あらすじ
生まれて初めて参列した葬儀は、祖父の葬儀だった。突然のことで準備が間に合わなかったぼくは、祖父のぶかぶかの喪服を借りることになった。元ヤクザの祖父、宗教にハマる祖母、自分勝手な母の姉たち、そして耳が聴こえない両親に代わり、ぼくは祖父の葬儀の喪主を務めた。ややこしい家族で育ったぼくは、家族のせいでいつだって余計な形容詞が付けられていてずっと嫌で仕方がなかったけれど、祖父の葬儀をきっかけに、ぼくは大切な事を気づくことが出来た。
”ふつうではない”家族のこと、自分のことを否定するのも肯定するのも自分次第。だからぼくは、肯定しようと思う。家族に振り回され、嫌な思いをし、落ち込んでばかりいたあの頃のぼく自身を認めてあげようと思う。
CODA当事者が自分の人生のきっかけをくれた出来事を綴った、幻のデビューエッセイ、ついに文庫化!
(『しくじり家族』改題)
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Posted by ブクログ
ぼくが見つめた、ふたつの指先
五十嵐大
角川文庫
いつからか「大丈夫」という言葉の意味さえよくわからなくなっていた。
でも、本当は大丈夫じゃなかった。全然。
本当は、いつだって誰かに助けてもらいたかったのだ。
ただ、幼いぼくが抱えている苦しさに気づいてくれる大人なんて、どこにもいなかった。
それ以降、「ぼくはしっかりしなきゃいけないんだ。誰にも頼れないんだ。」と思うようになっていった。
怒りの沸点を超え、腹の虫が治まらないと、祖母の髪の毛を摑み、部屋の奥へと引っ張っていく。
やっぱり、ぼくは祖父のことが許せない。
許したくない。
死をこんなにも悼んでくれる人がいる
お前まで逆らうのか!誰がお前を育てたと思ってるんだ!
ぼくは「終わりよければすべてよし」という言葉が嫌いだ。
その言葉に則るならば、どんなに傍若無人な振る舞いをしてきた乱暴者でさえも、大人しい最期を迎えたらすべて許されるというのだろうか
許してほしいなら、謝ってくれよ。「すべてよし」にしたいなら、自分のしてきたことを心底反省し、きちんと謝罪の言葉を口にしてくれよ。じゃなきゃ、被害をすべてなかったことにできるわけじゃないか。
おじいちゃん、本当にごめんなさい。もしも生まれ変わって、また家族になることがあったら…今度は、今度はちゃんと話したいです
耳の聴こえないもの同士が一緒になって、幸せになれると思うかい?絶対に苦労する。
それぞれに「ひとりの人間」として見られるようになったということかもしれない
「家族」になりたかった
あなたが家族のことを書くことで、まるで大きなアルバムができるみたいだね