あらすじ
パレスチナ移民たちの心情を描く傑作短篇集。
力によって追放され、世界のどこにいようと「よそ者」として日常を引き裂かれ続けるパレスチナ人たちは、あなたのすぐ隣にもいるかもしれない。ーー安田菜津紀氏(Dialogue for People副代表/フォトジャーナリスト)推薦!
2022年アトウッド・ギブソン・ライターズ・トラスト・フィクション賞最終候補作
母国について教えた恋人が救済活動に目覚めていく姿に戸惑う医師
かつて暮らした国への小さな投稿によって追い詰められていく数学者
ルームメイトたちに溶け込むために架空の恋人をでっちあげる大学生
正規採用と引き換えに違法なミッションを引き受けてしまう司法修習生
妻と娘のために禁断の取引に手を伸ばしてしまうプログラマー……
安住の地となるはずの国で心揺らぐパレスチナ移民たちの日々が、珠玉の9篇に。瀬戸際に追い詰められながら自らのアイデンティティを探る姿を多彩な筆致で綴る、カナダ発傑作短篇集。
(底本 2025年10月発売作品)
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
胸が痛い。
ひとつひとつのことは占領者と非占領者の間で繰り返されてきたものなのだと思う。イスラエル人の入植者が彼らにしたことを、和人はアイヌの人々にしただろう。かの王国の傲岸な振る舞いは、大日本帝国も同じ性質を持っていただろうと思う。
パレスチナの人々は、いまもこれほどの服従を延々と強いられている。祖国を追われてなお!
Posted by ブクログ
パレスチナの人々が、こうも苦しむ謂れがどこにあるというのだろう。当然ながら知っていたことではあるが、しかし一人称の視点で改めて、家を追われ故郷が奪われたこと、家族や同胞がゴミのように殺されていること、そしてそれに対して世界が冷淡であることと向き合うと、現実の惨さに体がバラバラになるような思いがする。
著者自身を反映しているのだと思うが、作中の語り手たちの多くは逃れた先の国で人生の大半を過ごした第二・第三世代のパレスチナ系移民であり、奪われた故郷の姿を祖父母の話からしか思い描くことができず、今も彼の地で戦火の中暮らしている親戚に気まずい思いを持っていたりする。その、本来であればパレスチナでごく普通に生まれ育った家でごく普通に親戚づきあいをしながら暮らしていたであろう人々の距離感が切ない。
また、同胞ではない異人種と結婚しようとして家族の猛反対に遭う、といった描写も繰り返し登場する。最初はよくある古臭い価値観と思っただけだったが、故郷を失い離散している彼らにとって、それは文化的継承の死活問題に直結することに気づいたときは、頭を殴られたような感じがした。
どうしたらパレスチナでの非人道的行為を止められるのだろう。せめてもの、という気持ちで、UNRWAに寄付をした。
Posted by ブクログ
どこか遠い国の人々だったのが、少し身近に感じられた。でも、どうしても今の日本からは現実味が薄くて、読みながらも、過去にあったことだと感じてしまう。途中で、いや、今現実に起こっていることなんだと再確認しながら読んだ。
これまで、「王について書いてはいけない」のムラードよりの考えであったが、全世界でネットが普及している現代、念には念を入れるべきなんだとわかった。そういうことをしなければならない人達がいる。