あらすじ
私の職業は小説家である。怪談系の雑誌に文章を書く仕事をしている。ベストセラーとは無縁だが、一応、生活はできている。そして出版業界に長年関わっていると、様々な小説家に出会う。彼らは、奇人変人であることが多い。たとえば――。作家のO氏は日常と作品世界の境界を曖昧にすることで執筆モードに頭を切り替える。死体発見の場面では、部屋に血糊を撒いたり……(「墓場の小説家」)。Yさんは筆が異様に早い若い男性作家だ。わたしとの対談の約束をすっぽかし逃げた――(「小説家、逃げた」)。Kという作家の本は、動物霊の霊障の原因となっているという。私はK先生について調べることにした――(「キ」)。X先生はベストセラー作家だ。新作小説は映画化されるという。ところが、私はその小説の設定や展開、結末を知っていた――。X先生には創作に関するある秘密があったのだ――(「小説の怪人」)。R先生は脳内にアクターがいて物語を自由に演じさせているという。ある時地味なキャラクターを消してしまうと――(「脳内アクター」)。D先生は大学生デビューの作家だ。Uは最初は熱心な編集者と思っていたのだが――「担当編集ガチャ」がD先生に迫っていた――(「ある編集者の偏執的な恋」)。文豪J先生は交通事故で執筆が絶望的と言われていた。ところがベトナム出身のN君は手を触れるとJ先生の言葉を受け取ることができ――(「精神感応小説家」)。
7人の奇妙な作家たちを山白朝子は観察し、告発する、世にも不思議な小説家の世界。
――読み終えたら世界が歪み始める、文庫版『小説の怪人』あとがき、書下ろし。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
怪談作家である「私」の一人称で書かれているので、途中まで作者さまのエッセイなのかと誤認するほど。
こんな色々と物騒でぶっ飛んだ話が実話だったら大問題なのだが、作者名が伏せ字だったり、とにかく描写や設定が細かかったので、誤認がなかなか解けずに随分苦労した。
この不思議な世界観にどうやら取り込まれていたようだ。
途中からぶっ飛び具合が更にぶっ飛んだので、読んでいたこちらは正気に戻れたのだが、それにしてもまあよくもこれだけ複雑怪奇な作家像を次から次へと生み出せたものだ。
登場人物は作者から切り離された一部、みたいな説明が創作論として作中にあったのだが、そうなると、これに登場する作家たちも、この作者さまの一部である訳で、彼らのバリエーションに飛んだ小説の書き方も、作者さまの一部で……やめようやめよう、これ以上深く考えてはこちらが狂う。
一番怖いのは、この話に出てきた作家さんではなく、これだけの多様性を一冊に詰め込んだ作者さまその人な気がする。
そんな作品の最後が、感動系の話だったのは救いだった。
あれだけ怖がらせておいてからのホッコリ系ラスト。
ありがたい。
但し文庫版後書きで諸々台無しではあるが。
カムバックしちゃったので、あの奇妙な世界観が。
ただ本当に不思議ですね。
自然発生していても仕方ないですよね、誤字は。