あらすじ
翼の形の痣をもった少年は、皇帝に福をもたらす「福神」として仕えるはずだった――。圧倒的な容姿と美声で「歌い手」として隋の皇帝・楊広に仕える翼だったが、楊広と彼の周囲で次々と異変が起きていく。仕え始めた当初は「暴君」である楊広を憎み、密かに陥れようと画策していた翼だったが、彼の本当の姿、皇帝としての思いを知り……。皇帝のまわりで起きる異変の原因とは? そして、隋が滅んだ理由とは? 「暴君×美少年」を描いた中華エンタメ小説の傑作。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
ミステリー色の強いエンタメ歴史小説。
この小説は大きく二つの側面を持っており、前半から中盤までは「翼の成長物語」、終盤は「国づくりに奮闘する楊広の物語」としての色が強いと感じた。
さらに物語全体を貫く軸としてミステリー要素があり、「黒幕は誰なのか」が終盤付近まで断定されず推理小説のような考える楽しさがある。
そのうえ家族愛や仲間との絆といった胸アツ間違いなしの展開が各章に散りばめられており、内容てんこもりで満足度の高い小説だった。
・物語全体を通して
主人公の翼を取り巻く人々との関係性がドラマチックで面白い!
物語の中心人物である楊広はもちろんのこと、主に宮中で出会う様々な人との関係性が「何をきっかけに変わっていくのか」に着目して読むと面白い。
・序盤
主人公の翼がまだ子供の頃から話が始まり、都へ出てきたことによる環境の変化に戸惑う様子が描かれている。
翼の幼さがよく出ており、「同臭相救う」の言い間違いが面白い。この言葉を覚えておくと読み進めたときにいいことがあるかも。
・中盤以降
史実をなぞりつつ、民衆から「暴君」と評された楊広の真意が少しずつ見えてくる物語の作り込みが見事。
特に運河の章で見る「とある光景」は胸アツ。翼と一緒に泣こう。
不吉な出来事が続くものの、楊広の度胸試し(※ネタバレ回避のためかなりの婉曲表現)にハラハラさせられたり、翼にも恋の予感が訪れたりと、暗い話題ばかりではないため読み進める楽しさがある。
個人的には舞台のシーンが好き。楊広の想い、翼の行動、そして不穏な動き……と怒濤の展開になっている。
・終盤
暴君のイメージがある「煬帝」を描いた物語の結末は? 黒幕は?
といった情報は読んでのお楽しみなので詳細は伏せるが、終章の終わり方が綺麗でガチ泣き不可避。
小説としての完成度が高いと言わざるを得ないラストであることは間違いない。
Posted by ブクログ
好き! 隋のこと何にも知らないので、終始ドキドキしっぱなし。日没する処の天子っていうのが楊広なのね!? こういう強くて格好付けな王サマと聡い美少年のコンビ大好き。
Posted by ブクログ
煬帝がまだ皇太子にすらなっていない若い頃から、皇帝になり、そして殺されるまでを描く。しかし主人公は歌手の少年。翼星と呼び能力を持つ。天子が良ければ福神となり、天子が悪ければ儺神(なしん)となる。儺神は天子を排除、すなわち殺してしまう。そんな翼神を煬帝が気に入り、傍に置く。そしていろいろな事件が起こっていく。
一切史実を変えない。そこにたっぷりのエンターテインメント、創作を絡ませていく。千葉のいつもの手法だが成功の時と、失敗とまではいかないがあまりうまくいってない時がある。今作は大成功だ。面白い。
ネタバレになるのであまり書けない側、陳の人々が重要な働きをする点が嬉しい。
Posted by ブクログ
歴史を旅するような肌感
実在感とも存在感とも違う、そこに確かに息づいていたと思わせる、圧倒的な立体感
一人ひとりの心情や葛藤が、それぞれの思惑と重なり合い、えも言われぬ緊張感が半端なく、その時代がどういう世情だったのかがありありとわかる