あらすじ
ミャンマーの軍事クーデター後の1年間、目の当たりにした民主化闘争を、市民の声を丁寧に掬い上げ、リアルタイムで綴った稀有な記録。
選挙で民主主義政党に大敗したミャンマー国軍は、2021年2月、軍事クーデターを起こし全ての国家権力を握った。民意で選ばれた議員たちは拘束され、ミャンマーの人々は数年前にようやく手にした民主主義と自由を奪われる。
市民は最初、徹底した非暴力で抵抗を示した。しかし軍はそんな市民たちを虐殺し始める――。
国際開発のためにヤンゴンに住んでいた著者は、ミャンマー市民の闘いぶりをSNSで発信した。自由と民主主義を取り戻そうと奮闘する人々のひたむきな想いを、一人でも多くの日本人に伝え、ミャンマー市民とともに立ち上がってくれる人を増やすために。
闘いはまだ終わらない。終章には軍に抵抗する民主派の武装組織の兵士たち、日本で働く人たちの言葉なども掲載。ミャンマー市民たちの今を伝えている。
金井真紀さん (文筆家・イラストレーター) 推薦!
「涙が出る。ミャンマーの人がかわいそうだからじゃない、あまりにも勇敢だから」
高野秀行さん (ノンフィクション作家) 推薦!
「ミャンマーウォッチャーの私が強烈にお勧めしたい、反軍・民主化闘争のベスト本」
【本書より抜粋】
・リーダーなどいないのに、誰もが自発的に、足りないものを補っていく。警察や兵士につけいる隙を与えない、秩序ある完璧な抗議。
・「お金はいらない。僕らがほしいのは人権だ」
・「暴力で返さないで。僕らの闘いを、世界に見てもらおう」
・「ぜんぜん怖くないよ」 死ぬかもしれなくても? 「うん、死ぬかもしれなくても」
・「内戦」ではなく「革命」と、彼は言った。
・「クーデター後はみんな、宗教や人種などの壁を取り払って、新しい国をつくるために団結しなければいけないと思うようになったんだ」
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このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
世界でいろいろな境遇な人がいる中で、そういった人と対面した時に私はどうしたらいいんだろう、と思って読んでみた。
民主化してたった5年だったのか、なんて不条理なんだと思った。市民レベルでどのような変化があったのか、どんな思いで日々を過ごしているのか、そして将来にも大きな影響が及んでしまうことも、想像できるようになった。
この時に見た景色が確かに力になり、絶対前には戻りたくないという強い思いになっていると感じた
心に残った言葉
◾️Freedom from fear
スーチーさんの言葉。自分の中にある恐怖心から自分を解き放ってこそ本当の自由
この言葉に沿って、一人ひとりができることをしていた。前線で戦うことも、夜鍋を叩くことも、デモ参加者の帰り時間に無料バスを出すことも、不買運動も、CDMに参加することも全てリスクがある。未来の子供たちのために、という言葉が何度も出てきて心を打たれた
強いんじゃない、強くあろうとしているんだ
特に8888を知らない若い世代の勇敢な姿が、親世代も巻き込んでいると聞いた
◾️あなた方の自由を持たない人のために使ってください
これもスーチーさんの言葉。著者はその力を使って本を出したし、私は最新のニュースに触れることができる自由を使ってミャンマーの情勢を追っていきたい⭐️何も詳しくない私は著者のように情報発信することはできないけど、難しく考えずに、背伸びせずにできることをすれば良いと思う。何をしないより全然良い
同様に国際社会にも助けを求め、平和的デモを英語でアピールする姿はすごく必死さを感じて辛かった。国際社会が無視したのか、無力だったのか、私にはわからないけど、国内でどうにもならない時、いかに外からのサポートが必要なのかよくわかった
◾️預けた暴力の権利を取り戻す
国が暴力の権利は本来正しく使われるため。なのにいまのミャンマーではそれが正しく機能しない、だからそれを自分たちの手に取り戻すことは仕方ないのではないか、そう言われるとそうなのかもしれないと思ってしまった。
Posted by ブクログ
ミャンマーで開発の仕事をしていた著者は、2021年2月の軍事クーデターからの1年間、軍政に反対し、行動する市民の声を丁寧に拾い上げて、SNSで発信しました。実際のところ、圧倒的な軍隊の暴力に対して、当初徹底的に非暴力で対抗した市民の唯一の希望は、自由と民主主義を標榜する国が軍事独裁政権に対して圧力をかけること、そのことでこのクーデター劇が終わることだったのです。著者が日本語で発信し続けることで、日本政府からの圧力を引き出すことをミャンマーの市民の期待していました。結局日本政府は市民の側ではなく、軍政の側につくことになるのですが。
クーデターの5年前まで、ミャンマーは軍事独裁制のもとにあり、市民は自由を奪われ、経済的に搾取されて非常な貧困の中に留め置かれていました。長い長い民主化闘争によってようやく自由と民主主義を勝ち取り、凄まじい経済発展が始まったばかりでした。
長い軍事独裁のもとで、市民は、軍がどれだけ酷いものか知っています。ある市民は著者に言います「覚えておいて。軍はあなたが思うより残酷よ」
著者は、市民が発信するSNSや、市民に直接話を聞いて、どれだけ軍が残酷なのか自らのSNSで発信しています。しかし、軍の残酷さのリアルは、そんなものではないとミャンマー市民は知っているわけです。
そんな残酷な軍は非暴力で抵抗していた市民を虐殺し始めます。そしてついに、市民は武器を取らざるを得なくなる。その一部始終が本書にあります。
クーデターから5年経ったいま(2026年)、軍政はまだ続いており、市民は自由も民主主義も奪われたままです。そして、本書にあるミャンマー市民は今もまだ静かに、勇敢に闘争しています。
ミャンマー市民の抵抗、闘争に僕は多くのことを学び、勇気づけられます。そして、いま何をすべきなのか、考えさせられます。