あらすじ
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ひと昔前までは、定年まで同じ会社に勤め上げ、退職後は年金を受け取りながらゆっくりと余生を過ごすことが「当たり前」とされてきました。
しかし今、「人生100年時代」の到来が目前に迫っています。平均寿命が延びるにつれ、定年退職後の人生も長くなってきています。果たして、年金を頼りに、ときどき趣味に興じるだけで、充実した人生を送れるのでしょうか。
さらに、社会保障制度の先細りにより、今後は定年後も働き続けなければならない可能性が高まっています。何の準備もないまま定年を迎えたとき、果たして新たな働き口を見つけられるでしょうか。
こうした将来への不安を抱える人が増えていることから、近年では中高年向けの生き方を指南する書籍やセミナーへの関心が高まっています。
本企画はそのような中高年の不安に対し、「マネジメントの父」として知られるピーター・ドラッカーの知見を借りて応えるものです。
ドラッカーの教えは「経営者のための理論」と思われがちですが、その思想の根幹にはセルフマネジメントがあり、「社会と人を幸福にする」ことを原点としています。
ドラッカーの有名な13の問いに答えることで、読者は自らと深く向き合い、これまでの人生で培ってきた自分の強みを再発見し、後半の人生で「なりたい自分」を描き、実際に行動に移すための準備ができるようになります。
著者個人の体験談に依拠するのではなく、世界的に認められた経営学者によるセルフマネジメント論を軸としているため、説得力に富み、将来に不安を抱える中高年にとって人生を前向きに見つめ直すきっかけとなるはずです。
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Posted by ブクログ
長寿命化社会において人が主人公になり、いつまでも若々しく働いて生きていくための必須の要件は「自らをマネジメントする」ことです。
人生は「学ぶ→働く→引退する」の3つのステージから、「学ぶ→働く↓自己実現する→引退する」の4つのステージの時代になった。人生の後半戦は「自己実現する」期間だ。
ドラッカーは「経営者の条件』の中で、人が成果を上げるために必要なのは生まれつきの才能よりも、習慣を身につけることだと教えています。そしてその習慣は次の5つだと示しています。
1時間を管理すること
2貢献に焦点を合わせること
3強みを活かすこと
4集中すること
5 正しい意思決定をすること
つまるところ、すべての仕事は周囲の人々が成果を上げて幸福を得るためにしている「貢献」にほかなりません。
後半人生では再就職するにしろ起業するにしろ、「貢献」に焦点を当てて過ごしてみてはいかがでしょうか。
「いつか」とは「今すぐ」か「二度とない」かのどちらかなのです。
ふさわしい場所でのふさわしい仕事にたどりつくために今すぐ動き出さなければ、「二度とない」領域にとどまってしまうかもしれません。
Posted by ブクログ
本書は、人生後半を迎える個人が、自らの人生と仕事をどのように再設計すべきかを、ドラッカーの思想を軸に問い直す本である。「ドラッカーは宗教書・啓蒙書」と私の先生は言っていたが、その特徴を活かして著者が思いのたけを自由に述べたものだろう。本書は社会構造の変化と個人の内面変化の双方を見据えながら、50代という年代特有の課題に焦点を当てている。現実にはキャリアの終盤に差し掛かる世代ほど、先行きの不透明さや役割の揺らぎに直面しやすい。そうした不安を感情論で処理するのではなく、「問い」という枠組みを通じて整理しようとする姿勢を貫いている。
本書の前提には、50代以降の働き方や生き方が、これまでの延長線上では成立しにくくなっているという現実認識がある。著者は、過去に蓄積してきた知識や経験だけでは、仕事の生産性を維持することが難しくなり、結果として「学び直し」と「スキルの再取得」が不可欠になると指摘する(39頁)。この指摘は、単なるリスキリングの推奨にとどまらない。ここで問題にされているのは、知識やスキルの陳腐化そのものよりも、「過去の成功体験に依存したまま思考停止に陥ること」の危うさである。50代は、これまでのキャリアによって一定の評価や地位を得ている場合が多いが、それがかえって新しい学びへの抵抗となり、自らの可能性を狭めてしまうという逆説が浮かび上がる。
こうした状況を生み出した背景として、本書は「会社」という存在の変質にも目を向ける。かつての日本企業は、終身雇用を前提に、働く人に対して仕事の内容だけでなく、働く場所、ツール、給与体系、健康保険、教育研修、福利厚生に至るまで、あらゆる要素を包括的に提供してきた。その結果、働く人はそれらを当然のものとして受け入れ、次第に「自ら考えることをしなくなりました」と著者はいう(63頁)。この指摘は、個人の怠慢を責めるものではない。むしろ、組織が過剰に手厚くなることで、個人の意思決定能力や主体性が削がれてきたという構造的問題を示している。50代で直面する戸惑いや空白感は、この長年の「委ねる働き方」の帰結と解される。
