【感想・ネタバレ】略奪美術品の行方 ナチスの略奪からウクライナ侵攻までのレビュー

あらすじ

美術界で思わぬ事件が起きている。高額で購入した美術品は、実はナチスに略奪されたもので、別の所有者がいたと訴訟に持ち込まれるケースだ。しかし、この問題はナチスだけにとどまらず、植民地支配の過去を持つ西欧諸国へと批判が広がることとなる――。本書はドイツ在住のジャーナリストが、戦争や侵略によって略奪された美術品の問題を調査・取材。各国の美術品返還が難航する一方で、ウクライナ侵攻の裏側でロシアによる略奪も行われている。いったい略奪美術品は誰のものなのか。終わりなき返還論争を紐解く。

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Posted by ブクログ

印象派が「退廃美術」とみなされ不当に低い評価を受けた旨について、並列する形で前時代の世俗画を評価したことをマイナス視することはそれはそれで違う気がしてノイズ。プロパガンダに利用したことを非難するくらいに留めてほしかった。
日本もナチスの略奪美術品を所有していたことがある、ということを記載するのであれば、GHQにより接収された美術品についても記述がなければややアンフェアなようにも思う。

ナチスからの略奪品を取り戻そうという動きが発生することは過去の清算として必要なことだとは思うものの、結局取り戻した後に裁判費用の回収のためにオークションにかけられることが多くなると、なんでそこまでして取り戻したいのかが分からなくなる。略奪されたままでいいとは思わないけれど、取り戻したのならそちらの家で保護していってほしいと思うのは、ただの感傷なのだろうか。
返還先が略奪元の国・地域ではなく遺族というのも問題が複雑になっているように感じた。血筋を貴ぶユダヤ人の民族性もありそう。

内容としてはナチスドイツの略奪が現代に及んでいるという内容が8割、その他の事象が2割といった印象。作者の専門がどちらかというとドイツ史ということなのでこの配分には文句はないが、集英社の見出しのつけ方へは文句をつけたい。
現代のこれから先のことについて考えるとやや憂鬱になるな。

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2026年07月05日

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