あらすじ
〔ジョン・W・キャンベル記念賞受賞〕三千万の視聴者から愛されるマルチタレントのタヴァナーは、ある朝安ホテルで目覚めた。やがて恐るべき事実が判明した。世界中の誰も自分のことを覚えていないのだ!
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Posted by ブクログ
非常に読みやすい!
ディック長編の入門書としてもおすすめかもしれない作品。
実は「逆まわりの世界」を読み始めたんだけど、
内容は絶対好きなやつなのに、2〜3日経っても全然読み進められず、、
それでそちらを諦めて、次に本棚から手に取ったのがこちら。
とっても読みやすくてあっという間に読んでしまった。
面白いのが、読み手のドキドキの対象(語彙力ほしい…)がある時点でガラリと変わること。
最初、パラレルワールド的な展開に直面して「やっほー私の大好物!!」となったと思いきや、
なんとその真相は非常にアッサリと解決されてしまう。笑
でもそこで何故か全然落胆(期待外れ感)はなくて、
その後は凄いスピードで物語の方向が変化していく。
私にとってはそのからくり(?)自体がもう想定外すぎてかなり衝撃的。
しかもこんな凄いSF仕掛けを思いついたのに、それをさらりと解放してそれで終わりっていうところが、ディックの天才要素を体現している気がして感無量。
(だってもし私がこんな仕掛け思いついたら、これをテーマに掘り下げて掘り下げて、長編一冊描きたくなるもの!!普通はそうだよね?)
ブレードランナーから入った私は、スイックス→six→セブンって並びを見てネクサスシックスやん!って興奮したのも思い出。
あとがきを読んで初めて、「あ〜たしかにタヴァナーは一度も涙流してなかったかもなあ」とは思ったけど、“愛”についての深い描写についてはあまりピンとこなかったかなあ。
もし結婚したり子供ができたりして、“最愛の人”という存在ができた時には、また違う感動が得られるのかもしれないな。
Posted by ブクログ
タイトルが良すぎる
序中盤の謎めいたストーリーが展開され、終盤の種明かしはやや難解だった。
ジェイスンの背後で陰謀が渦巻いているのかと思いきや、アリスの使用した薬物の影響だったとは。そして、その薬物のせいでアリスは死亡し、兄であり夫であるバックマンにスポットライトが切り替わる
スイックスという存在についての言及があまりないのと、結末がかなり意外だった。
結局はスイックスという特別な存在と、一般人とを対比させ、嘆きや悲しみという感情について書きたかったのかな。性的嗜好はスイックスであるジェイスンはノーマルで、バックマンはアブノーマル。少数派の一般人が、分かり合える数少ない仲間を失った悲しさというのを書きたかったのかな。にしては前半部分がかなり長い気がするが。
紙面の大半を割かれてかかれていたジェイスンが終盤で影が薄くなり、バックマンがメインとなるのでどういう感情で読めばいいのかイマイチ分からなかったのが難点。
Posted by ブクログ
主人公のタヴァナーの言動行動がどこか人間味に欠けるなぁと思っていたら、そういうことだったのか…!ある種のアンドロイドなんだ。
一見悪役であったバックマンがタヴァナーと違って他人にシンパシーを感じ悲しみに涙することのできる人間だったんだな。前半と後半ではストーリーの軸というか誰を主人公と捉えて読むかがガラリと変わる本。
Posted by ブクログ
TVスターがトラブルで手術室に運び込まれ,目が覚めると世界中の誰も自分を覚えていないし,データバンクに彼の存在を示す記録が何も残っていない,,,という,ディックお得意の「現実と非現実の違いって何?」というお話し.
と聞くと極めてSFチックなのだが,ただし,実は設定はそれほど重要ではなく,読んでみると中身はボネガットか,ジョンアーヴィングか,という感じ.
ディックの作品の例に漏れず,グダグダになっているところもあるし,TVスターは主人公ですらなくなってしまうし,そもそもはじめに述べたトラブルの理屈もサッパリわからないのだが,近しい人を失う喪失の痛みを書いた話です.
おそらく25年ぶりぐらいの再読だが,当時はこの良さが理解できなかったことを,今は恥ずかしく思う.
Posted by ブクログ
ある日、大人気歌手のジェイスン・タヴァナーが、自身に関するあらゆる記録を消され、存在しなくなった世界を体験する話。なぜ記録が消されたのか?という謎を解き明かす物語だと思っていたが、真相は最後にサラッと言われるだけで納得できるかと言われても微妙。しかし、タヴァナーやそれを取り巻く人のやり取りや心情の変化、タヴァナーへの考えなど肯定的に見る人もいれば否定的な人もいるし、利用しようと悪さを働く人もいて、人間性というのを斬新な視点で書かれていた。内容を十二分には取り入れることができなかったが、最後のバックマンのタヴァナーを犯人に仕立てる下りなど、フィクションとしてのストーリーとしてもまあまあ楽しめた。