【感想・ネタバレ】南の子供が夜いくところのレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

久々に恒川光太郎を読む。こんなに面白かったけ?っていうぐらい世界に入り込んでスイスイサクサクと読めた。

危うく一家心中に書き込まれかけた小学生のタカシ、ワゴン車でカフェを営むユナという謎の女性に助けられて不思議な雰囲気の南の島にやってくる…という表題作から始まり、このタカシとユナが出てくる(端役の場合もあり)短編が続いていく形式。

南洋のファンタジー系ホラーの雰囲気をまとう各編。東シナ海あたりにありそうな島を舞台に、ちょっとユルめに民俗学的伝承感のあるホラーっぽい雰囲気が、夏の蒸し暑さにちょうど良く、残暑厳しい9月に読めて良かったなとも思った。

0
2023年09月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

再読。今回もひんやり涼しく、楽しく読みました。
小さな島なのかと思っていましたがかなり広いトロンバス島。コミュニティが小さくないからおおらかなのか、ユナを始めとして不思議な存在がたくさんあるから、今更変わった事があっても…みたいになるのか。いいな、南の島。
トロンバス島が舞台じゃないお話もあってそちらは時代が違うけれど、その他は「こう繋がるんだ…」というゾクッと感があって良かったです。
「まどろみのティユルさん」が今回も好き。ソノバのご先祖、「穏」の出身なのか。あの町から離れたら、一処に留まれずこの世界を巡り廻る定めなのかもしれない…と思ってしまう。それはそれとして、ティユルさんはこれからも大きな木陰を作って微睡んでるんだろうなと、聳え立つ菩提樹が目に浮かぶようです。
タカシも波乱万丈だけれど、父ケイタもなかなか…フルーツタウンで迷子になってる場合じゃない。タカシ、トロンバス島に来られて良かったね…一家心中で死ななくて、というより、この両親のもとで育ってたらひねくれてそう。
話数が多い連作短編集だと、恒川ワールドは時間にも広がりを見せてくるのが良かったです。滅びる場所もあるけど、何百年も続いてきて、また続いていく世界を感じられました。

0
2023年08月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

”ユナ”という呪術師が全部の話に絡んでくるが、一つ一つは独立している短編。
どれも不思議なお話。一家離散した家族は結局また一つになることはなく、でも父と息子は会えたかもしれない。敵に襲われた島の若者が長い間かけて竜の一族?を見つけ技術を受けて敵に勝とうと思うが、途中で「そうなったらもっと人が死ぬ」ことに気づく。海賊だった男が長い年月かけて菩提樹になった。島に流れ着いた西洋人は便利な知恵をたくさんもっていたが彼が善意で教えてくれるものも、後に人の欲をかきたて秩序を乱すものになりかねない。

0
2022年12月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

今回も面白かった。
最初の短編が結論なく終わったから不完全燃焼と思っていたが、全ての話においてタカシが絡んでおり、彼の島での生活が垣間見れる。
オンも出てきて、他の作品と繋がった。
それぞれの短編で主人公となる人物が決まっており、読みやすかった。
情景描写も鮮やかで行ったことのない島の暮らしが目に浮かぶ。


・南の子供が夜いくところ
一家心中寸前のところユナに手助けされ、南の島にやってきたタカシ。
父親とも母親とも別々の島に暮らすことになる。
結論が出るわけではないけど、タカシは生き延び日本に戻ってきたのかな、と思われる描写が冒頭にある。
母親の勝手で振り回された子供が許さない気持ちわかる。南の子供が夜悪夢を見た時に行くところは、悪夢を取り除いてくれるおばさんの家。
・紫焔樹の島
ある島ではタイトルの樹が一本生えている。実を食べれるのは一年に一度のみ。樹の場所がわかるのは女性だけで、選ばれたものは果実の巫女と呼ばれる。果実の巫女は島の神様トイトイ様と話せる。
果実を食べると不老不死にはならないが、力が漲る程度の効果はある。白と赤の実のうち赤しか食べちゃダメ。主人公はユナ。最後は島全員伝染病で全滅し、ユナが白い実を食べてしまい、イギリスから来たスティーブンと島を離れておわる。
この不思議な設定がもう面白いし、作り込まれた世界観。トイトイ様みたいな神様と私も友達になりない。
・十字路のピンクの屏
タカシの友人のロブが主人公
ロブが会った魔神がロブに変装して女性とキスをする願望を叶えた話。
墓参り、私は全然行かないけど、死体を出して新しい布を巻き直して囲んで宴会する、ってなかなか子供には衝撃的だと思った。
・雲の眠る海
ある島から命からがら逃れた戦士の話。伝説の海龍蛇の民族を探し、島を助けてもらうために旅に出る。結果現代のユナとタカシがいる島に流れつく。
男のいた島は昔水没し遺跡の島となっている。雲が海面に着くほど下がってきて、雲の中を泳いだあと島に着いたこと先にユナたちがいた。タイムスリップもの。男は最後消えた。
・蛸漁師
岬で蛸漁師をしている男が主人公。
蛸漁師に至るまでの一連の事件を語る。この男の息子はユナとタカシに会ったことがある子供だった。彼が死に、検証をした父親が結果的に復讐を果たし、これまでの不思議な一連の顛末復讐した相手の父親に話しているというオチ。
・まどろみのティユルさん
海賊だった男が主人公。ティユルは目が覚めると石になっていた。石だけど話せるし、少しずつ体が土から出てくる。タカシと話すこともできる。子供の頃のユナとも知り合いで、再開は果たせず木になった。オンが出てきた!!

・夜の果樹園
タカシの父親が主人公。タカシに会うためにやってきた島のバスに乗って、終点で降りると犬になっていたところから始まる。犬になって、小鬼になって、アボカドになって、最後は人に戻ってタカシに会えただろう、流れ。何年間ものストーリーに感じるがたった1日だったという神隠し的なオチ。島の裏の野生のフルーツがたくさんなってる廃墟に行ったと考えられる

0
2022年08月06日

「小説」ランキング