あらすじ
「サムスンの社風と仕事の進め方」「サムスンで経験したドラスティックな改革」「サムスン急成長の理由と今後の展望」「サムスンを生んだ韓国文化とは」など、日本人の目から見た、サムスン式(韓国エリート式)の仕事術を徹底解説!
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Posted by ブクログ
極めて早い決断力、圧倒的な語学力、実績が出せなければ即降格。
外資系ファンドの世界だと見間違うかのようなサムスンの社風。これが世界を席巻できた理由だろう。
10年以上の長きにわたりサムスンで働いてきた水田氏によるこの本は、他のサムスン解説本と一線を隔した貴重な内部資料とも言える。
日本の技術力はサムスンよりも高い。だが日本勢はなぜ敗れ去ったのか。
その理由を著者はこう解説している。
無謀とも言える高い目標、勝利を手にせんとする強烈な執念、徹底的な現地化モデル、異常に早い実現化させるスピード、即決断、高い英語力、そして非情なまでの実績に基づいた人事の降格制度。
そのどれ一つとっても日本の企業に無い物ばかりだ。
激烈で苛烈なサムスンの世界と日本企業を比べると、凶暴な肉食獣と草を食む温和な草食動物ほどの違いがある。
しかしそのサムスンにも弱点はあるようだ。
技術者や物作りを軽視し蔑視する風潮。日本やアメリカ製品の物真似に終始し、独創性やオリジナリティー欠ける思考。
トップダウンで物事が進むが、ボトムアップで意見がほとんど通ることはない。
これは上層部が一歩判断を誤れば、壊滅的な被害を及ぼす組織図であるとも言える。
モデルとなった企業が存在しなくなった今、サムスンははたしてどこに向かうのか。
これからがサムスンの本当の真価が試される時と言えよう。
そして日本企業もサムスンのようなスピード経営を実現できれば、世界で充分勝負できると確信した。
ライバルの手の内を知ることができる貴重な一冊である。
Posted by ブクログ
日立で12年、サムスンで13年働いた著者。現場目線でサムスンエリートの実相を綴る。非現実的なほどタイトで高い目標設定、一番大事なクライアントは上司、イエスマンは当たり前、徹底した激越な競争など。日本人とは全く異なる感覚と価値観に驚かされる。終章ではサムスンの韓国エリートを生んだ韓国文化についても触れられている。ここでも日本ではありえない生活習慣が紹介されている。お互いの違いを十分に理解し健全な日韓関係を築くことが肝要。