あらすじ
失業中の相原薫が旅先の温泉街で遭遇した無理心中事件。被害女性の左胸に刻まれていたのは、紫色のリラの刺青だった。しかし、薫は三十年前の火事で亡くなったはずの養祖母・珠々の胸にも同じ花の刺青があると知る。
祖母は一体何者なのか。薫が珠々の残した手記を紐解いていくと、時を超えて事件の真実が浮かび上がる。苛烈な運命を強く鮮やかに生きた魂の記録を描く、傑作長編ミステリ!
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Posted by ブクログ
戦後から現代まで、苛烈な運命を背負った女性の生き様を描いたノワール小説?現代で起こった無理心中事件の真相がその女性の手記に隠されているといった内容の小説。
育ての親である遊女が病死し、小学生にしてヤクザに引き取られるという壮絶な環境で育った珠々の叙事詩だけでも、読み応えは十分。352ページと決して分量が多いわけではないが、時代を跨ぐためなのか、あまりに色々な出来事が降りかかるからなのか、読み疲れる。現代で起こった無理心中事件は、手記の最後の最後までその輪郭が見えてこない。そこに至るまでの枝葉を味わうだけでお腹がいっぱいだ。この時代に生まれたならばこんな人生もあったのかもしれかい。著者渾身の力作。
Posted by ブクログ
あらすじから、一族に関する壮大なミステリだと受け取っていた。実際には、珠々という女性を中心とした半生が作中作品として描かれており、ミステリ要素は二の次だった。
珠々の半生は壮絶だ。遊郭や極道が全盛だった時代に始まり、彼女自身、堅気とは言いがたい複雑な血縁の中で幼少期を過ごす。その後も、数々の修羅場を切り抜ける、波瀾万丈な人生が描かれていく。
入れ子細工のような構成には魅力を感じたし、著者の構成力や筆力は素晴らしいと思う。ただ、私自身は、珠々の生きる世界やその生き方に興味を持つことができず、物語に入り込めなかった。作品の巧みさは感じながらも、楽しめなかったというのが、正直な感想だ。