【感想・ネタバレ】ネット世論の見えない支配者 フェイクニュース、アルゴリズム、プロパガンダを操るものの正体のレビュー

あらすじ

スタンフォード・インターネット・オブザーバトリー(2024年解散)でネット上のプロパガンダや嘘情報を研究していた著者が、反ワクチン活動家から受けた攻撃の実体験にはじまり、ネット世論やフェイクニュースによる煽動が形成される過程にせまる。
歴史、政治からコミュニケーション理論や社会心理学まで触れながら、オンラインの世界に透明性を確保し民主的にするための道筋を示す。

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Posted by ブクログ

 最近、職場でCopilotが推奨された。相談事を入れてみると、まずは共感してくれる。
「それはお困りですね。」「よくそこに気づきましたね。」「あなたがそう考えるのも、もっともです。」
 
 これは良い。人は潜在的に共感を求めており、先に進む。回答内容も多岐に亘り、いずれを選んだ場合のメリット、デメリットも紹介されている。人間の話は、あっちこっちに思考が飛ぶため、こうは整理されていない。Copilotの方が、よほどわかりやすい。素晴らしい。うまく活用すれば、時間短縮に繋がる。

 ただ、最近もてはやされているAIは、いい事ばかりではない。翻訳ソフトは、生来の日本語に比べれば、ややぎこちない。時に、からかわれているのか?という変換になってしまう。やはり、人間ではないのだ。当たり前のことだが。

 昔、世論はTVや新聞などの情報媒体で形成された。今はそれらのメディアは青息吐息、あっという間にネットメディアが席巻した。

 自身もSNSに魅せられたくちである。Facebook(META)、X(Twitter)に次々と参入し、思ったことを呟いた。何と言っても、世界と繋がるという点が魅力だ。アラブの春などというソーシャルメディアによる革命まで起きてしまうと、ますます魅力的になる。ネットが歴史を動かすのだ。なんという時代に我々は生きているのだろう。

 一方で、もちろんデメリットもある。本編はその面にスポットが当たっている。ひとたび権力者側から敵視されれば、著者はあっという間にネットに情報を開示され、家族が危険になった。リツイートによる情報拡散、面白いぞ!と世界中からやってくる荒らし。本質がどこかへ行ってしまう。騒いだのち、傷つけた人は去り、傷ついた人たちだけが残される。そしてまた、新たな話題を求めてネットが騒がしくなる。この繰り返しである。嫌なら抜ければいいのだが、我々の日常は、今やネットなくしては生きられなくなっている。困ったものだ。我々は、自身で判断する頭と目を持たねばならない。我々より遥かに賢い知能を持ったAIを活用し、かつ、渡り合わねばならない。

 直近で銀行に行ったら、相談に来ている人が、外国人と高齢者のみだった。就業年齢の人々は、SNSで殆ど処理ができてしまい、銀行に来る必要がないのだ。歩きづらい体を抱えて、寒空に高齢者が列に並んでいるのは、正直胸が痛む。彼らにこそ、動かずとも得られるサポートが得られるべきなのだ。SNSの発達もAIの活用もいい。しかし、そこから弾かれた人を救済するシステムが、社会になくてはならない。使える人だけの社会にするな、と言っている。なぜなら、今、まさに、そうなりつつあるからだ。一方で、多様性社会をうたって、さも、我々は以前より寛容になったことをアピールしているのに。

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2026年01月03日

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