あらすじ
「させていただく現象」の謎を解く。「させていただく」を言われて怒れる人がいる一方で、「させていただく」の氾濫はとどまるところを知らない。なぜ人は使いたくなり、何が違和感を生むのか? この問いに答えるべく、意識調査で許容と違和の境界を探り、コーパス調査で発話行為的観点から他の授受表現との勢力関係変化を探った。それらをゴフマン的枠組みから再解釈することで、授受表現に生じているシフトに対する洞察を得た。
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Posted by ブクログ
研究本なので調査部分は読み込めなかったが、敬語が使われるうちに敬意が減っていって語句が加わったり他の語彙に変わられるというのが、なるほど…という感じ。
補遺のさせていただくの現状、たしかにこれは敬意が減っていくかも…と例文で納得。
Posted by ブクログ
歴史社会語用論アプローチにより、巷に氾濫しつつ、違和感を覚えさせがちな「させていただく」に係る言語学的諸問題を徹底的に解明。
言語学の研究書は初めて読んだが、専門用語が頻発する以外は言語の専門家だけあって明晰な文章で読みやすかった。「させていただく」の違和感の最大要因は「必須性」であるということや、「させていただく」は遠近両用のストラテジーを持つ「新丁重語」といえるものであるといった本書の研究内容も非常に興味深かった。
敬語に込められた敬意は使うにつれて減少し、ついには敬意が感じられなくなるどころか、尊大に聞こえてしまう方向に変化を続けるという「敬意漸減の法則」は、本書を読んで初めて知ったが、言われてみれば確かに、と得心した。
Posted by ブクログ
言い切り型ではない「させていただく」、元々のポライトな意味が形骸化したくらいではそこまでぞわぞわしないけど、結局[必須性]が備わったからきもいんだろうな、と思った。おもしろかった!
首都圏と近畿の人々との違和感の差異、調査結果が待たれるで終わってたけど早く知りたい笑
Posted by ブクログ
「させていただく」だけで1冊の本が出来上がることに驚く。
筆者が長年研究している英語学の歴史社会語用語研究で培った方法論を用いてまとめられている由だが、あらゆる角度からの仮説検証に加え、他者の研究成果の引用などを駆使し、論理的かつ判りやすくまとめられている。
第5章「2つの調査結果の考察」における5.3結語:「させていただく」という問題系への解で導きださされる結論にはなるほどと唸った。
「させてくださる」から「させていただく」への変化の要因(第4章)と「させていただく」を使うことでの相手との距離感への変化に加え、「させていただく」は自分がへりくだっているという謙譲の感覚で使われており、「させていたただく」を新しい敬語であり「新丁重語」と名付けている。
確かに、自分が「させていただく」を使うようになったのは、ビジネスの現場で社外の人に対するメール文面で粗相がないようにとへりくだって丁寧語を使わねばと思って書き出した記憶がある。
この本を読んでいる最中に日本のメガバンクのwebサイトを見る機会があったが、「させていただく」の連発で思わず苦笑してしまった。