【感想・ネタバレ】素敵な圧迫のレビュー

あらすじ

「ぴったりくる隙間」を好む性癖を持った女性が陥る、数奇な運命とは(「素敵な圧迫」)。不良息子から金の無心を受けた親父は、論破系ユーチューバーに教えを請い、舌戦に臨む……(「論リー・チャップリン」)。交番巡査のモルオは、落書き事件の対応に迫られていた。いったい、誰が何の目的で街中に「V」の文字を記したのか(「Vに捧げる行進」)。読者を翻弄する多様な企みに彩られた、『爆弾』著者による挑戦的なミステリ短編集!

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Posted by ブクログ

他の評価が終わってるので、読書意欲を削がれた人が多いのではないか、勿体ない。
テーマが決まってないのが評価が悪いのか。怪奇幻想、SF、ミステリ、文学。他にも要素が詰まっており、粒揃いな作品群だと感じる。
呉勝浩先生の描く、社会への行き詰まった不安描写はあまりにも丁寧で、それがこの短編でも顕著になっている箇所が幾つか……。
唯一書き下ろし作品であった、〜の処刑について』は、本作の中で特にこってりしたミステリであった。ボクシングについて語りながら謎が見えてくるのは、さながら連城三紀彦のようで美しい短編だった。

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2026年09月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

・あらすじ
ミステリー、幻想小説、SFと多岐にわたる短編小説集。

・感想
呉先生らしい風刺作品集だなと思った。

「素敵な圧迫」
この性癖は江戸川乱歩感あるな、と思いながら読んでたけどそれもそのはずで江戸川乱歩特集の雑誌に書いた作品だったんだ!
精神的圧迫の結論として最後のタクシー運転手の会話を持ってきたのは感嘆した。
「まずい法律ができました」「どうまずいんです?」「そこはよくわからない。でもどうにかしないと」「どうにかって?」「それはよくわからない」という流れから「生きていれば圧迫は勝手にやってくる」という流れに社会的なメッセージを感じる。好き。

「ミリオンダラー・レイン」
3億円事件を題材に貧困低学歴の主人公と格差、資本主義と搾取、革命ごっこに興じる左翼運動家などなど。
呉先生のこういう社会との距離感が好き。

「論リー・チャップリン」
屁理屈こねて議論のゴールをずらして、マウント取ってはい論破!する人たちを題材にした作品。
相手を論破する理由を疑問に思い、論破したその先に何があるのか知りたいと思ってるので楽しく読めた。
確かに言い負かすのは気持ちいいだろうね。
でも最後はちょっとほっこりする終わりでよかった。
そういえばこの主人公の名前はアトミックブレイバーの主人公と同名なんだけどたまたま??何か意味があるのだろうか。

「パノラマ・マシン」
結局妄想じゃ満足できなくなるよね。
だって現実は何にも変わってないんだし…そりゃいくら並行世界で欲望が叶っても虚しくなるだけだろうなと思う。
憎い相手は現実で殺してなんぼ!(そういう作品ではない)

「ダニエル・ハングマン・ジャービスの処刑について」
ボクシングには全然興味ないけど、ただ殴り合ってるだけじゃない、といううことを知れた。
色んな駆け引きがあるのね…。
人が殴り合ってるの見て楽しめる感性は持ってないけども、スポーツとして楽しんでる人がいることも理解できた気がする。
ミステリーとして割と好きなオチだった。

「Vの行進」
コロナ禍にあった自粛ムードへのアンチテーゼ作品。
後半は抽象的すぎてちょっとよくわからなかった…。
でも私も意味の分からないマスク会食とかお気持ちでの自粛反対派だったなー。
人がいない場所での意味のないマスク、意味のない手洗いしてるやつとかマジで嫌いだった…。
それはもはや形だけの儀式じゃん、むしろ逆に汚いって思うこと多かった。
清潔不潔の基準がおかしい人が沢山いるね。

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2026年09月08日

Posted by ブクログ

呉さんの作品のイメージが長編小説だったので短編はどうなんだろうと思っていたが、短編それぞれで読み心地が異なっていたり、少し不思議な世界に連れて行ってくれたりとても魅力的な作品が多かったように思えました。
どこか武骨なストーリテラーというような印象を受けました。

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2026年09月15日

Posted by ブクログ

呉勝浩『素敵な圧迫』角川文庫。

6編を収録した短編集。ミステリーがあれば、SFもあり、アホらしい短編もあれば、ボクシング小説もあったりと盛り沢山。

呉勝浩の文庫化された作品は、まあまあ読んでいる。『スワン』こそ面白かったが、評判の高かった『爆弾』は面白くなかったし、他の作品もイマイチだった。では、短編ならばどうかと思い、読んでみることにした。

尻すぼみにつまらなくなる感じの短編集である。編集者はしっかりと原稿を吟味したのだろうかと疑いたくなる位の出来である。もっとも、この著者と自分の波長が合わないので、面白くないのかも知れない。


『素敵な圧迫』。不穏な雰囲気とイマドキの若者の感覚が同居した感じで、純粋なミステリーではなく、イヤミスと言った方が良いのかも知れない。隙間に身体を埋めて、圧迫を好むという性癖を持った蝶野広美は仕事の関係で風間遼という男性と知り合う。広美は遼を一目見るなり、抱きしめられたら、心地よい圧迫を得られると直感し、逢瀬を重ねる。しかし、遼には花岡紗彩という大学生で良家のフィアンセが居た。★★★★

『ミリオンダラー・レイン』。あの有名な三億円事件のアナザー・ストーリーみたいな感じの短編。見事に騙されたのだが、謎は残る。1968年12月10日午前9時20分、土砂降りの雨の中、現金輸送車が後から迫って来た白バイに停止を命ぜられ、三億円が奪われる。所謂、三億円事件である。自動車整備工の笠井芳雄は友人の藤本優作の紹介で、学生運動を行っているサカキという大学生と知り合う。サカキはブルジョワから大金をせしめる計画があると2人に協力を持ち掛ける。★★★★★

『論リー・チャップリン』。タイトルからしても内容からしても全くアホらしい話。いきなり中学生の息子の勝から十万円もの金の無心を受けて困り果てた堤下与太郎は、同僚からの良いアドバイスも貰えず、論破系ユーチューバーに教えを請い、息子との舌戦に臨む。★★★

『パノラマ・マシン』。SFのような短篇。F君、D君、U子と登場人物の名前はアルファベットで、星新一の短編のような香りがするが、そこまでのレベルではない。F君が神田で拾った真っ黒な平たいケースはD君が試したところ、パラレルワールドと行き来出来る装置であるようだった。★★

『ダニエル・《ハングマン》・ジャービスの処刑について』。書き下ろしのボクシング小説。アメリカの小説を気取ったような短編なのだが、全く面白くも何ともない。ボクサーのダニエル・《ハングマン》・ジャービスには弟がおり、弟の方がボクシングの才能に恵まれていた。★★

『Vに捧げる行進』。一応、警察小説らしい。これもまたつまらなかった。交番巡査のモルオは、街中にVの文字を落書きする事件の対応に迫られていた。★★

本体価格940円
★★★

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2026年09月03日

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