付き合いから起こる女性同士のどろどろしたサスペンスかと思っていたのだが、良い意味で全然違っていて、驚いた。『汝の名』しか読んだことがないので、同じ人が書いたとは思えないくらいだ。
 描かれる女性の心の動きや行動はとても自然でやはりさすがなのはもちろんなのだが、読後感がとても爽やかで、とても好きなテイストの本だった。暗いだけでも、明るいだけでもない、嫌になるほどリアルすぎるわけでも、うわべだけをさっと掬っただけでもなくて、登場人物たちの描き方のスタンスが好き。
 この作者のこういったテイストの本、他にも読んでみたい。

 この物語を読んで、少し、現代のご近所付き合いについて考えた。
 こんな大きな事件が起こって団結しなければならなくなり、さらに図らずも住民の私生活が垣間見えてきたりして、幸運にも彼らは良い関係を築くことができた。しかしそれでも、作中にもあったように、事件を乗り越えてやってきたこのマンションの春も、数年で過ぎ去るのだろう。分譲とはいえ、マンションを去る人もいれば、入ってくる人もいる。大きな問題を経て上手くまとまっても、その関係性の寿命はそう長くない。そう思うと、なんだか少しやるせないなぁ。
 『汝の名』でも、作者は、現代の核家族化や勤め先ありきの住生活等について触れていた。身内を頼ることのできないような経済システムの現代。現代のご近所付き合い問題も、同じところに原因があるように思える。
 どうしてそうなってしまったんだろうな。引き込まれる物語の中に、少しそうやって何かについて考える契機をくれる。こういう本は、好きだ。

0
2017年10月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

個人的には、好きなタイプの話。
なんせ終りがほっとできるから・・。
先の幸せをにおわせているというか。

プロローグの時点で、この話は2人(ベルとチャコ)に関わる、ハッピーかホラーかのどちらかに転ぶなっていうのは、わかって。チャコが裏切るのかどうか、そこがポイントなのかな?という。
このときの設定は戦時中。

そして話は、現代へ。
テーマは私の中では「寂しい」「孤独」かな。
寂しい、はこの本の中でも書かれていて、ケイトが渚と交流を持つポイントもここにあったんですよね。

謎、というほどの謎はないです。
どちらかというと、マンションに住む人の日常と人間関係ですかね。

なので、人間関係もそこまで目新しいものはなく、マンションではなくても、誰もがお互いのことはよく知らないっていうのは、テーマになり得ますよね。

交流をしていくことで、謎が増え、謎を解決し、最終的には丸くおさまる。
渚と元旦那の関係にしても、ちょっときれいすぎかなとは思ったけど、こんな展開があってもいいかなとは思う。

でも私としては、ベルとチャコの関係が、エピローグで触れられていて、よかったなっていうところですね。

0
2016年07月01日

「小説」ランキング