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Posted by ブクログ
非常に読みやすい!
ディック長編の入門書としてもおすすめかもしれない作品。
実は「逆まわりの世界」を読み始めたんだけど、
内容は絶対好きなやつなのに、2〜3日経っても全然読み進められず、、
それでそちらを諦めて、次に本棚から手に取ったのがこちら。
とっても読みやすくてあっという間に読んでしまった。
面白いのが、読み手のドキドキの対象(語彙力ほしい…)がある時点でガラリと変わること。
最初、パラレルワールド的な展開に直面して「やっほー私の大好物!!」となったと思いきや、
なんとその真相は非常にアッサリと解決されてしまう。笑
でもそこで何故か全然落胆(期待外れ感)はなくて、
その後は凄いスピードで物語の方向が変化していく。
私にとってはそのからくり(?)自体がもう想定外すぎてかなり衝撃的。
しかもこんな凄いSF仕掛けを思いついたのに、それをさらりと解放してそれで終わりっていうところが、ディックの天才要素を体現している気がして感無量。
(だってもし私がこんな仕掛け思いついたら、これをテーマに掘り下げて掘り下げて、長編一冊描きたくなるもの!!普通はそうだよね?)
ブレードランナーから入った私は、スイックス→six→セブンって並びを見てネクサスシックスやん!って興奮したのも思い出。
あとがきを読んで初めて、「あ〜たしかにタヴァナーは一度も涙流してなかったかもなあ」とは思ったけど、“愛”についての深い描写についてはあまりピンとこなかったかなあ。
もし結婚したり子供ができたりして、“最愛の人”という存在ができた時には、また違う感動が得られるのかもしれないな。
Posted by ブクログ
主人公のタヴァナーの言動行動がどこか人間味に欠けるなぁと思っていたら、そういうことだったのか…!ある種のアンドロイドなんだ。
一見悪役であったバックマンがタヴァナーと違って他人にシンパシーを感じ悲しみに涙することのできる人間だったんだな。前半と後半ではストーリーの軸というか誰を主人公と捉えて読むかがガラリと変わる本。
Posted by ブクログ
TVスターがトラブルで手術室に運び込まれ,目が覚めると世界中の誰も自分を覚えていないし,データバンクに彼の存在を示す記録が何も残っていない,,,という,ディックお得意の「現実と非現実の違いって何?」というお話し.
と聞くと極めてSFチックなのだが,ただし,実は設定はそれほど重要ではなく,読んでみると中身はボネガットか,ジョンアーヴィングか,という感じ.
ディックの作品の例に漏れず,グダグダになっているところもあるし,TVスターは主人公ですらなくなってしまうし,そもそもはじめに述べたトラブルの理屈もサッパリわからないのだが,近しい人を失う喪失の痛みを書いた話です.
おそらく25年ぶりぐらいの再読だが,当時はこの良さが理解できなかったことを,今は恥ずかしく思う.
Posted by ブクログ
近未来的で、どこか古臭い。
この本が出版された当時想像されていた“近未来”が、頭の中に浮かんでくる。
どこか退廃的で薄暗い雰囲気は、前に読んだ電気羊を思い出させてくれた。ディックの書く近未来は、なぜか心地良い。
巻末の解説を読むと、執筆当時の著者の状況が色濃く反映されているようだ。
読み始めた当初、スイックスという存在の謎やタヴァナーの記録抹消の解明がなされていくストーリーかと思っていたので、やけに回り道が多い話だなーと思っていた。(恥ずかしい)
涙と愛にまつわる物語。
嘆きと悲しみに対して新しい考え方をくれた