あらすじ
落語家にとって「芸」とは何か。人生の歩みがどのように芸に生かされ、芸が磨き上げられてきたのか。落語家一人一人が人生をかける芸の魅力はどこにあるのか。
35年間、落語を聴き続ける社会学者が、落語家の「人生と芸」を軽妙な筆致で描く。
落語の基本的な知識を押さえたうえで、本人や関係者が語る言葉、評論家の文章、通った高座の記憶から、落語家の古今亭志ん朝、立川志の輔、柳家喬太郎、春風亭一之輔、俳優の小沢昭一、講談師の神田伯山のライフヒストリーを丁寧に浮き彫りにする。
古典から新作まで、様々な落語や芸を練り上げる6人に通底する「承知のうえでの野暮」=観客を選ばない芸という側面に光を当て、笑いという希望を多くの人に与える落語家の「人生と芸」の奥深さを描き出す。
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Posted by ブクログ
落語は好きですが今回初めて落語に関係する本を読んだ。
第一章は落語の歴史について書かれていて、第二章から古今亭志ん朝、立川志の輔、柳家喬太郎、春風亭一之輔の落語家さんの落語を始めたきっかけや、それぞれ落語家さんのエピソードが書かれていて興味深く読んだ。
今までは単純に「面白いな」と思って聴いていた落語が、この本を読んで落語の奥深さを感じることができた。
『落語の噺の多くは、長屋が連なる狭い町内が舞台である。ネットを介して、世界中と「つながれる」私たちの関係性の広がりとは比べものにならないくらい、ミニマムなコミュニティーの物語だ。しかしながら、落語の国の人々がみせる、ときに暑苦しいほどの直接的な関わり合いは、自我や功利性や巨大さと引き換えに現代人が見失ってきたものに気づかせてくれる。人間のどうしようもなさに起点をおく落語は、時代が変わっても変わらない人間の性を見つめ、なぐさめ、笑う。人間のおろかしさを面白おかしく語る芸は、時代の刻印を残しながらも脈々と受け継がれてきた。
落語はの共生(きょうせい)芸能であるとともに、共生(ともいき)の芸能なのである。』
立川談志さんの言葉にある「落語は人間の業の肯定」の意味がわかった気がする。
落語の演目をとうして登場人物のありようをわかりやすく書かれているので、落語をあまり知らない人にも読みやすいと思う。