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Posted by ブクログ
タック&タカチシリーズ第五長編にして、シリーズ総決算。
・裏口のドアに挟まれている小石
・死んでいるはずの老婆の幽霊
・未亡人が飼っていた犬
・ケイコという名の少女が連続で誘拐され、無傷で
帰ってきた事件
シリーズの醍醐味と言える奇妙な謎が、本書にはふんだんに盛り込まれている。一つ一つのディスカッションも楽しいが、とにかく凄いのは、謎が謎を補強し合っているところ。
目的を見失い、精神安定のために行うストーカー行為や、信じたくないという思いからの記憶の改竄、神を捨てるために娘を捨てた父。
アクロバティックなロジックの先に見えてくるのは、果てしない人間の業。
そしてそれらは全て、最大の謎を解きタカチが勝利を収める、その前哨戦、伏線へと変貌する。
さらにあのラスト。ウサコの視点でしか描けない、あの美しい幕切れは忘れられない。
このシリーズを読んできて、本当に良かった。
Posted by ブクログ
――
ぜんぶひとごとなのは、じぶんがないからじゃない?
『仔羊たちの聖夜』、『スコッチ・ゲーム』と合わせて3部作、として読むのがお勧め。
積み重ねてきたもやもやとしたものを、ひとまず清算してくれる。スカッとする、というわけではないのだけれど、ただ、希望を手にするというか。
シリーズはまだまだ続くから、中間決算、といったところかな?
とはいえ内容はやっぱり重い。特にこれまでよいどれ仙人的だったタックのこんな姿を、と思うと辛いところ。でもこういうときが来るべくして来た、とも云える。
なんだかんだ、このシリーズの幹になっているのはやっぱりボンちゃんなんだなぁ、と思いました。
どんな立場にもなり得る、だからどうしょうもなくも見えるんだけれど、それすらも自覚していて。
被害者にも、加害者にも、
自分がどちらにでもなり得るから、そのどちらも受け入れられる。
その分、どちらとも向き合わなければいけないし、
どちらの気持ちも代弁できてしまうということは、どちらの立場からも責められかねないということで。
そういうひとが居てくれるからこそ、周りは自分の立場や立ち位置、を決めていられる、のかもしれない。
満足の☆4.4
Posted by ブクログ
タック&タカチシリーズ。
約20年ぶりの再読。昔読んだときもやたら重いと思った記憶があるが、やはり重い。前作のスコッチゲームから引き続く「親からの支配」のようなものが物語の根底に流れている。正直、私の親にそれほど不満はなく、なかなか共感はできないのだが、おじさんになりすぎて忘れてしまった気持ちもあるのかもしれない。ただ哲学的に考えすぎる若者ならではの思いをベースにしているかもしれない。
しかし、長い。ストーカー事件や幽霊事件など、本筋と関係なさすぎる事件の謎解きが長すぎる。全てタックが抱える問題に繋がるものではあるのだか、ちょっと作者が書きたいことを詰め込み過ぎかなあ。
これらの事件を語るためにルルちゃん、カノちゃん、ケイコちゃんと三人も新キャラを出すのでやはり長くなる。
ウサコ視点で書かれており、4人の中では普通人の視点で読みやすい。
タックとタカチの1つの結末なのでファンは必読。
Posted by ブクログ
今までの中で一番重たい話だけど、ウサコの語り口調とキャラクターが中和してくれる。現在の話と、ここに至るまでの話が交差しつつ、その間にもいくつかの小さなミステリーがあって、最後に全てが現在に集約される。
最後のシーンは印象に残る。
Posted by ブクログ
タック&タカチシリーズ。白井教授の自宅に招かれた一同は、教授が再婚した美しい奥さんに出会う。しかしその奥さんを見てタックは「あの人は自分の実母で、兄を殺した人だ」と衝撃の告白をするところから物語は始まる。
今回の語り手はウサコ。今までスポットが当てられなかったウサコの人格に強く焦点が当てられる。また、タックの過去も話されたり、ボアン先輩が大活躍したり、キャラクターの良し悪しが多く語られるところが面白い。
ストーリーはタックの過去、友人のストーカー被害や昔の誘拐事件など、推理物語的には地味なものを皆で議論する場面がほとんど。面白くない人もいれば逆もいるだろう。個人的にはまぁまぁというところ。
タック&タカチシリーズを読み進めるには絶対に読まなければいけない作品である。