あらすじ
「父の悪行には、理由があり、封印紐の持ち主はその秘密を知っているそうだ」織田信長に敗れ、混乱に陥る武田家の当主・勝頼は、妹・松姫にこう打ち明ける。そして、「父の真意を聞きたかった。なぜ、あのような愚行をしたのか」とも。
甲斐を拠点に猛将と恐れられた武田信玄。息子も、そして、娘も理解できない数々が、2人の心を苦しめた。
悪か、それとも、正義か――。
”5つの悪行”を知る人々を探し求めることで、真の父親の姿を追う。荒れる戦国の世が覆い隠した、武将と妻と、そして、娘の物語。
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Posted by ブクログ
木下作品の中でも最もキャラクター性、エンタメ性に振り切った作品。各登場人物の設定が盛りに盛られており、その随所に顕れる外連味は山田風太郎或いは漫画(特に松姫と敵役の長岌はほんと漫画から抜け出てきたようなキャラだ。余談ながらコミカライズもいけるんじゃないかと思う)
最初に見た時の奇妙な章立て(数字の章と風林火山の章が入り混ざっている)の意味は読み始めるとすぐにわかる。数字のほうは松姫がいる作中現在の時間軸(だいたい長篠〜天目山)で風林火山の各章は武田信玄の人生をなぞる過去回想。
その回想章では非常に面白い信玄像(とその対極となる武田家の因習)が見られる。
この信玄の先進的な思想がラスト手前にようやく登場するある人物の思想との対比に繋がり、かつ作品テーマも輪郭をはっきりとさせる。この終盤の問答による伏線回収は見事としか言いようがなく。『炯眼に候』でも思ったけど、木下先生この人好きですよね。
あと、道鬼三兄弟……の最後の1人、これはほんとびっくりした。思い返せばしっかり前振りでその所在はチラつかせられているにもかかわらず……読んでて( ゚д゚)…こんな顔になった。賛否両論の謎采配についても一つの解答となっていて、これぞ伝奇!
P.S.もはや作品と関係なさすぎる話だけど、(津田)望月がなぜかキャスト:菅田将暉で再現される。なぜだろう()
Posted by ブクログ
武田信玄の娘松姫が信玄の死後、その5つの悪行の秘密を解き明かしていく。その都度執拗に武田家に対する恨みを持った刺客に狙われ続けてすったもんだなわけですが、その謎解きが始まるまでが長かった。ページ数として全体の1/4強がプロローグ的な内容で必要とはわかるものの、これからどうなるか当たりも付けられないまま信玄が亡くなるまでが描かれるので読むスピードが全然上がらななかったが、そこからは怒涛の一気読み。かなりエンタメ寄りの内容なれど、信玄の悪行(実父の追放等)と言われていることが実は。。。という解釈もなかなか手がこんでいて一気に読めてしまった。それが信玄の悪行かどうか認識に差はあれど、信玄の行動がこういう事情があったのだという一つの見方として面白味のある物語になっていると思う。