あらすじ
1979年にホメイニ―師を中心とした革命で発足したイラン・イスラーム共和国。シーア派の理論に基づいた体制を敷き、中東でも反アメリカ、反イスラエルの急先鋒として存在感を示す。国際的に孤立しようとも核開発を進めて独自の道を歩むが、ここに至るには東西冷戦や中東での覇権争いなど複雑な歴史があった。本書は革命以後の軌跡を政治・経済・社会の側面から迫る。混迷する国際情勢の中、イランはどこへ向かうのか。
■目 次■
はじめに
序 章 近代国家建設と東西冷戦構造
1 パフラヴィー朝の成立と近代国家への道
2 モハンマド=レザー・シャーの専制政治と白色革命
3 反王政運動と王の国外退去
コラム① 在外イラン人学生の運動
第1章 ホメイニー体制と革命勢力の角逐
1 ホメイニー師の帰還と革命の達成
2 バーザルガーン暫定政府と憲法制定
3 イスラーム共和国体制と大統領選挙
コラム② 反西洋とファストフード
第2章 イラン・イラク戦争とイスラーム共和体制
1 押しつけられた戦争と「法学者の統治」
2 広がる戦火と「コントラ事件」
3 戦争の終結と新たな体制の模索
コラム③ 亡命者とテヘランゼルス
第3章 ハーメネイー体制と政治的自由
1 新体制と戦後復興 ラフサンジャーニー政権(一九八九~九七)
2 体制の変容と政治的自由 ハータミー政権(一九九七~二〇〇五)
3 体制の問い直しと宗教実践の多義性
コラム④ レスリングとサッカー
第4章 新保守派の台頭と「緑の運動」
1 国際関係の緊張とアフマディーネジャード政権(二〇〇五~一三)
2 国際的孤立と「緑の運動」
3 市民生活の変容と核開発問題
コラム⑤ 科学者と頭脳流出
第5章 防衛戦略と核問題
1 革命防衛隊の社会への浸透
2 革命防衛隊とロウハーニー政権(二〇一三~二一)
3 核問題の解決と中東情勢の変化
コラム⑥ 日本とイランの国交一〇〇年
終 章 暗雲垂れ込めるイスラーム共和体制の未来
1 ライースィー政権(二〇二一~二四年)への期待と終焉
2 急変する国際情勢とペゼシュキヤーン政権の発足
3 イスラーム共和体制の未来
あとがき
主要参考文献
関連年表
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
ww2中の連合国のイラン侵攻
→ソ連への脅威からドイツと親密だったことに原因
モサデグの石油国有化挫折や国王の専制政治
→イラン国民のアメリカに対する敵対心
ただしアメリカは冷戦的な問題からイランへの限定的な接触は継続(イラン・コントラ事件)
シーア派の三日月地帯
→イラン、イラク、シリア、レバノンのシーア派勢力
ヒズブッラーやフーシ派、アサド政権と良好関係
聖地問題でイスラエルとは対立しているため緩衝地帯を作る目的もある
核問題でアメリカと対立
JCPOAが軍地施設の査察を条件としていないこと、将来的にイスラエルの脅威となることが米国の軍事予算を圧迫することが動機
政治、経済分野で革命防衛隊が影響力をつけているため、最高指導者の後継者問題にも介入、傀儡化する可能性
2025.6対イスラエル戦争
Posted by ブクログ
「それは流石にイランが可哀想だよ…」と「こいつらどうしようもねーな…」が交互に来る歴史だった…
国営企業を民間に払い下げた瞬間しっちゃかめっちゃかになるのは乾いた笑いが出る。
外交をやるにあたって宗教がめちゃくちゃ足引っ張ってんなぁと感じるし、それほどイデオロギーを重要視しているとも感じる。日本人には理解しづらい感情だ。
Posted by ブクログ
あとがきが2025年8月発行で11月刊。
1979年の革命から2025年7月までを短い言葉でたんたんと説明され、読みやすいコラムもあります。
読み手の力不足ながら、非常に入り組んだ複雑な状況と受けとりました。
最終章のタイトルは「暗雲垂れ込めるイスラーム共和国の未来」
最後に「われわれはどう生きるのか。あるいは、われわれはどこに行くのか-。(中略)、イラン現代史がその答えを用意しているわけではない。しかしイラン現代史を繙いてきたなかで明らかなのは、われわれはまだ可能性のなかに生きていること、外に広がる大きな世界を個人が変えうるといことである。それは困難で苦しく、時に犠牲も払われたりもするが、限界もない。」とあり、2026年1月にイランで起こっていることへの祈りとも思えます。
Posted by ブクログ
イラン初学者として読んだ本。全体知識をある程度求められる内容で理解が難しいところありましたが、非常に学びにはなりました。
国家に対する印象とそこに住む国民への印象を同一してしまうことが多いですが、それはしないように気をつけようと改めて思いました。
イスラーム国家とはいえ、そこに住む国民はお酒を飲んだり自由に恋愛をしたりしているわけです。そしてそれと同時にその人たちもイスラーム教を信仰しているわけです。
きっとそれは同居できるんですよね。
もう少し関連本を読みたいと思います。