あらすじ
“勝利の女神”はどんな男に微笑むのか―勝負の3要素は「確率・勢い・運」だ。大事なことこそ簡単に決めるべし!自分に有利な空気を作り出す法…、そして勝負に不可欠の二つの心得、「雑の精神」と「省(しょう)の精神」についてまで将棋界きっての才人が言及する。
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勝負の3要素は確率、勢い、運である。
勢いについて
第1にタイミングを見極められるか。
第2にここと思った時に打って出るための準備をしているか。
第3に決定的場面で勇猛果敢に売って出れるか。
そのタイミングでない時にじっと我慢するのも勢いである。
運について
波長は違えど全ての人に平等にやってくる。そしてできるだけ波のいい所をつかまえて上手く乗った人が良い結果を得る。人生にはこの運の大きな波が何回かあり、小さな波は小刻みにたくさんある。
ではどうすればいいのか。
自分の利害には大した影響のない勝負で、必死に頑張ること。大1番と言われる勝負は実力さえあれば何度でも巡ってくる。そうではなく自分にとっては重要ではなくても相手にとって運命を左右しかねない戦いのことを指す。
そういう戦いはたとえ負けたとしても後から報われる。
それなりになるために必要な勉強時間は6000時間。
男が勝負に負けた時はじっとしているに限る。勝てば官軍、負ければ辛抱。
働くことが男の生き甲斐であって遊ぶことは働くことに比べるとかなり価値の落ちること。
遊んできた人と働いてきた人を比べるとどうも働いてきた人の方が充実している。
子供の教育で1番大事なのは才能や適性をあれこれ考えることよりも集中力をつけてやること。それには好きなことをやらせるのが1番いい。子供はやりたいことを一所懸命やるうちに集中力をつけていくものなのです。
そして「お前は一流になる」と励ます。
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p211 「飛躍というのは、何もしないところには絶対に生まれない。自分の一生をいかに有効に、効率よく生きていくか。そういう目的意識を持たないと、限られた小さな世界を、初めから終わりまで、いつまでも堂々めぐりをする人生に終わってしまうのではないでしょうか。」
貸し方に回れって考え方がよかった 普段は貸し借り論好きじゃないけどこの貸しっていうのはひとに対してというより広い範囲に対しての貸し 例えば道に落ちてる財布を交番に届けたってことは落としたひとに対して貸しがあるというより世の中のためにいいことをした、だからきっと自分に運が回るみたいな
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将棋に対する考え方に基づき勝ち負けについて記載されています。
ただ、その内容は将棋だけにとどまらず、生きる上でも十分すぎるほど示唆に富んだ内容です。オススメ
印象に残ったのは、大舞台で運を掴むには、自分にとっては大きな舞台でなくても常に本気で取り組むという考え方。相手にとって意味ある舞台では必ず勝ちに行く!
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人生というのは勝負の連続だと感じた。
勝負への哲学。
勝負の秘訣とは、握手を打たないことである
将棋は、常に最後に波乱が待っている。
その一手が、良いかどうかはわからないことは多い。
ただし握手を刺さないということに一点の集中をするべきである。
現代の将棋は、定石をたどるということが多い。
定石を学んでも、過去を学ぶというだけで、一生その人は越えられない。
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印象に残っているエピソードが1つ。
棋士の卵達を集めた研究会で、対局者と観戦者がいるのだが、観戦に回った時、他人の対局を食い入るように見て、一緒に考えている参加者と、集中が続かなくてアクビしている参加者が必ずいる。
最初は偶然かと思っていたが、何度も観察していると、実力が足りずもっと勉強が必要な参加者に限って、アクビ組。見込みのある者は対局者の傍らで真剣に考えている。
その理由は…
というくだり。
さらに、アクビ組は、会の運営からすると空気を濁らせる存在。
ここが本当に目鱗で、それまでは、ちょっと毛色の違ったハイレベルなセミナーとかに誘われると、自分などが参加してよいかその度に迷っていたが、これを読んで、参加してよいか否かの基準が自分の中でできた。この一事だけでも、読んだ価値があった。
これを書く前に多くの方々の感想を拝見して、他にも大切なことが満載だったと思い出した。
園遊会での後日談は残念でしたが、本書の価値には関係ないでしょう。
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初版は1982年、つまり40年前。これに著者の個性が加わって、その「昭和的」価値観にビックリというか、閉口する箇所は、少なくない。
とはいえ、以下のような指摘は、流石米長さんだなと思ったりする。
・最善手を指し続けるのではなく、悪手をしないのが重要。
・どうすればカンが養えるか。カンは仮説の一種なのだから、カンを養うには仮説を立てる訓練をするのが良い。希望的観測でもよいので、まずは立ててからその検証をする。
・大雑把にできることは大雑把にすますのが、対局の多さや体力の低下を乗り切るコツ。どこまで大雑把にできるかを考える。
全般として、社会の変化が急速になっている状況をどう乗り切るか、という視点から書かれてている。出版から40年。社会の変化が一層急速になっているなか、参考になる個所が色々あった。
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一番参考になったのは「悪手でなければ何を指しても良い」という考え方。最善手ばかり求めてしまう優柔不断な人(自分もそうだが)は読んでみると良いのではないだろうか。何故それが良いのかを本書の中で十分解説してくれている。
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2020年10月3日のNHK「あの人に会いたい」という10分番組で、彼のインタビューを見ました。20歳ぐらい若い人と対局する時、強みだと信じていた経験が逆に弱みになると気づいた、それを捨てて新たに挑戦することにしか可能性がないことに気づいた…みたいなことを言っていて、カッコいい!と痺れてしまいました。なんでもいいから彼の本を読んでみたいと思い、即、本屋。まだ置いてあるんですね。そういえば、30年前ぐらい当時の上司が週刊文春での米長邦雄の連載を楽しみにしてたなぁ、と思い出したりしました。結構、昭和な感じの本でしたが、それでも勝負というものが人生観の表れである、とことか浸み込みました。奥さんへのプロポーズのエピソードのトンデモっぷりも最高。さてさて、もし生きていたら米長邦雄は藤井聡太のこと、どう語るのかな?
