あらすじ
私たちは「雪」と「氷」を区別する。それはもちろん、両者が別のものだからだ――しかしもしかしたら、自分が雪と氷を区別する言語を話しているから「別のもの」に思えるのではないだろうか? 言語学者たちはこのような問いに答えるべく、世界中の言語を調べはじめた。するとさまざまな言語に、人々が住む環境の影響を受けて言葉が形作られてきた痕跡が見つかるという。たとえば高低差2000メートルもの斜面で暮らすある人々は、「左右」にあたる言葉を持たず、ものの位置を常に「上り側」「下り側」で示す。赤道付近に暮らすある人々は、時刻を語る際に空の特定の方角を指差す。ある狩猟民族は、存在しないとされてきた「匂いの抽象語」を持っている。そして温暖な地域の一部の言語は、「雪」と「氷」を区別しない。「言語は、人間の経験の他の側面と切り離してしまっては理解できない」のだ。かつては、あらゆる言語に共通する普遍的な特徴がいくつもあると考えられていた。しかし、西欧言語とは類縁関係にない言語のフィールド調査が進んだ結果、その仮定は覆されつつある。著者は、むしろ今問うべきは「なぜ言語はここまで多様なのか」だと語る。少数話者言語の消滅が進行する中で届けられた、言語と認知の可能性についての書。
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Posted by ブクログ
すごく長い旅をして帰ってきたような気分になる本だった。言語は深い海のようだと思う。深く見えないものをいろいろな方法を使いながら、どうにか見てみようとしているそう感じさせる本だった。
言語が分かれていることに対して、今まで私はマイナスの感情しか持っていなかった。人類もそうだと思う。だから、バベルの塔のような話が生まれ、言語が違うから争いが起きるとまで言われてきたのだと思う。ただこの言語学の本を読んでいると、違うからこそ比較ができ、比較の中から、自分たちの言語だけではわからなかった根本的な何かを見つけ出すことができる。そう感じた。
言語が思想の形を作ると言う、確信に近い感覚を、まだ誰も立証はできていない。いろんな学者たちがそれを証明しようと試みているが。彼らがいろいろな方法でその真理に近づこうとしているのを、とても興味深く、まとめてくれている本だった。
もしかしたら数学に近いのかもしれない。なんだかそんなことも思った。
とにかく、見たこともない旅に出たい人は、ぜひ読んでみて欲しい。
Posted by ブクログ
ピダハンを書いたダニエルエヴェレットの、人類学者・言語学者である息子が書いた本という読む前から情報量が多い本。
無論中身も面白い。言語学トピックで、非WEIRDの研究へのまなざしから世界の見え方が変わっていくのを体験できた。