あらすじ
財界や政府から国立大学に対し、産業振興を主たる目的として、「競争」をうながし、「自己改革」を求める声が大きくなっている。現在の国立大学が、非効率的な方法で運営されているから、大変革をするというのだ。しかし、その批判は当たっているのだろうか。それは大学が持ってきたはずの知的な活動拠点としての役目を殺してしまい、ひいては多様な創造の芽を育くむという重要な機能を破壊することではないのか。現在の潮流に異を唱え、国立大学のみならず、これからの大学のあり方について、議論を巻き起こそうと訴える書。
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Posted by ブクログ
国は「国立大学に教員養成系、人文社会科学系の学部は不要で廃止するか他分野への転換に取り組むべき」といい、内閣府の産業競争力会議が「大学改革」を唱える。貧すれば鈍するとはまさにこのことで、ただでさえOECD諸国なのかでは極端に少ない高等教育・研究関連の予算をさらに減らしながら、成果を出せという。著者は言う「革新的イノベーションは、どこからやってくるか予想が付かないから、革新的なのである。逆に言えば予測可能な範囲内にある成果は、革新的とは言えない。だから限られた予算を有力な分野に振り向けるという戦略は、短期的には成功するかもしれないが、長期的には失敗する」。
大学ついて、著者は「何かをしなければならないという強い責務がない状態は大事だ」とし、かつては「モラトリアム」の名の下に批判されたが、いまや「猶予期間」の大事さを思う、と書く。「学生にとって大学は「実」を結ばせる場ではなく、「種」を獲得する場である」。いちいちがもっともの話であった。