あらすじ
1945年8月6日、広島。小松カズヱ15歳の夏。気がつくと残骸だった。焼け焦げた木材が積み重なり、雲ひとつなかった青空が消え、昼が黒煙で塗り潰された。
そんな街の復旧は驚くべき早さだった。水道と鉄道は当日、電気は翌日に一部ながらも開通。9月25日には、カズヱが通う安田高等女学校が授業を再開した。
取り戻された日常。復学したカズヱの楽しみは学校での運動だった。今日も級友とゴム飛びに興じていると、教師が声をかける。
「小松、ソフトボールやってみんか?」
創部されるソフトボール部。未知のスポーツを学び、練習し、汗を流す少女たち。
1946年の青春を描くセミノンフィクション小説。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
読み終えたあと、こんなに温かい気持ちになった作品は久しぶりでした。
原爆翌年の広島が舞台と聞き、重い物語を想像していましたが、この作品は全く違いました。
少女たちはソフトボールに夢中になり、笑い、悩み、競い合いながら、一歩ずつ前を向いて歩いていきます。
その姿は決して特別ではなく、ごく普通の青春。
でも、その「当たり前の日常」がどれほど尊いものなのかを、静かに教えてくれる作品でした。
ページを閉じたあとに残るのは悲しみではありません。
「明日も頑張ろう」と思えるような、優しく力強い希望です。
被爆や戦後を知るためだけではなく、一つの少女たちの青春の物語として、多くの人に読んでほしい一冊です。
夏の課題図書とかにもなりそうな作品でした。