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プロ棋士が、真っ直ぐな、プロフェッショナル論を述べている本書。
「私たちプロのレベルで申しますと、強くなりたいのなら、自分自身になりきることです。」
「大事なのは一日一日を今日は何のための日であるか、はっきり意識して過ごすことです。」
「人生で貸し方に回るか、借り方に回るか、どちらの立場を選ぶか」
といった、プロとして生きていた著者の考え方ですが、ビジネスマンとしても参考にできることがたくさんあると感じた。
結局は自分がどう生きたいかを決め、
それを実践していくことで、
自分で自分の人生を豊かに、意味のあったなと思える、繋がるということが書かれていた気がします。
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米長は、昭和の時代の人だね。
男が男としての威厳をもとうとしている。
昭和の美徳の上に、勝負をしている。
人間に必要なのは、
女神にすかれる、きらわれないこと。
人生勝負と考え「さわやかに勝つ」
「確率」「勢い」「運」の 三要素。
「細部にとらわれず、全体を見る」
「弱いパットは入らない」
「孤独に耐えられる力が必要である」
「自分で解けそうもない問題を、
自分だけの力で答えを出そうという苦労」
「雑の精神」「省の精神」
男らしさは「理性」と「思いやり」
更に、男になるには、「貸し方」に回る。
言葉が、実感を伴っているので、深みがある。
将棋は、やはり図形認識しているなぁと思った。
次の一手は、直感的に浮かぶ。「一目で分かる」
オトコが勝負に負けた時は、何を言われても、
じっとしているに限る。これはもう鉄則です。
自分のカンに自信をもつ事である。
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この人の言っていることは恣意的なのだが、自分の感覚にはよく馴染む。「貸しを作る側に極力廻る」「大義名分がない時には怒らない」「日常の振れ幅を大事にする」「しょうむない自慢をしない」「一流の誇りをもって自分を律する」ここらへんは特に。
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さわやか流の生き方。周りを味方につけて、運を味方につける。非常に参考になった。
相手にとって大事な対局を命がけで挑む姿勢というのは参考になったし、なるほどと思った。
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先日亡くなった米長元名人の20年前の著作。米長さんの将棋における勝負の考え方を中心に、人生論、教育論、運や幸運の女神の引き寄せ方などが語られている。将棋の勝負の話が結構多く、将棋界のプロがどのように生活しているのか、プロ将棋の勝負において一局というものはどのように進められているのか、ということが(少しは将棋をかじったことがあれば)良く分かる。プロが1時間も2時間も次の一手を考えているときってのは何をどう考えているのか、本書で初めて知った。人生における”貸し借り論”というのも大変有意義な心構えだと思う。米長さんは「一生懸命」ではなく「一所懸命」を常に使っているのが個人的には非常に好きである。
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○常に「今日は何のための日か」を考える○歩の動きは王様の都合で決まる。
我慢するだけでなく現状を打破する機会と手段をじっといつも考えて待っている。
とにかくじっと我慢して与えられた仕事を必死にやる。そして現状を打開する方策をこらす。
いやな仕事を一所賢明にやりながら、自分のしたい仕事に対する準備を万端整えておく。この二つともやらない人は人生に失敗する危険性がある。
○雑の精神と省の精神
→決定的に負けになるとすればどこなのか、だけを見逃さなければ、勝負はなんとかなる。
○不利な時の勢い
逆転するには、どこでどういうことをすべきかを一心不乱にうかがう
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先日の『われ敗れたり』にあまりに感銘を受けたので、思わず米長邦雄永世棋聖の全盛期頃の本(当時かなりベストセラーになったらしい)も読んでみました。
名著には違いないとは思いますが、昭和57年の初版ですから、さすがに現在とは時代背景が違い、夫婦観や仕事観など今読むと価値観に違和感を感じるであろう部分もありますが、驚いたのは言っていることの肝心な部分は『われ敗れたり』とほぼ同じということ。つまり、ぶれが全くありません。
