【感想・ネタバレ】ゲーム作家 小島秀夫論――エスピオナージ・オペラのレビュー

あらすじ

ゲームを超えた総合芸術
もはや、その作品は、詩であり、文学であり、映画であり、何よりも芸術そのものである。――ゲームクリエイターを超えた存在=小島秀夫に迫る。

全世界で六〇〇〇万本以上の売り上げを誇る『メタルギア』シリーズや、『DEATH TRANDING』などを生み出し、ゲーム作家として史上二人目に芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。

「本書は、ゲームについての研究・評論である。ゲームデザイン、システム、主題、物語などのゲーム作品についての分析と、小島秀夫という人間そのものの作家論を往還するのが、本書の方法論である。ゲーム制作は集団創作なので作家論的アプローチがどこまで可能なのか、どこまでを特定の作家に帰属させられるのかについては議論の余地があり、確立された方法論があるとは言えないが、本書は現時点でアクセス可能な資料を元に最大限の努力を試みた。」 ――本書より

●「エスピオナージ・オペラ」とは
筆者の造語で、『007』のようなスパイ・諜報(エスピオナージ)もののエンターテインメントの形式を利用し、その背景にある冷戦や核戦争など国際政治の問題を描きつつ、それを個人の愛憎の問題と密接に結びつけるドラマの構成のことを意味する。

【目次】
はじめに
ACT1 ATTACHMENT
Ⅰ 『メタルギア』――ステルスゲームの誕生
Ⅱ 『スナッチャー』――冷戦時代の恐怖の寓話
Ⅲ 『メタルギア2 ソリッドスネーク』――「不器用なデク」の生きる場所
Ⅳ 『ポリスノーツ』――疑似恋愛から、精神的な愛へ
ACT2 MODERNITY
Ⅰ 『メタルギアソリッド』――生まれの「運命」からの解放
Ⅱ 『メタルギアソリッド2 サンズ・オブ・リバティ』――現実の底が抜けた世界で
ACT3 GENERATIVITY
Ⅰ 『メタルギアソリッド3 スネークイーター』――母性と信頼
Ⅱ 『メタルギアソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット』――「体制と叛逆」という二項対立の解体
ACT4 PEACE
Ⅰ 『メタルギアソリッド ピースウォーカー』――ゲームによる平和教育
Ⅱ 『メタルギアソリッドV グラウンド・ゼロズ』――9・11以後のゲーム
Ⅲ 『メタルギアソリッドV ファントムペイン』――ゲームにおける、陰謀論と情報操作との戦い
ACT5 EXTINCTION
Ⅰ 『DEATH STRANDING』――人類を絶滅から救うために
あとがき
引用文献・参考文献/註

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Posted by ブクログ

作品を細かく解説しており、読んでいると、小島監督作品を遊びたくなります。
親◯しのテーマ、声帯虫は言葉で人を◯すの暗喩、など、読んでいてハッとするような評論が多く、作品をより深く知れて、面白かったです。
いろんな作品で小島監督の血肉が入っていて、すごい作家性のあるゲーム作品なのだと痛感しました。
強いメッセージ性が各作品内にあり、良質なエンターテインメントなので、これからも小島さんの作品を楽しもうと思いました。

0
2025年10月30日

Posted by ブクログ

本人も書いているが、音楽・音響に対する
論評があるとより完璧だが、それでもこの本は
小島秀夫論としてはとても良く、完璧。

いかにその時代に対して向き合ってきたか。
小島秀夫監督の作るゲームは素晴らしい。

0
2025年08月08日

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