このような問題意識のもとで、本書はドラッカーの「セルフマネジメント」という概念を中心に据える。ドラッカーは、自らをマネジメントするとは何かについて、「自分が最も貢献できる場所に身を置き、常に成長すること」だと説明している(65頁)。ここで重要なのは、セルフマネジメントが単なる自己管理や時間管理の技術ではなく、「貢献」と「成長」という二つの軸から定義されている点である。自分にとって居心地のよい場所や、過去に成果を上げた場所にとどまり続けることは、必ずしもセルフマネジメントにはならない。むしろ、自分が最も価値を発揮できる場所を主体的に選び、その過程で自らを更新し続ける姿勢こそが問われている。
本書は、こうした抽象的な概念を具体化するために、ドラッカーが提示した「問い」を読者に投げかける形式を取っている。その中でも特に重要なのが、「自分の強みは何か」「自分は何によって覚えられたいか」といった問いである。これらの問いは、即答できる種類のものではなく、長期的な内省を必要とする。著者は、自身の経験を通じて、強く興味を持ち、学び続けてきたことが、結果的に企業の柱となり、長い助走期間を経て後の人生でプラスに働いたと述べている(139頁)。このエピソードは、短期的な成果や評価に左右されず、関心と学習を継続することの意味を示している。50代以降のキャリアを考える際、即効性のあるスキル獲得ばかりに目を向けがちだが、本書はむしろ「時間をかけて育ってきたもの」に光を当てる。
ドラッカーの問いの特徴は、人を即座に変えるというよりも、「自分自身を若干違う人間として、しかしなりうる人間として見るよう仕向けてくれる」点にあるとされる(『非営利組織の経営』148頁)。この表現は、本書全体のトーンを象徴している。問いは、現状を否定したり、理想像を押し付けたりするものではない。今の自分と、なりうる自分との間にある「わずかな差異」に気づかせ、その差異を埋めるための思考を促す装置として機能する。本書が繰り返し強調するのは、劇的な変化ではなく、認識の微調整である。
その延長線上で、本書は「言語化」の重要性にも言及している。言葉の力は想像以上にパワフルであり、未来から考えてなりたい姿を言語化すると、その瞬間からすべての行動がその方向へ向かっていくことがあると著者は述べる(150頁)。ここで言われている言語化は、単なる目標設定とは異なる。数値目標や役職名ではなく、「どのような存在として振る舞いたいのか」「どのような価値を提供したいのか」といった、より人格的な次元の言葉が想定されている。50代という年齢は、役職や肩書が変化しやすい時期でもあるが、その変化に振り回されないためには、言葉によって自分の軸を明確にする必要がある。
また、本書は個人と組織の関係についても、現実的な視点を提示している。人生後半においては、これまで所属してきた組織との距離感が変わることが多い。著者は、自分とは違う組織の価値観を認めたうえで、無理な同調はしないという姿勢を、今から取り始めることを勧めている(171頁)。これは、組織への反抗や離脱を促すものではない。むしろ、組織と自分を過度に同一化しないことで、精神的な自立を保つための助言として理解できる。50代以降、組織の方針変更やポジションの変化によってアイデンティティが揺らぐ人は少なくないが、その揺らぎに対処するためには、価値観の違いを前提として受け入れる態度が求められる。
本書全体を通じて印象的なのは、「管理」という言葉の再定義である。人生をマネジメントするという表現は、一見すると効率や成果を重視する冷たい印象を与えがちだが、本書におけるマネジメントは、自己理解と選択の積み重ねを意味している。学び直し、強みの再認識、価値観の言語化、組織との距離感の調整といった要素は、いずれも短期間で完結するものではない。むしろ、問い続けること自体がプロセスであり、そのプロセスを引き受ける覚悟が50代以降の人生には求められている。
一方で、本書のアプローチは、読者に一定の内省力と主体性を前提としている点も否定できない。ドラッカーの問いは強力であるがゆえに、表面的に読み流すだけでは効果を発揮しない。問いに向き合うことは、ときに不安や違和感を増幅させる可能性もある。その意味で、本書は明確な答えや安心感を提供するものではなく、むしろ不確実性の中で思考し続けるための枠組みを示しているといえる。
本書は、50代という人生の節目において、これまでの延長線上ではなく、問いを通じて自分自身を再配置する視点を提示している。学び直しの必要性、組織に依存しすぎない姿勢、言語化による未来設計といった要素は、互いに独立しているようでいて、すべてがセルフマネジメントという一本の軸でつながっている。本書は、その軸を明確にし、読者自身が自分の人生をどうマネジメントするのかを考えるための材料を提供している。
273頁
強みを見つけ、強みを活かす
得意なワークスタイル、勝ちパターンを見つける
なりたい自分をイメージする
自分が価値を置くことを明確にする
時間を大切に考え使い方を変える
貢献できることにフォーカスする
温室から外に出て、自分に投資し学び続ける
284頁
ウィリアム・ジェームズ
心が変われば 態度が変わる
態度が変われば 行動が変わる
行動が変われば 習慣が変わる
習慣が変われば 人格が変わる
人格が変われば 運命が変わる
運命が変われば 人生 が変わる