あらすじ
「あなたが名前を挙げる人物を、ここから思念で殺してみせる」。怪しげな降霊会で、霊媒師が予告した殺人。宣言通り、その人物が、遠く離れた密室で首を吊って見つかった。美しき探偵・妹尾は、会の証言を基に謎を追うが、奇しくも第二の予告と殺人が達成され――。果たして霊媒師の力は本物か? 奇怪な不可能犯罪に挑む、前代未聞の本格ミステリ。
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Posted by ブクログ
コレクターとしても知られる元TVプロデューサーの清水大五郎の豪邸で開かれた降霊会。そこに霊媒師として呼ばれたのは、テレビの心霊番組などで話題になっている波紋京介で、家主の清水などは幽霊に否定的に懐疑的な考えを持っていて、彼のインチキを暴こうとするが、彼が語り出したのは、遠くにいる他者を思念で殺せる、というものだった。そしてその宣言通り、その降霊会で名の挙がった人物が死体として発見される――。
異様な現場と異様な死体、解決の糸口すら掴める様子もなく、物語は後半まで進んでいって、本当に超常現象抜きで決着が付くのかな、と解決篇を読むと、確かに大風呂敷は畳まれていました。ただすっきりと綺麗な結末かというと必ずしも、そういうわけではなく、不思議な味わいの残る結末で、作中に〈枯れ尾花が亡霊に感じる〉という表現がありますが、亡霊よりも異様な枯れ尾花が顔を覗かせるような印象でした。