あらすじ
失業中の相原薫が旅先の温泉街で遭遇した無理心中事件。被害女性の左胸に刻まれていたのは、紫色のリラの刺青だった。しかし、薫は三十年前の火事で亡くなったはずの養祖母・珠々の胸にも同じ花の刺青があると知る。
祖母は一体何者なのか。薫が珠々の残した手記を紐解いていくと、時を超えて事件の真実が浮かび上がる。苛烈な運命を強く鮮やかに生きた魂の記録を描く、傑作長編ミステリ!
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Posted by ブクログ
あらすじから、一族に関する壮大なミステリだと受け取っていた。実際には、珠々という女性を中心とした半生が作中作品として描かれており、ミステリ要素は二の次だった。
珠々の半生は壮絶だ。遊郭や極道が全盛だった時代に始まり、彼女自身、堅気とは言いがたい複雑な血縁の中で幼少期を過ごす。その後も、数々の修羅場を切り抜ける、波瀾万丈な人生が描かれていく。
入れ子細工のような構成には魅力を感じたし、著者の構成力や筆力は素晴らしいと思う。ただ、私自身は、珠々の生きる世界やその生き方に興味を持つことができず、物語に入り込めなかった。作品の巧みさは感じながらも、楽しめなかったというのが、正直な感想だ。