個人的には、この全盛期の本よりも、コンピュータに敗れた後の敗戦記である『われ~』の方がより円熟した迫力を感じましたが、とにかく氏が言っているのは「自分で考える」ことの大切さ。
氏も師匠から将棋を教わったことは無いと言います。
師匠が将棋を教えてくれたら、それは「破門」ということ。見込みがないので、この棋譜を記念に荷物をまとめて故郷へ帰りなさい、という意味なのだそう。
ここは本当に共感した部分です。本当に見込みがあると思う相手には教えない、先輩・上司が手取り足取り教えるというのは、むしろ見切りをつけてしまったから…というと言い過ぎですが、期待値が下がってしまった証拠…
など共感してしまう私の感覚もいまの価値観からすると古いのかもしれませんね。
(ちなみに私自身が手取り足取り教わるのが嫌いなもので… 後輩、部下は大変と思います。)
※最後は話が逸れました。
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自分の個性を出すとか自分は他人と違うんだとかで奇抜な格好をしたり髪の毛を染めたりする人達が多いが、他人との違いとかパーソナリティーとはそういったことなのだろうか?この本の著者、米長邦雄のような人こそが本当の個性を発揮し、活躍してきた人である気がする。「最終的に頼れるのは自分自身の力だけ」「他人の知恵を借りたり、他人の目を気にしたりしない」といった意気込みで考え抜き、自分自身の他人とは違った将棋(人生)に対する世界観を作り上げていく、これこそが他人と違う自己を作り上げることだと感じた。
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26年前、プロ棋士であった米長邦雄氏が書いた勝負論
棋士ということもあり、1対1のガチンコ勝負に勝つ方法かと思いきや全然違った。
勝利の女神はどんな男に微笑むかといった、人生論ともいえる。
現在から考えると、若干昔の考え方もあるかなと感じることはあったが
著者のポジティブであれ、わがままであれという姿には昔のよき日本人の男らしさなのかな。
ある程度アクが強くないと、人生においても突出しないのかも
中でも感銘を受けた言葉を4つ挙げる
(1) 人間は常に悪手の中を歩いている。悪手をささないことに十二分な配慮を行う
(2) 集中力がないのではなく、何に集中するかが分かっていない
(3) 弱いものほど結論を早くだしたがる
(4) 序盤(最初の一歩)は楽観的に中盤・終盤の一手が重要
他にもいくつかあったが、(一人前には6000時間の勉強が必要とか)一応4つ
特に、(1)、(4)は今後の人生における決定において覚えておきたい言葉である。
(2)、(3)は仕事や勉強において今自分自身考えなきゃいけないと思っていたところなのであえて挙げてみた。
将棋をしない人でも十分感銘を受ける、良書だと思う。
Posted by ブクログ
自分を理解して、勝負に向かう。物事の良し悪し、周囲の流れによる好不調と自分のスタンスというか好み。その違いを明確に意識して、行動を選択できるというのは何というか、胸がすきます。
・将棋というのは、必ず途中からとんでもないことが起こって、わけがわからない状態になるようになっているものなのです。例えば矢倉の戦いを例にすると、25手目におおまかに見て9通りの手がある。これが最善かな、という手はあるが確信は持てません。後手側もやはり9通りの手がある。両者が一手ずつ違う組み合わせの手を指すと、2手後には大体80通りくらいの変化になる。その一つ一つを研究してどの形が良いか考えるのも大切ですが、私の考えでは、どれをとっても全部一局になる。どのように生きても、一つの人生になるという感じなのです。
・難局になると、私は一番難しい、結論の出しにくい手を相手に返すようにしている。それは必ずしも最善手ではないが、相手の立場に立ってもすぐにどう返したら良いか結論が出ないような手は、相手も結論を出せない。そのラリーを続けていけば、先に弱い方が間違える。相手が強い場合は、局面ができるだけ単純になるように、急戦で勝負を持っていく。力の差が出にくく、一手間違えれば強い人も簡単につぶれるし、弱い人でもうまくやれば、そのまま切り込んで終わらせられる。
(ランチェスターみたいな戦略だ・・。素晴らしい。)
・ある動きがあれば、必ずその反動がある。その反動を無理に抑えようとすれば、必ずどこかに軋みがきて、おかしなことになる。バランスが片一方に偏りすぎていると見た場合に、私は少々極端に見えることを言うことがあるのは、何事にもバランスと許容範囲というのを大切にしたいからです。