【感想・ネタバレ】すき間の子ども、すき間の支援――一人ひとりの「語り」と経験の可視化のレビュー

あらすじ

子どもや親が抱える困難はそれぞれに異なり、個別のストーリーによって初めて感じ取ることができるリアリティがある。
統計からは見えにくい困難と支援のダイナミズムを子どもや親、支援者の「語り」を軸にして、リアルなものの一端を可視化する挑戦的な試み。

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Posted by ブクログ

福祉に携わると、制度の隙間にはまってしまうケースによく遭遇する。本書でも冒頭で言われているが、典型例に当てはまらないため、類型化してパターンで振り分けることができないのだ。というか、そもそも福祉は人のためにあるものなので、人の持って生まれた性格から家庭環境や経験、その時の社会のあり方や変化など、ありとあらゆる背景が存在する「人」を、典型例に落とし込むことなどどだい不可能なのだ。そこに制度というものの大いなる課題が存在する。その課題をカバーするために支援者がいるのだが、その支援者たち、もしくは当事者たち7人が、隙間に落ちてしまう子どもや支援について語ったのが本書である。
だからいちいち腑に落ちるし、自身の経験を振り返って、ああそうそう、そうなんだよねーなんて思い返したり反省したり懐かしんだりしながら読んだ。

第7章の執筆者が編者としてまえがきも書いている。元々は精神分析の専門家。そこへ現象学的な視点でケースを捉え、アセスメントしてケースにあたっていてなかなかに面白いが、一番印象強く残ったのは、第2章。執筆者が、発達障害の子どもを育てるある母親の行動を理解するのに、サルトルを引用して人の行動を説明するくだり。障害があろうと無かろうと、人間の本質は同じと捉えられるその考察がとても腑に落ちて、本書の一番の読みどころだった。

本書は、福祉の現場を知っている人ならどの章も身に覚えがある話ばかりで、膝を打ち納得しつつ読めるのでは。

それから蛇足。
本書の中で言及された本を、読んでみたいなーと思って検索したところ、10年くらい前に既に読んでいた…。
私あるある。
いつまで経っても、本の中身どころか読んだことすら忘れてしまう悪癖が治らない。というか、どう考えても、年を追うごとにそれが酷くなっていくに決まっている…。

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2026年03月03日

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