あらすじ
時は明治。日本のはるか北西にあるオリエニア小国の奇術である“虹術”が、異国の女奇術師・喜祭折栄(きさいおりえ)の人気とともに日本で一世を風靡するも、彼女の謎の失踪とともにその人気も下火になったころ。
山棚恵(やまだなめぐみ)はある特異な体質のせいで、故郷で肩身の狭い思いをしていた。そんな彼女のもとにある日一通の手紙が届く。内容は、なんとオリエニア人の知人・エーミルからの求婚の手紙であった。恵はエーミルに会うため彼の住む帝都の邸宅に向かうが、しかしそこにエーミルの姿はなく、代わりに「おりえに屋」というなんでも屋を営む青年・冬鳥礼央(ふゆどりれお)と出会う。美しい容姿を持つ礼央は、“虹術”を使いながら「おりえに屋」に持ち込まれる人々の悩みを解決していた。恵も「おりえに屋」を手伝ううちに、いつしか二人の間には絆が生まれていき……。
派手ではないけれどささやかな虹術が、街の人々の、そして恵や礼央自身の心も癒やしていく。不思議な明治ファンタジー!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
身の回りに不可思議な現象が起こることに悩まされる女性と、その現象をうまくコントロールして生業としている青年が人々にささやかな手助けを行う物語です。
とても綺麗な世界観の描写、華やかなサーカスや手品の世界とその暗部など様々なものが出てきますが、それらの対比が素晴らしい。奇術を基にした不思議な空気が上手に描写されています。
今作は奇術がどんなものなのかを描写することに文章が多く割かれていますが、もしも続編がつくられるならおりえに屋がどんな活躍をするかをもっと多く描いてほしいなと思います。
久しぶりに小説の世界に没頭できる作品に出会いました。
とても満足です。
Posted by ブクログ
虹粒やオリエニア人など、独自のファンタジー設定が加えられている明治時代。
登場人物たちは素直で好感が持てる。文章が上手く、ファンタジーだけれど情景が目に浮かびやすかった。
特に喜祭折栄のキャラクターが本編をぐっと締めていてよかった。
枯れた薔薇がふたたびみずみずしく蘇るシーン等、目の前で再生してゆく映像を見ているかのような没入感があった。
ヒロインの恵も愛らしかった。
Posted by ブクログ
礼央が意外に腹黒キャラで、表紙絵からは想像できず、びっくりした。
生い立ちが生い立ちなので致し方なく、悪人と言えるほど振り切っている訳でもないので、びっくりしたのは最初だけだが。
結局、お人好しの部分もあるので。
ただ手放しでは好きになれないヒーローかなと個人的には感じた。
主役二人より、エーミル&オルガの姉弟の方が好きだったので、終盤で揃い踏みになったのにはテンション上がった。
ごめんよ、恵……
オルガさんが好きすぎてな、すまん。
恵の特異体質の理由に完全な答えが出なかったのが、ちょっとモヤっと感じたからだろうか。
一応「それだと思う」みたいなのは出るのだけれども、色々実生活にも影響出るくらいなのに、理由も解決方法も分からないままだったので。
礼央に利用される始末だしね……うーん。